ATRで資金管理する方法を初心者にもわかりやすく解説するよ!
ATRの有用性についてはこのサイトで幾度となく解説してきました。
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ATRそのものはENTRYタイミングの補助にはなりませんが、相場のボラティリティを推し量るための計器として、トレードに欠かせない存在です。
今回はATRを活用した資金管理法を詳しく解説していきます。
「2%ルール」とは?
ATRを活用した資金管理法を語る前に、まずは「2%ルール」について知っておく必要があります。
2%ルールとは投資における資金管理法の一つです。
2%ルール
- 各トレードにおける最大リスクを総資産(口座資金)の2%以内にする
仮に自己資金(口座資金)が100万円あるとすれば、1回のトレードにおける最大リスクを2%、つまり2万円までにおさえるというルールです。
トレード時に、SL(ストップロス)を自己資金の2%ラインに設定しておき、レートが逆行して含み損がSLに達したら容赦なく損切りをする…これが2%ルールです。
損失額の上限を決めておくことで、長期的に資金を守り、資金枯渇による早期退場を避けます。
投資苑2で提唱された「2%ルール」
2%ルール資金管理法は、 Alexander Elder(アレキサンダー・エルダー)著『投資苑2』によって広く認識されるようになりました。
『投資苑2』は、資金管理だけでなくトレードに不可欠とされるマインド(感情コントロール)を個人心理と大衆心理の両面から概説した名書として知られています。
第7章 資金管理の公式(MONEY MANAGEMENT FORMULAS)
(中略)
特に重要なルールは、どんなトレードの場合でも、損失を口座の小部分に限定することです。
どんなトレードの場合でも損失を口座の資金の2%に限定すること
2%ルールはもっぱら取引口座に適用されます。トレーダーの預金、持ち家の純資産価値、年金講座、あるいはクリスマスクラブ預金などは適用されません。トレーディング資金はトレーディング専用のお金です。これは真のリスク資金であり、トレーディング事業の資金です。そこに含まれるのは、口座の現金や現金等価物さらにすべての未決済ポジションの当日の市場価格です。トレーダーのシステムは儲ける手段、2%ルールは避け難い下落を乗り切る手段です。
仮に、5万ドルの口座で取引しているとします。買いたい株はXYZ株で、現在20ドルでトレードされています。利食い目標は26ドルで、逆指値は18ドルに置きます。XYZ株を何株買えるでしょうか?5万ドルの2%は1000ドルで、これが最大受容リスクです。20ドルで買って逆指値を18ドルに置くと、1株当りのリスクは2ドルです。最大受容リスクを1株当たりのリスクで割ると買える株数がわかります。つまり、1000ドルを2ドルで割って500株になります。これが、理論上の最大株数です。実際は、手数料を払わなければならないしスリッページを被る準備もしなければならず、それをすべて2%の上限内に収める必要があるわけですから、さらに株数を減らさなければなりません。だから、500株ではなく400株がこのトレードの上限です。
(中略)
可能性のあるトレードを調べるときは常に、取引単位、つまり1枚当たりの論理的な逆指値が2%ルールに沿っているかどうかをチェックします。2%を超える場合、そのトレードは休みます。
引用:投資苑2
引用では「2%ルール」をピックアップしましたが、『投資苑2』には6%ルールも提唱されています。
- 2%ルール…1度のトレードにおける最大受容リスク
- 6%ルール…ひと月における最大受容リスク
月に6%以上の負けは許されないのです。非常に厳しいルールであることがわかりますね。それほどの厳しさがないと相場では生き残れないのです。
投資に不可欠とされる資金管理法と感情コントロール法を学びたいならば、『投資苑2』を一読されることをおすすめします。
FXにおける「2%ルール」
2%ルールは上の引用を読めば誰でも理解できるはず。実際にFXトレードで2%ルールを当てはめてみましょう。
USD/JPY(ドル円)をトレードする場合で考えてみます。口座資金は10万円とします。10万円の2%は2,000円ですね。一度のトレードで許容できる損失は最大2,000円です。
ここでのポイントは2つ。
- SL(ストップロス)までの距離
- ポジションサイズ
仮にSLまでの距離を20pips(0.2円)として計算してみましょう。100.00円で買って99.80円で損切りしたケースです=マイナス20pips(0.2円)の損切り。
20pipsの損失=2,000円以内に抑えることが「2%ルール」でしたね。この場合のポジションサイズを計算してみましょう。
クロス円なので簡単ですね。
2,000円÷0.2円=10,000
答えは1万ドル(1万通貨)ですね。
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「2%ルール」と「ATR」
2%ルールを理解できたところで、ATRの登場です。先の例において「SLまでの距離を20pips」として計算しました。
このSL(ストップロス)を決める際にATRが使えるわけです。トレーダーによっては固定幅でストップを設定するケースもありますが、やはり相場に合わせてストップ幅を可変するほうがロジカルですよね。
ATRはそのときのボラティリティの目安を数値で出してくれるわけですから、活用しない手はありません。
以下のチャート図を御覧ください。ドル円の日足です。
直近のATRは0.4604、つまり46銭です。この数値の2倍(=2ATR)をSLと定めるとします。つまり92銭ですね。
上のケースにおける2%ルールでのポジションサイズを計算してみましょう。
条件は以下の通り。
- 口座資金…1,000,000円
- 一度のトレードにおける最大受容リスク…口座資金の2%を上限(2万円)
- SLまでの距離…92銭(92pips)
計算式は…
20,000円÷0.92=21,739
答えは21,739ドル。ざっくりと約2万通貨ということになります。
2万通貨を上限としてトレードをおこなえば、思惑に反してレートが逆行して損切りとなった場合(マイナス92pips)でも、損失の上限を2万円(2%)に抑えることが可能になります。
ATRによって損切りまでの幅を決め、そこから2%ルールを適用して最終的な取引量を決定する。結果的に、ロジカルな損切り幅と適切な資金管理を、毎トレードで実現できるわけです。その時の雰囲気でいい加減にトレードすることがなくなるので、数度のトレードでやむなく退場…という最悪の事態に陥ることも防げます。
2%を超えるならば、そのトレードは見送る
もしもATRやその他の損切り幅が、2%ルールを超える(あるいは2%に収まらない)ならば、そのトレードは見送る…もしくはより小さなロットで勝負するなどの判断が必要になります。
2%ルールの範囲に収まらないならば、そのトレードはあなたの資金量と釣り合わない(=分不相応)のです。
まとめ:ATRと2%ルールを組み合わせて”盤石の資金管理”を目指そう!
2%ルールは相場で生き残るためには不可欠な資金管理です。FX初心者はもっと厳しい1%ルールでも良いと思います。
その上で、ロジカルなSLを定めるためにATRを活用します。もちろん、ATRだけでなく各種ラインやPIVOT(ピボット)、直近高値・安値など様々なSL要素がありますので、複合的に活用する必要があります。
ロジカルかつ最も優位性がありそうなSL幅を定め、そこから2%ルールによって最適なロット数を決めていけば、資金枯渇に陥ることは滅多にありません。
トレードに勝つには、まず生き残ることが先決です。そのために資金管理はあるのです。