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「ボリンジャーバンドの3σ内にレートが収まる確率が99.7%」は間違ってるよ!という話

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ボリンジャーバンド|3σに関する間違った解釈

ボリンジャーバンドの解説を読むと以下の表現を頻繁に目にしますよね。

  • ±1σの範囲内にレートが収まる確率…約68.3%
  • ±2σの範囲内にレートが収まる確率…約95.4%
  • ±3σの範囲内にレートが収まる確率…約99.7%

これらの表現が一人歩きをして、間違った解釈をしてしまっている投資家が多いように感じます。最も多い勘違いがこれ。

✕ レートが±3σタッチしたら、99.74%の確率で反発する

これは間違いです。もう一つの勘違いがこちら。

✕ ±3σ内に、99.74%の確率でローソク足が収まる

最初の間違いよりはマシに見えますが、この解釈も間違っています。

FX博士

誰もが同じような説明をしているが、9割間違っておるぞ!

なぜ正しくないか?それはどちらの解釈もこれから起こるであろう「値動きの未来」を予言しているからです。ボリンジャーバンドで未来の値動きを予測することは不可能です。

では正しい解釈とは?

○ 最近発生した値動きの約99.74%が収まるラインを±3σで表している

最初の2つとニュアンスが似ていますが、実際の意味合いは大きく異なります。

±3σの間違った解釈|未来を予言している

  • ✕ レートが±3σタッチしたら、99.74%の確率で反発する
  • ✕ ±3σ内に、99.74%の確率でローソク足が収まる

上の2つは「値動きの未来」を予言していますよね。

±3σの正しい解釈|過去を分析している

  • ○ 最近発生した値動きの約99.74%が収まるラインを±3σで表している

±3σの正しい解釈は、純粋に過去の値動きを分析していて、未来予言はしていません。そもそもテクニカル指標で未来がわかるわけがないのですね。多くのテクニカル指標は過去ローソク足の4本値(始値・高値・安値・終値)のみで算出しているわけですから、当然といえば当然です。

ボリンジャーバンド|3σとはなにか?

勘違いの原因は、「標準偏差」という概念の難解さにあります。

標準偏差とは、データの散らばり具合を示す指標に過ぎません。

標準偏差が高いということは、一般的に値が平均から離れている(より分散している)ことを意味し、標準偏差が低いということは、値が平均に近いところに集まっていることを意味します。

標準偏差(σ)

  • 標準偏差が高い➔値が平均から離れている(分散している)
  • 標準偏差が低い➔値が平均付近に集まっている

標準偏差が高ければ、データが平均値から離れているため信頼性が低いとも取れますよね。一方、標準偏差が低ければデータが平均値の周りに密接に集まっているわけなので信頼性は高いと考えることができます。

これは部品製造などで想像するとイメージしやすいかもしれません。製造した部品(たとえばネジ)のサイズの標準偏差が大きいと、精度のバラツキが大きくなるためネジの信頼性は低くなりますよね(欠陥品が増える)。逆にネジの標準偏差が限りなく0に近ければネジの精度のバラツキは低くなるので信頼性は高まります(欠陥品が少なくなる)。

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ではボリンジャーバンドに置き換えて考えてみましょう。

まず±3σ(σ)のラインが何を示しているのかをジョン・A・ボリンジャー( John A. Bollinger)氏の書籍『ボリンジャーバンド入門』で確認します。

ボリバンの標準偏差は、移動平均線(SMA)の正規分布パターンのデータがどれだけバンド内(帯域)に含まれているかを意味します。標準偏差を大きくすると、中心線(SMA)からのバンドの距離が長くなるため、より多くの値動きがバンドの中に含まれます。

つまり、値動きの68.3%が収まるラインを±1σのバンドで表わしており、値動きの95.4%が収まるラインを±2σのバンドで表していることを意味します。

そして、標準偏差±3σのバンドは、最近発生した値動きの約99.74%が収まるラインを表しています。このことは「±3σ内に、99.74%の確率でローソク足が収まる」ことを意味するのではなく、「値動きの約99.74%が収まるラインを±3σで表している」ということにすぎません。

±3σの正しい解釈

  • ○ 最近発生した値動きの約99.74%が収まるラインを±3σで表している

センターラインである単純移動平均線(SMA)が基準となり、その平均値からの価格のバラツキ具合の収まり状況をバンド(±3σ)で表しているに過ぎないのですね。

このことから以下の解釈が成り立ちます。

±3σバンドが移動平均線から離れて拡大しているときは、現在価格が最近の平均値(移動平均線)と比較して相対的に高いor安いと判断できる(価格変動が大きい=ボラティリティの増加)。

±3σバンドが移動平均線へと収斂し幅が縮小しているときは、現在価格が最近の平均値(移動平均線)と比較して相対的に近接していると判断できる(価格変動が小さい=ボラティリティの減少)。

ボリンジャーバンドの開発者であるジョン・A・ボリンジャー( John A. Bollinger)氏も以下の通り述べています。

Bollinger Bands answer a question: Are prices high or low on a relative basis? By definition price is high at the upper band and price is low at the lower band. That bit of information is incredibly valuable.

引用:https://www.bollingerbands.com/

直訳します。

ボリンジャーバンドは「価格は相対的に高いか、低いか?」の問いに答えるものだ。定義によれば、価格は上限バンドで高く下限バンドで低い。この情報は非常に貴重だ。

ボリンジャーバンドはあくまでも「価格は相対的に高いか、低いか?」を状況認識ためのモノサシにすぎないのです。

『ボリンジャーバンド入門』を目を皿のようにして読んでも、「レートが±3σタッチしたら99.74%の確率で反発する」とか「±3σ内に99.74%の確率でローソク足が収まる」などの解説はどこにも登場しません。

ボリンジャーバンド|3σタッチで「逆張り」は間違い

ここまでの解説で、「ボリンジャーバンド±3σタッチで逆張り」が正しくない理由がわかったはず。

実際、±3σタッチ後にさらにレートが伸びていくことはザラにあります。その理由を「レートが±3σタッチしたら、99.74%の確率で反発する」や「±3σ内に、99.74%の確率でローソク足が収まる」では説明できませんよね。

開発者ボリンジャー氏は、ボリンジャーバンドのバンドを抜けたならばむしろその方向へ順張りするべきだと主張しています。つまり真逆です。

 Closes outside the Bollinger Bands are initially continuation signals, not reversal signals.

引用:BOLLINGER BANDS RULES

直訳すると…

ボリンジャーバンドの外側の終値は、初期継続シグナルであり、反転シグナルではない
FX博士

開発者ボリンジャー氏が、ボリンジャーバンドのバンドを抜けたならばむしろその方向へ順張りするべきだと論じていることは、あまり知られていない事実じゃ。

ボリンジャーバンド|σ抜けで「順張り」が正しい

つまり、バンドをレートが抜けたら、順張りでトレンド方向に仕掛けることをまず第一に考える。これが正しいボリバンの使い方であり、開発者ボリンジャー氏の意図でもあります。(※解説のバンド標準偏差は±2σ。)

もちろん「やみくもにバンド抜けで順張り」トレードは危険です。長期足の方向やボリバンに使用している単純移動平均線の傾きなどでトレンド方向を確認しつつ「バンド抜けで順張り」を考える、これが正しいです。

ボリンジャーバンド|3σを正しく認識する

もう一度間違った解釈と正しい解釈をご覧ください。

±3σの間違った解釈|未来を予言している

  • ✕ レートが±3σタッチしたら、99.74%の確率で反発する
  • ✕ ±3σ内に、99.74%の確率でローソク足が収まる

±3σの正しい解釈|過去を分析している

  • ○ 最近発生した値動きの約99.74%が収まるラインを±3σで表している

ボリンジャーバンドの3σを正しく解釈し、トレードに役立てたいですね。

ボリンジャーバンド|基礎編

ボリンジャーバンド|応用編

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