ボリンジャーバンドの設定|いい加減になっていませんか?
ボリバンの設定ってどれが正しいのかな?
期間とかバンド(σ)数の設定値をどれにすればいいかよくわからないんだよね。
ほほほ。
ボリバンをいい加減に設定してるトレーダーは意外と多いんじゃよ。
今回はボリンジャーバンドの設定について詳しく解説するぞ。
ボリンジャーバンドの設定(パラメーター)、どうしてますか?初期設定のまま?それとも自分なりにカスタマイズしてたりする?
どちらにしても、まずはボリンジャーバンドの正しい設定値を知ってからアレンジするなりしたほうが間違いなく良いですよね。
守破離って言葉があるように、まずは基本の型を忠実に学びそれから応用していくべきです。
今回は、ボリバンの基本的な設定方法(設定値)をしっかりとおさらいしましょう。
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ボリンジャーバンドの設定|MT4の初期設定値
まずはMT4でのボリンジャーバンドの初期設定値を確認してみます。
MetaTrader4に標準装備されているボリバンをチャート上に表示させる際に開かれる「パラメーター設定」がこちら。
MT4におけるボリンジャーバンドの設定|初期値
- 期間…20
- 表示移動…0
- 偏差…2
- 適用価格…Close
この初期値(↑)こそ、実は開発者ジョン・A・ボリンジャー( John A. Bollinger)氏の設定値じゃ。
本来ならばなにも変更せず初期値のままMT4にプロットするのが正しい使い方じゃよ。
まずはこれらのパラメーターの意味を解説します。
期間
ボリンジャーバンドのベースとなる単純移動平均線(SMA)の期間を設定します。デフォルトは「20」です。
表示移動
ボリンジャーバンドをチャート上で左右に移動させる期間を設定します。10と入力すれば、ローソク足から10本分だけ右(未来側)にボリバンが移動します。
「ー10」と入力すれば、左側(過去側)にボリバンが移動します。
表示移動設定は、ほぼ使わない機能です。
偏差
難しいワードがでてきました。「偏差(標準偏差)」です。一般的に偏差は、「データの散らばり具合」のことを指します。入試などで使われる「偏差値」の元になっている概念です。
基準となる位置があって、そこからどれくらい「かたよっているか?」を示します。このかたより具合の確率を指標化したものが正規分布です。大きくかたよった値は、正規分布からすれば異常値であり、たいていは正規分布の範囲内に収まるとされています。
ここで標準偏差の登場です。標準偏差はデータがどれくらい散らばっているかを示す値です。単位はσ(シグマ)で表します。
- ±1σの範囲内にレートが収まる確率…約68.3%
- ±2σの範囲内にレートが収まる確率…約95.4%
- ±3σの範囲内にレートが収まる確率…約99.7%
ボリンジャーバンドでの偏差も同じです。±1σとは平均値±標準偏差のことです。±2σは平均値±(標準偏差✕2倍)。そして±3σは平均値±(標準偏差✕3倍)で算出します。
「偏差=2」ならば、95.4%内でレート収まるであろう範囲を、移動平均線を中心にして上下にラインで示したものとなります。
適用価格
適用価格は、ベースとなる移動平均線(SMA)計算に使用する4本値の中からどれを採用するか?ということ。Open(始値)、High(高値)、Low(安値)、Close(終値)などがあります。
通常は「Close=終値」を使います。
ボリンジャーバンドの設定|期間
ボリンジャーバンドのベースは移動平均線(単純移動平均線=SMA)です。
ボリバンを表示させると中心に移動平均線が描かれていることがわかりますね。
この移動平均線の期間を設定する必要があるんですね。デフォルトでは「20」です。
移動平均線の期間を変更すれば、標準偏差ライン(SMAを中心に上下に描かれるライン)の描写も変化します。
MT4の初期値(デフォルト)では「20」です。
一方、移動平均線をデフォルト値の倍「40」にすれば以下の通り。ややゆったり目の移動平均線になり、バンド幅も「20」と比べると広がって見えますね。
デフォルト値の半分「10」にすると移動平均線はローソク足に沿うように描写され、ボリンジャーバンドの幅もやや狭くプロットされます。
同じチャートでも、ここまでボリンジャーバンドの印象が変わるんですね。※ちなみに、各チャート図のボリンジャーバンドの標準偏差(σ)はすべて「2」のままです。
移動平均線の期間を大きくすれば、標準偏差(±2σ)が描くライン幅も広がります。逆に移動平均線の期間を小さくすれば±2σラインの幅は、ぐっと狭くなることがわかりますね。
さて、ではこの「期間」をどのように決めればよいのか?
ジョン・A・ボリンジャー「期間20が最適だ」
ボリンジャーバンドを開発したのは、言わずとしれたジョン・A・ボリンジャー( John A. Bollinger)氏。自身の著書『ボリンジャーバンド入門』(原題”BOLLINGER ON BOLLINGER BANDS”)で次の通り述べています。
20日間の平均が金融に関する多くの事項について、妥当な出発点であることが分かった。
つまり…デフォルト(期間=20)で使うことを推奨しているわけです。
ボリンジャーバンド開発者John A. Bollinger(ジョン・A・ボリンジャー)氏が、期間「20」が妥当だと語っていることを知らない人って、けっこう多いのではないでしょうか。
絶対に20日でないといけない!ということではなく、まずは期間「20」でボリバンを使ってみるのが無難ということです。
ボリンジャーバンドの設定|標準偏差(シグマ)
次に重要な設定が、標準偏差(σ=シグマ)。
この偏差ラインをしたり顔で±1σ、±2σ、±3σ全部表示させている人がいますよね。こんな感じで。
ボリンジャーバンドといえば、この形(中央のSMAを含む合計7本のラインで構成された形)を思い浮かべる人がほとんどではないでしょうか。
±1〜3σ全てを表示させているボリンジャーバンドは、日本で市販されているFX書籍や多くのFX解説サイトで見かけます。
でも、ちょっとまってください。
このように±1〜3σ全てをMT4で表示させるには、3つのボリンジャーバンドをチャートに重ねて表示させ、それぞれの偏差を「1」「2」「3」と設定する必要があります。だったら最初から1つのボリンジャーバンドインジケーターで、偏差を「1」「2」「3」と設定できるようにしておいたほうが便利だと思いませんか?
なぜ一つのインジケーターで3つの異なる偏差を設定できないのか?
…
つまり、このラインがたくさん描かれているボリバンは、本来の形ではないのです。では本来の形とは?こちら(↓)です。
つまり、±2σ(シグマ)のみを表示させた形が、開発者ジョン・A・ボリンジャー( John A. Bollinger)が提唱したボリンジャーバンドの本来の姿なのです。
開発者であるボリンジャー氏は、著書内で「±1σ、±3σも表示させましょう」なとどは一言も述べていません。
ジョン・A・ボリンジャー( John A. Bollinger)が日本で講演を行った際に使用したスライドにも、表示されているのは±2σラインだけです。
では、どうして±2σ以外(±1σや±3σ)も表示するようになったのか?これはわかりません。そのほうが環境認識しやすいと判断するトレーダーが多かったのかもしれません。
ただ、ここで知っておいてほしいことは、そもそもボリンジャーバンドの基本は±2σ(標準偏差は2)であるという点です。
深く考えもせずに±1σも±3σも表示させるのはナンセンス。ボリバンの本来の標準偏差は「2」のみです。このことを知識として知っておくのは大切。
それが「守破離」でいうところの「守」です。
ボリンジャーバンドの設定|まとめ|推奨設定値
まとめると…
ボリンジャーバンドの設定における基本は以下の通りです。
ボリンジャーバンド基本設定
- 期間…20
- 表示移動…0
- 偏差…2
- 適用価格…Close
つまりMT4にドロップした初期状態のまま使用するのが正しいのです。
チャートに設定すると以下のようになります。
ボリンジャーバンドを使うならば、まずはここからスタートしましょう、ということです。