MACDのダマシって回避難しいのかな?
MACDのダマシがなぜ発生するのか、その原理を理解すればある程度のダマシは回避できるようになるぞ!
MACDは極めて優秀なテクニカル指標ですが、「ダマシ」もあります。
本記事ではMACDのダマシのケースと、ダマシが発生する理由、そしてダマシを回避する方法を解説していきます。
MACDのダマシとは?
まずはMACDの代表的なシグナルを確認します。
MACDには主に3つのシグナルがあります。
MACDの代表的なシグナル
- MACD線とシグナル線の交差(ゴールデンクロス・デッドクロス)
- MACD線のゼロライン抜け
- ヒストグラム転換
1つ目は「MACD線とシグナル線の交差」です。ゴールデンクロス・デッドクロスと呼ばれます。
ゴールデンクロスで「買いシグナル」、デッドクロスで「売りシグナル」が基本です。
次に「MACD線のゼロライン抜け」によるシグナルです。
MACD線がゼロラインを上抜ければ「買いシグナル」、下抜ければ「売りシグナル」です。
そして最後は「ヒストグラム転換」による売買サインです。
ヒストグラム(棒グラフ)の反転を相場転換の初期徴候として捉える戦略ですね。
これら3つのMACDシグナルですが、当然ダマシも多発します。
例えば以下のチャート。
ゴールデンクロスやデッドクロスによるシグナルがうまく機能していないポイントがいくつかあります。
以下のチャートをご覧ください。
左側のゴールデンクロスではレートは上昇せずにむしろ下落しています。真ん中のデッドクロスではレートは一瞬下がる気配を見せたものの、その後すぐに戻しています。これらが「ダマシ」です。
次はMACD線ゼロラインクロスにおける「ダマシ」の例です。
左から確認します。
MACD線がゼロラインを上抜けしているのに、下落してしまっています(ダマシ1)。
次にMACD線がゼロラインを下抜けしてのに、レートはすぐに上昇に転じました(ダマシ2)。
そして最後もMACD線がゼロラインを下抜けしましたが、レートはほぼ横ばい(ダマシ3)。
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MACDのダマシが発生する原因
MACDのダマシが発生する最大の原因は、MACDが先行指標だからです。
先行指標
先行指標は、将来の値動きにに対して先行して動くよう設計されたテクニカル指標です。トレンド転換が発生する際に、実際のそれよりも早めにシグナルを発する点が特徴的です。先行指標の代表的なものはRSIやストキャスティクスなどのオシレーター系です。
遅行指標
一方、遅行指標はレートの動きに追随するように変化するテクニカル指標です。何かが発生した後にしかシグナルを発しないため先行指標に比べて正確ですが、往々にして乗り遅れが生じてしまいます。トレンド系テクニカル指標の多くが遅行指標です。
先行指標(MACD)は将来の値動きにに対して先行して動くよう設計されたテクニカル指標であるため、相場転換を早めに予測してシグナルを表示します。
予測が早いが為、ダマシも発生していしまう…これがMACDの”ダマシ”における最大の要因なのです。
相場転換をいち早く知らせてくれるメリットがある反面、ダマシも出てしまう。つまりMACDのダマシは、その機能上ある程度仕方がないのですね。MACDに限らず、すべての先行指標がこのデメリットを持っています。
MACDが先行指標である理由は以下の通り。
MACDの反転サインは遅延しない
そして、2本の移動平均線の乖離値を一つのデータ(MACD値)にすることで、トレンド変化をいち早く捉える工夫がなされています。このことは、単純に12EMAと26EMAのクロスとローソク足の動きを見比べれば容易にわかります。
短期移動平均線(12ema)と長期移動平均線(26ema)のクロスを待っていては、トレンド転換に乗り遅れてしまいます。つまり”売買サインの遅延”という脆弱性があるのです。
一方のMACDは、短期移動平均線(12ema)と長期移動平均線(26ema)のクロスよりもいち早く反転が起きていることがわかります。2つの移動平均の乖離が拡散から収束に変わった瞬間にピークアウト(orボトムアウト)するため、MACDの反転サインはほぼレートの動きと同調します。
だから、MACDの反転サインは遅延が少ないのです。
MACDのGC・DCは、2本の移動平均線を使った場合に比べるとより迅速に相場反転を予見し売買判断を行うことができるのじゃ
『MACDの反転サインは遅延しない』←覚えておくとよいぞ!
MACDは遅延しない…これが第二の特徴。MACDが先行指標と呼ばれる所以はここにあります。
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MACDのダマシを回避する方法
先行指標であるMACDはダマシが発生する可能性が高い…これは避けられない事実です。
ではいかにしてMACDのダマシを回避するか?
実はMACDが先行指標であることが、ダマシ回避の大きなヒントになります。
そうです、「遅行指標と組み合わせる」が正解です。
MACDは先行指標じゃから、遅行指標のテクニカルと組み合わせてフィルターすることで「ダマシ」を回避できる可能性が高まるのじゃよ。
そしてもう一つの解は、「別の先行指標と組み合わせる」です。
2つの先行指標を組み合わせて、シグナルの精度を高めるのもアリじゃよ。
MACDを”遅行指標”と組み合わせる
まずはMACD(先行指標)を遅行指標と組み合わせる方法です。
最も王道とされるのがボリンジャーバンド(遅行指標)との組み合わせです。少し長いですが引用します。
ボリンジャーバンド|MACD|ブレイクアウト戦略
まずはブレイクアウト手法を解説します。手順は以下の通り。
- MACDヒストグラムのダイバージェンス出現を待つ
- MACDとSignalラインの交差を確認
- ボリバン20SMAのブレイクまたはトレンドラインのブレイクでENTRY
トレンドが終焉しそこから反転ブレイクするタイミングを狙い撃ちする手法です。
それぞれのパラメーターはデフォルトでOK。
- ボリンジャーバンド(期間20:偏差2)
- MACD(12:26:9)
MACDはMT4標準のものではなく、『Good_Macd.mq4』を使います。『Good_Macd.mq4』はMACDとSignalの「差」をヒストグラム化して表示してくれる便利なインジケーターです。
実際のMT4チャートで解説します。
サブウィンドウに表示されているインジケーターが『Good_Macd.mq4』。
最初に確認するのはMACDヒストグラムのダイバージェンスです。上のチャート図ではレートは切り下がっているのに、MACDのヒストグラムが切り上がっている箇所があります。これがダイバージェンス。
次に、MACDとSignalラインの交差を確認します。ちょうどダイバージェンス後に交差が確認できました。
これで買いENTRYの準備完了です。
実際の買いENTRYタイミングは以下の2つ。
- ボリバン20SMAのブレイクでENTRY
- トレンドラインのブレイクでENTRY
まずはボリバンのセンターラインである20SMA(20単純移動平均線)をレートがブレイクしたタイミングで買いENTRYパターン(↑)。
次にトレンドラインをブレイクしたタイミングでの買いENTRYパターンがこちら(↑)。
買いENTRYパターンはどちらでもOKですが、両方のサインが出ればより強力な反転示唆となり、精度が高まります。
MACDヒストグラムのダイバージェンスによって下落モメンタムの減速を確認し、その後の反転ブレイクで仕掛けるというシンプルな手法です。
今度は売りのパターンをチェックしてみます。
まず、MACDのダイバージェンスとラインの交差を確認します。これで売りの準備が整いました。次にボリバンの20SMAのブレイクでENTRYです。上のチャート図ではMACDのライン交差より先に20SMAブレイクしていますが、その場合はライン交差で即ENTRYとなります。
下のチャート図ではトレンドラインブレイクで仕掛けています。
トレンドラインブレイクと20SMAブレイク、そしてMACDのライン交差がほぼ同じタイミングで発生していますね。非常に強い反転シグナルと捉えることができます。
この手法のカギはMACDヒストグラムのダイバージェンスじゃよ。
必ずダイバージェンスを確認することが成功のポイントじゃ。
ボリンジャーバンド|MACD|押し目・戻り戦略
次に解説するのは、ボリバンとMACDを使った押し目買い・戻り売り手法です。手順は以下の通り。
買いENTRY
- MACDラインとシグナルラインの両方がゼロレベルより上に位置する
- MACDラインとシグナルラインがゴールデンクロス(GC)を確認
- ボリバン20SMA付近からの反発で買いENTRY
売りENTRY
- MACDラインとシグナルラインの両方がゼロレベルより下に位置する
- MACDラインとシグナルラインがデッドクロス(DC)を確認
- ボリバン20SMA付近からの反発で売りENTRY
MT4チャートで確認します。まずは「買いENTRY」。
上のチャート図ではMACDラインとシグナルラインの両方がゼロレベルより上に位置しています。MACDのゴールデンクロスを確認し、レートが20SMA近くから反発するタイミングで買いENTRYとなります。
次は「売りENTRY」です。
上のチャート図ではMACDラインとシグナルラインの両方がゼロレベルより下に位置していますね。MACDのデッドクロス(=DC)を確認し、レートが20SMA近くから反発するタイミングで売りENTRYです。
2回目の売りはすぐに戻されてしまいましたが、それ以外は比較的成功しています。
下限バンド(-2σ)近くでのENTRYは避けることじゃ。
できるだけ20SMA近くからの反発(反転)であることが利幅確保のポイントじゃよ。
MACDを”先行指標”と組み合わせる
次にMACDを先行指標と組み合わせる方法を解説します。異なる先行指標同士を組み合わせて、同じタイミングで発生したシグナルのみをフィルタリングするという考えです。
本記事では先行指標であるRSIとの組み合わせ手法を紹介します。
MACDをRSIと組み合わせる=最強!
さて本題はここからです。単体で使うことも可能なMACDですが、たいていは他のテクニカル指標と組み合わせて使われることが多いですよね。ストキャスティクスや、ボリンジャーバンド、CCIやRSI、RCIや移動平均線など…。
その中で最もMACDと相性の良い組み合わせは何でしょうか?
異論はあるでしょうが、RSIこそが最強ではないかと考えます。その根拠は、MACDとRSIを組み合わせた手法が数多く存在するからです。
RSI(Relative Strength Index=相対力指数)といえば、いわずとしれたJohn Welles Wilder.Jr(J.W.ワイルダー)の代表作ですよね。「上昇の勢いの強弱」をグラフ化した指標ですが、一般的には「買われすぎ・売られすぎ」を判断するために用いられることの多いツールとして知られています。
これまでも多くのミックス(MACD+RSI)手法をサイト内で解説してきました。その中からいくつか改めて紹介していきますね。
MACD+RSIで逆張りトレードのダマシを回避!
まずは逆張り(カウンター)トレード手法です。
MACDとRSIを組み合わせると逆張りトレードがはかどるwwwwMACDのサインって意外とダマシが多くて使えないよね…汗 ほほほ。 MACDは単体で使うのはあまりオススメではないぞ。 MACDが使えないと嘆く前に今回紹介する手法をやってみることじゃ。 トレーダー初...ルールはシンプル明快です。買いルールがこちら。
- RSIが35%以下に入った!
- MACDがゴールデンクロス!(MACDがシグナルを上抜け)
- 買いでENTRY
売りルールはその反対。
- RSIが65%を超えた!
- MACDがデッドクロス!(MACDがシグナルを下抜け)
- 売りでENTRY
MACDのサインをRSIの売買圧力でフィルタリングしているわけですね。
MACD+RSI+EMAで売りトレードの精度を高める!
次に紹介する手法がこちら。海外フォーラムで解説されていた「ブラックMACD」です。
君は「ブラックMACD」を知ってるか?君は「ブラックMACD」を知ってるか? ブラックMACD…なにやら怪しげな名前ですね。 実はこの「ブラックMACD」ですが、海外フォーラムに投稿されたFX手法の一つなんです。ソースはこちら。 Fore...「ブラックMACD」、意味ありげな名称ですが、たんにMACDの色を黒色で表示させているだけです。基本的には売りのみを行う片側通行手法です。ルールは以下の通り。
- EMA3がEMA18を下抜ける(デッドクロス)
- MACDが0レベル未満を確認
- RSIが50レベル未満
3つの条件をクリアしたら「売り」で仕掛けるというもの。
EMAとMACDでダブルチェック、RSIを手仕舞いサインに!
MACDとRSIの組み合わせ手法は、もう一つあります。MACDをカスタマイズしたツールというかテンプレート「Day Trading Template.tpl」を使った手法です。以下の記事からどうぞ。
【FX手法】MACDは使えないって誰が言った?これ使ってみて!「MACDはカス!マジで使えない…」と嘆く前に テクニカル投資を学ぶと最初に登場するのが「MACD」ですよね。それくらいに王道でベーシックなテクニカル指標の一つとされる「MACD」。 【FX手法】MA...MACD(3、26、10)とRSI(期間10)を組み合わせた海外手法の一つです。仕掛けはMACDとEMA、手仕舞いにRSIを使うという少し変わった手法です。
ちなみに、売り(Sell)に特化したMACD手法には次のものもあります。
【FX手法】MACDの地味な(けれどすごい)鉄板シグナルを見逃すな!FX初心者に相場の”不条理さ”を教えてくれる「MACD」 最初に学習するテクニカル指標なのに、MACDはトレード初心者に相場の不条理さを教えてくれます。 MACDのシグナル通りにトレードしてもほとんど...
MACDのダイバージェンスによる「ダマシ」回避法
最後に、MACDのダイバージェンス(+ヒドゥン・ダイバージェンス)を活用したダマシ回避法を解説します。この方法はMACDのみで完結するシンプルかつ最強の方法です。
MACDとダイバージェンス、意外と相性いいよ!
今回取り上げるのはMACDのダイバージェンスです。
1979年にGerald Appel (ジェラルド・アペル)によって開発されたMACDですが、今や押しも押されぬ大人気メジャーテクニカル指標の一つですよね。シンプルかつ汎用性の高さから世界中のトレーダーに利用されています。
オシレーター系を代表するMACDですが、MACDのダイバージェンスとなるとあまり使っている人を見ません。RSIやCCIのダイバージェンスに押され気味で、ややマイナーなイメージですよね。でも、ちょっとまってください。MACDは意外とダイバージェンスと相性が良いんです!
今回は、MACDのダイバージェンスの優位性をさらに高めるためのアイデアを考察していきます。
MACDの典型的なダイバージェンスパターン(Divergence)がこちら
レートは高値を更新していますが、MACDは逆に切り下げていますね。この場合、上昇が下落に転じる予兆であると推測できます。実際にレートは下落していますね。「売りサイン」として活用されます。
もう一つ例を見てみましょう。
上のチャート図ではレートは安値を更新していますが、MACDは切り上げています。このケースでは下落が上昇に転じる予兆と捉えられます。その後レートは上昇に転じています。「買いサイン」として使われます。
MACDのヒドゥン・ダイバージェンス(Hidden Divergence)
さらにヒドゥン・ダイバージェンス(Hidden Divergence)とよばれるパターンも存在します。まずは「買いシグナルのヒドゥン・ダイバージェンス」がこちら。
安値を切り上げているのにMACDは切り下げています。上昇トレンドの継続を示唆しているシグナルなので「買い」でENTRYします。
次に「売りシグナルのヒドゥン・ダイバージェンス」をご覧ください。
高値を切り下げているのにMACDは切り上げています。こちらは下落トレンドの継続を示唆するシグナルですので「売り」でENTRYするのがセオリーです。
MACDのダイバージェンスを検出するならば『FX5_Divergence_V2.1.mq4』が超絶オススメ
さて、MACDのダイバージェンスを毎回目視で拾うのは大変です。そこでインジケーターの登場です。MACD専用のダイバージェンス検知インジケーター『FX5_Divergence_V2.1.mq4』です。このインジケーターは以前にも紹介しています。
さっそくMT4に設定してみましょう。
『FX5_Divergence_V2.1.mq4』はMACDのダイバージェンスを検出すると自動的に矢印マークを点灯するインジケーターです。もちろん「無料」で使えますよ。DLサイトはこちら。
FX5_Divergence_V2.1.mq4
MACDのダマシは100%回避することは不可能じゃ。先行指標であることとトレードオフなのじゃよ。
じゃがMACDダマシ回避の戦略はいくつかあるので、それらを試してみることをおすすめするぞ。
MACD|基礎編
- MACD、正しい”見方”を解説するから読みなよ。
- MACDの設定、凄まじく重要なことは実はただ一つだけ
- 【保存版】MACDの使い方は、この3つを押さえておけって話
- MACDの計算式、一番わかりやすい解説がこれ!
- MT4のMACDを”2本線化+ヒストグラム表示”する方法を解説するよ!
- MACDの地味な(けれどすごい)買いシグナル・売りシグナル
- MACD|シグナル線の本質を語ってみようか…
- MACDの数値|意味と見方について解説
- いまさらだけど、MACDの本質を詳しく解説しておくよ!
- 【重要】MT4でMACDを設定して使うときの注意点を話しておくよ!
- 【MACD】短期・長期・シグナルの値の最適解(期間)について考察する
- メタトレーダー標準装備のMACDをカスタマイズしよう!
- MACDのダマシは回避できる!ガチで効果的な3つの戦略を解説するよ!
MACD|応用編
- おまいら、正直”MACD”だけで勝てるだろ?
- MACDの最適パラメーターを探すバカらしさ
- 「MACDが最強!」に物申す
- MACDのゴールデンクロス&デッドクロスアラートMT4インジケーターが便利!
- 君は「ブラックMACD」を知ってるか?
- MACDは使えないって誰が言った?これ使ってみて!
- MACDの地味な(けれどすごい)鉄板シグナルを見逃すな!
- 上位足のMACDの状態を視認できるインジケーターを紹介するよ!
- 押し目買い・戻り売りをMACDで補完する超絶シンプルなFX手法を紹介するよ!
- MACDスキャルピング戦略|損小利大を狙える手法はこれだ!
- マジで勝てる!MACDの5分足最強手法を解説するよ!