『オーダーブック』でなにがわかるの?
オーダーブック(別名:クソポジチェッカー)の概略については以下の記事をご覧ください。
オーダーブックとは、全顧客が現時点で保有している未決済注文の取得価を視覚化したデータ(グラフ)です。それぞれのFX会社が自社顧客のポジションデータを公開したものですので、当然、各会社によってデータの中身は異なります。
ポジションには、買いポジションと売りポジションの二つがありますよね。この二つのポジションの偏り=比率をひと目でチェックできるのがオーダーブックの最大の特徴といえます。
OANDA『オーダーブック』の見方を詳しく解説するよ!
ここからは、非常に見やすいと評判の海外FX会社『OANDA』のオーダーブックを参照しつつ、見方を詳しく解説していきます。
OANDAのオーダーブックは以下のURLからアクセスできます。
アメリカに本社のあるOANDA(設立時はカナダ)は米国だけでなく欧州やアジア各地にも進出していて、いまや世界中に顧客を持つ大手FX会社として知られています。もちろん、日本国内でも金融庁の正式ライセンスを持っていて、FX好きの日本人を積極的に取り込もうと活動を続けています。
グローバル展開をしているOANDAだからこそ、世界中の顧客ポジション情報を手にすることが可能ですよね。統計的にもかなり精度の高いデータといえるのではないでしょうか。
「オープンオーダー」と「オープンポジション」の違い
さっそく、OANDAのオーダーブックにアクセスしてみましょう。
「オープンオーダー」と「オープンポジション」の2つのグラフが表示されていますね。
上のオーダーブックはUSD/JPY(ドル円)の2020年1月21日12時時点でのオーダーブックです。
中央のラインは、どちらも現在の為替レート「109.974円」を示しています。
左のグラフは「オープンオーダー」。つまり未約定のオーダー状況を示しています。未来にこの価格になったら売りたい買いたいという注文をグラフ化したものです。
右のグラフは「オープンポジション」。顧客が保有中のポジション状況を示しています。過去に注文した「売り」または「買い」のポジションをグラフ化したものです。
つまり…
- 未来の注文をグラフ化したものが「オープンオーダー」(左のグラフ)
- 過去の売買をグラフ化したものが「オープンポジション」(右のグラフ)
と捉えることができます。
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「オープンポジション」は過去の売買(ポジション)状態をグラフ化している
「オープンポジション」は、OANDAに口座を持つ世界中の顧客の保有ポジションの割合をグラフ化したものでしたね。
右側が「Long」つまり「買いポジション」であり、左側が「Short」つまり「売りポジション」です。どの価格(水準)にどれくらいのポジションが入っているかが、このグラフによってわかります。
現在の為替レート「109.969円」を境に、右上ゾーン①にいる人々(109.969円以上の高い値で買いポジションを持っている人々)は、含み損を抱えていることになります。
現在の為替レート「109.969円」を境に、左下ゾーン④にいる人々(109.969円以下の低い値で売りポジションを持っている人々)も、含み損を抱えていることになります。
その一方で、現在の為替レート「109.969円」を境に、右下ゾーン②にいる人々(109.969円以下の低い値で買いポジションを持っている人々)は、含み益を抱えていることになります。
同時に、現在の為替レート「109.969円」を境に、左上ゾーン③にいる人々(109.969円以上の高い値で売りポジションを持っている人々)も、含み益を抱えていることになります。
つまり「オープンポジション」を見れば、現時点で含み益を抱える人がどの価格帯にどれくらいのボリュームで存在しているのか、そして含み損を抱えている人がどの価格帯にどれくらいのボリュームで存在しているのかがひと目でわかるのです。
クソポジチェッカーの語源である「クソポジ」とはオープンオーダーにおける①と④のゾーンにある”未決済の赤字ポジション”のことだ
再度、オープンオーダーのグラフを見てください。
オレンジ色の棒グラフが含み益のポジション分布を示しています。青色の棒グラフが含み損のポジション分布を示しています。
Longの青い棒グラフ(右上)よりも、Shortの青い棒グラフ(左下)のほうが多いですね。つまりShortの含み損を抱えている顧客が多いことを示しています。
オーダーブックが別称「クソポジチェッカー」と呼ばれていることは前回の記事でお話しましたね。そして「クソポジ=クソなポジション」とは、オープンポジションにおける①と④のゾーンにある未決済の赤字ポジションのことなのです。
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「オープンオーダー」は未来の注文(指値・逆指値)をグラフ化したもの
次に「オープンオーダー」について解説します。
「オープンオーダー」は未来の注文をグラフ化したものです。
未来の注文=予約中でまだ未確定の注文(指値・逆指値)のことです。
少しわかりにくいので、例を挙げて解説しますね。
例1:含み益のあるAさん
現在レートが100.00円とします。
Aさんは、現在の為替レート100.00円よりも低いレート99.50円でUSD/JPYを購入(Buy)しています。現時点で、Aさんは含み益「50銭」を確保しています。
レートが100.50円まで上昇するのを待ってから利益を確定させたいと考えて、100.50円に売り指値を入れたとすると、Aさんのオーダーは③のゾーンに表示されます。
一方、万が一レートが逆行した場合を考え、99.70円にストップ(売り逆指値)を置いた場合、Aさんのもう一つのオーダーは④のゾーンに表示されます。
例2:含み損のあるBさん
Bさんは、100.50円でUSD/JPYを購入(Buy)しています。残念ながら思惑とは反対にレートは逆行してしまい、100.00円まで下げてしまいました。現時点で、Bさんは含み損「50銭」を抱えています。
レートが戻るのを待っていますが、このまま含み損が増えるのを恐れ、99.90円に損切りライン(売り逆指値)を設定しました。このオーダーは④のゾーンに表示されます。
いわゆる”未決済の赤字ポジション=クソなポジション”です。
一方で、万が一レートが戻り含み益が発生したら利確したいと考え、買値100.50円より上の100.60円に売り指値を入れたとします。このオーダーは③のゾーンに表示されます。
「オープンオーダー」と「オープンポジション」によって顧客のポジション量の”偏り”を視覚的に把握できる
「オープンオーダー」と「オープンポジション」を読み解くことで、投資家のポジション量の偏りを視覚的に把握することが可能になります。
- 含み損を抱えている投資家は、LongとShortどちら側に多いのか?
- 含み損を抱えている投資家のポジションはどのゾーンに集中しているのか?
- 含み益を出している投資家のポジションはどのゾーンに集中しているのか?
- どのゾーンにTP(利確ポイント)が集中しているのか?
- どのゾーンにSL(ストップロスポイント)が集中しているのか?
もちろんこれらのデータはOANDAに口座を持つ顧客ポジションをベースにしているため、マーケット全体を示しているわけではありません。
とはいえ、投資家心理は世界共通です。ポジションの偏りを読み解くことで市場心理を分析し、自身の投資戦略に役立てることが可能です。
次回、OANDAの「オープンオーダー」と「オープンポジション」を活用した投資戦略について解説していきます。