【FX】為替の理論値はほんとうに正しいのか?
前回の記事実需要因のみに着目したルールで機械的にトレードした結果、2ヶ月で423pipsの利益!にて、「為替の理論値」について少し触れました。
むしろ為替の理論値(=均衡為替レート)などをベースに中長期的なトレンド方向を見定めてスイングトレードに徹したほうが、シンプルな気がしますね。
「為替の理論値」は、正確には「均衡為替レート」と呼ばれています。詳しくは以下の記事をどうぞ。
「為替の理論値」はあくまでも机上のレートであり、実際の為替レートとは大きく異る(乖離している)ことが多いです。
中長期的には、「為替の理論値」に収束すると言われているのですが、はたして本当にそうなのでしょうか?
もしも実際の為替レートが、「為替の理論値」に向けて収束していくのであれば、スイングトレードで仕掛ける方向が明確になりますよね。
- 為替の理論値が下落傾向にあれば、ショートで仕掛ける
- 為替の理論値が上昇傾向にあれば、ロングで仕掛ける
気になる人も多いと思うので、これまでに発表された「為替の理論値」の推移と、実際の為替レートの推移を比較してみましょう。
過去に発表された「為替の理論値」の推移と、実際の為替レートの推移を比較してみる
「為替の理論値」の推移と、実際の為替レートの推移を比較する際に、参考になるサイトがあります。
FxLogBookβ版が公表しているドル円理論値(日足)のグラフです。
あくまでもこのサイトで公開している理論値は、サイト独自の算出方法をベースにしたレートです。
通貨毎のGDP、利回り、インフレ及び通貨供給量から当サイト独自の方法で算出し、日々更新しています。
なお、まれに分析対象データー取得時の再計算により前日に表示されていた数値が変動することがあります。
全期間を選択すると2015年2月からのドル円の日足理論値と為替レートの比較グラフが表示されます。画像を拝借します。
”理論値”への収束を狙ったトレードならば勝ててていた!?
オレンジ色のグラフが実際の為替レートで、灰色のグラフが理論値です。理論値も実勢レートも長期的に下落傾向にあることがわかります。
- 為替の理論値が下落傾向にあれば、ショートで仕掛ける
- 為替の理論値が上昇傾向にあれば、ロングで仕掛ける
このロジックでトレードするならば、当然ショートで仕掛けることになりますよね。たしかに2015年2月頃から2016年4月ごろにかけてショートで仕掛けておけば120円台から110円台へと大きく下落したため、莫大な利益が確保できていることになりますね。
その後、実勢レートが理論値を下抜けたため、「ロングで仕掛ける」ことになります。結果、110円から118円まで上昇。このときもスイングトレードで利益を得ることができそうです。
つまり、これまでは中長期的には理論値へと収束する動きをしていたと考えることができます。難易度の高いスキャルピングをやるよりも、よっぽどシンプルで簡単だと思うのですが、どうでしょうか。
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現在の乖離をどうみるか?
気になるのは、直近の乖離です。期間を1年にして再表示させてみるとよくわかります。
2019年10月ごろから逆転し、理論値は大きく下落傾向にありますよね。一方の為替レートは瞬間的な下落はあったものの持ち直しています(2020年3月の下落は原油相場を巡る中東リスクによるもの)。
結果、現時点で10円60銭以上もの乖離が生じています。なかなかの乖離幅です。米ドルの割高感を非常に強く感じさせるグラフです。
- 為替の理論値が下落傾向にあれば、ショートで仕掛ける
- 為替の理論値が上昇傾向にあれば、ロングで仕掛ける
このロジックでトレードするならば、当然ショートで仕掛けることになりますよね。
「日経均衡為替レート」の乖離率は2%|ドルが買われすぎ傾向にある…
FxLogBookβ版が公表しているドル円理論値(日足)のグラフだけで判断するのは心配なので、本来の理論値のベースになっている「日経均衡為替レート」もチェックしてみます。
ちなみに「日経均衡為替レート」とは以下のような指標です。
日本経済新聞社と日本経済研究センターが算出する経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)に基づいた外国為替相場の理論値。相場が長期には政府債務や対外純資産、内外金利差、交易条件、貿易財と非貿易財の価格比などマクロ指標で決まるとの考えのもと、回帰分析の手法で推計する。
引用:日本経済新聞WEB版
さて、「日経均衡為替レート」関連の直近(2020年7月16日)のニュース記事を御覧ください。
米ドル、主要9通貨に対し割高 新興国など需要高く
外国為替市場で米ドルが理論値より割高になっている。日本経済新聞社と日本経済研究センターが経済実態に見合う「日経均衡為替レート」を算出したところ、主要10通貨のうち円を含む9通貨の実際のレートで米ドルが割高となった。新型コロナウイルスの相場混乱時の需要増によるドル高相場は落ち着きつつあるが、依然として割高な状態が続いている。
日本円の対米ドル「日経均衡為替レート」と、実際の為替レートとの乖離率は2%近くあります。つまり実態の経済に対して、米ドルが「買われすぎ」にあるということ。
原因は、日経新聞の記事にあるとおり、コロナ禍でしょうね。先行き不透明感が増す中で、基軸通貨であるドルが買われる傾向が続いているわけです。
為替の理論値への”収束”を狙ったスイングトレードのススメ
コロナという不確実要素が存続する限り、ドル高が是正されるかどうかはわかりません。ただ、長期的にはいずれこの乖離幅は収束する(つまりドル高が是正されてドル円は下落する)と考えるのが妥当です。
ならば、ドル円はショートで仕掛ける…というのもアリかもしれません。もちろんスイングトレードです。
為替の理論値はあくまでも机上の指標に過ぎず、実際の為替レートがそのとおりに動くとは限りません。中長期的なファンダメンタルズを測る指標の一つとして考えるべきでしょうね。
スイングトレード(半年〜1年のスパンでのトレード)に取り組む場合の考え方の一つとしてお考えください。