実需要因のみに着目したルールで機械的にトレードした結果、2ヶ月で423pipsの利益!
某掲示板で以下のような書き込みを見つけました。
実需要因のみに着目したルールで機械的にトレードした結果
2018年1月と2月合計で423.1pips
チャートを見る必要は全くない
真偽はともかく、ここで述べられている「実需」とはいったい何でしょうか?
以前、こんな記事を書きました。
FX相場の本質は「実需」が作り「仮需(=投機)」がそれを増幅させる
まず、IMM通貨先物ポジションについて知らない人向けに、ざっくりと解説しますね。
そもそもFX相場は実需と仮需(=投機)の2つから構成されています。
実需と仮需のバランス
- 「実需」…貿易・両替 →20%
- 「仮需」…投機 →80%
為替相場を形成するのは「実需」ではなく「投機=仮需」です。実需によって生み出された相場を投機取引が増幅させているのがFX相場の本質です。つまり、投機筋(機関投資家やヘッジファンド)の動向を知ることで、ざっくりとした為替動向を捉えることが可能になります。そのための指標の一つとしてIMM通貨先物ポジションがあります。
実需とは、投資を目的としない経済活動全般のことを指します。為替(FX)における実需は、国際間貿易や資本取引、それに付随する両替などのことですね。
もう少しくだけた解説をしてみます。
販売台数世界第2位を誇る「トヨタ自動車」の売上規模は30兆円(2019年)です。そのうちの7割が海外(日本以外)で占めています。つまり21兆円は海外での売上なのですね。海外で販売した車は当然、外国の通貨(=外貨)によって支払われますよね。たとえばドルだったり、ユーロだったり。それらの外貨を日本円に交換する必要があるわけです。
また、海外から資材やエネルギーを購入した場合は、そのお金を外貨で支払う必要がありますよね。こうした一連の経済行為が「実需」と呼ばれます。
そうした「実需」に比べて圧倒的に多いのが「仮需」と呼ばれる投機です。実需が20%、仮需は実に80%を占めます。FX相場の本質は、「実需」が作り「仮需(=投機)」がそれを増幅させると言われている所以です。
さて、もう一度最初の書き込みを読んでみましょう。
実需要因のみに着目したルールで機械的にトレードした結果
2018年1月と2月合計で423.1pips
チャートを見る必要は全くない
このFX手法のポイントは、グローバル企業が実需によって得た外貨を別の通貨に交換するタイミングを狙って、その方向に仕掛けるというもの。
FX相場にしめる実需の割合が20%とはいえ、決して無視できない規模です。実需が動けば、決まった日時に特定の方向にレートが動く…これはウソではありません。いわゆる五十日(ごとうび)といわれる5日や10日は、輸入企業による米ドル買い需要が高まるとされていて、その結果午前10時頃にかけてドル高(円安)が進みやすい傾向にあります。
とはいえ、実需の動きを正しく知ることは極めて困難です。思惑通りに為替レートが動くとは限りません。
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「投機筋など幻想にすぎない!そんなものは存在しないのだ!」
中には、「投機筋など幻想にすぎない!そんなものは存在しないのだ!」と主張するアナリストもいます。
「実在しない投機筋より王道の実需を追いたい」
投機筋が実在しないとは言い過ぎかもしれない。いややはり言い過ぎではないか。世に誤解されている投機筋の8割-9割は実在していない
相場変動の最大の要因は貿易実需や長期の資本取引であり、投機筋ではない…との主張です。いろいろな考え・意見があって面白いですね。
実需の動きを早めに察知して、正しく追うことができれば、為替の動きを予測することができるのでは?と思わせてくれます。
前回の記事「相場予測は、天気予報と違って過去から推計できるものではない」は本当か?でも解説しましたが、もしも実需の動きで為替が決まるのであれば、やはりスキャルピングは分が悪いと思いませんか?
仮に、貿易実需や長期の資本取引が相場変動の要因ならば、1分足や5分足、15分足や30分足などは、もはやノイズ以下です。
むしろ為替の理論値(=均衡為替レート)などをベースに中長期的なトレンド方向を見定めてスイングトレードに徹したほうが、シンプルな気がしますね。
ちなみに、ドル円における実際の為替レートと理論値は大きく乖離しています。
もしも、経済の実態に見合う外国為替相場である「均衡為替レート」へと収束される動きを信じるならば、ドル円が下落する…と予測できますよね。
実需の動きを研究してみるのも面白いかもしれませんね。