ボリバンの見方、マジでよくわからない…
数学苦手だったからシグマとか標準偏差とか、チンプンカンプンなんだよね。
確かにボリバンの見方は、ちょっと難しいのじゃ。
今回はそんなあなたのためにボリバンを少し噛み砕いて解説してみようと思うぞ。
ボリンジャーバンドの見方|ボリンジャーバンドとは?
ボリンジャーバンド(ボリバン)は、1980年代半ばにアメリカの金融アナリスト・テクニカルトレーダーであるジョン・A・ボリンジャー( John A. Bollinger)氏が開発したテクニカル分析ツールです。
MT4にボリンジャーバンドをプロットしたものが以下の図。
ボリンジャーバンドは3本の線(バンド)で構成されています。
ボリバンを構成する3つのバンド
- 中心線(ミドルバンド)…単純移動平均線(SMA)
- アッパーバンド
- ローワーバンド
中心に位置するラインが単純移動平均線(=SMA)。ミドルバンドを挟んで上下に位置するラインが、それぞれアッパーバンド・ローワーバンドです。
ボリンジャーバンドは、過去の値動きを基準にして現在レートの相対的な高さや低さを測定するボラティリティ指標の一つです。
価格変動が大きくなるとバンドの幅が拡大し、価格変動幅が小さくなるとバンド幅は狭まります。
ボリンジャーバンドの見方|3つのパターンを覚える
ボリンジャーバンドの基本的な見方を解説します。
ボリンジャーバンドが示しているのは以下の2つ。
- センターライン(移動平均線)の傾き=トレンドの方向
- 上下のバンド幅=価格変動率(変動の平均値)=ボラティリティ
移動平均線の傾きによってトレンドの方向を見定め、バンド幅の拡張・収縮で価格変動率(=ボラティリティ)を判断します。
ボリンジャーバンドには3つの形態があります。
- スクイーズ(Squeeze)
- エクスパンション(Expansion)
- バンドウォーク(Walking the Bands)
ボリンジャーバンドの形態は概ねこの3つに分類されます。拡大(エクスパンション)と収縮(スクイーズ)を繰り返しその中でときおりバンドウォークという現象が現れます。
ボリンジャーバンドの見方|スクイーズ
トレンド終息後ボラティリティが大幅に低下し、上下のバンドが移動平均線(ミドルバンド)まで収縮している状態がスクイーズ(Squeeze)です。小さな幅でのレンジが続いている状態ですね。
スクイーズはボラティリティの谷(=低ボラティリティ)とも言える状態であり、トレンド終焉後、そして再びトレンドが再開するまでの間に発生します。スクイーズがどれくらい継続するかを推測することは難しいのですが、スクイーズが長期化するほど市場にパワーが凝縮されその後のボラティリティ拡大(=エクスパンション)の原動力となります。
バンドの狭まり(ボラティリティの収縮)は、その後の大幅な上昇トレンドや下落トレンドの予兆でもあるぞ。
気をつける点は、相場がスクイーズから抜け出した後に急激にトレンドを形成する可能性が高いということ。そのためスクイーズ中に新規ポジションを建てる場合は慎重さが求められます。間違った方向でポジションを不用意に建ててしまうと、急激にボラティリティが拡大した際に損失が一気に拡大してしまう恐れがあるからです。
スクイーズ中は近い将来起こりうるトレンドの初動を慎重に観察することに徹し、ポジションを建てることは控えたほうがベターです。
ボリンジャーバンドの見方|エクスパンション
スクイーズ後に訪れるボラティリティ急拡大の現象がエクスパンション(Expansion)です。ボラティリティブレイクアウトとも呼ばれます。
バンド幅が上下に拡大し、レートが一気に上昇or下落してトレンドを形成します。エクスパンションの初動を捉えることができれば大きな利益を見込めます。
ただしエクスパンションの発生を初期段階で正しく見極めることは非常に難しく、ブレイクすると見せかけてレンジ内に再び戻されたり、初動とは逆方向へブレイクするFalse Breakouts(偽のブレイクアウト)であることも多いのが現実。
トレンド初動を狙いすぎると偽のエクスパンションにダマサれるぞ!
偽のエクスパンションを見極めるためには、ボリンジャーバンド以外に別の指標(RSIなど)をフィルターとして加える必要があります。
ボリンジャーバンドの見方|バンドウォーク
ボリンジャーバンドのアッパーバンド、ローワーバンドの上をローソク足がスキップするように価格推移する状態をバンドウォーク(Walking the Bands)と呼びます。
バンドウォークは±2σだけでなく、±1σを表示させて確認する場合があります。上のチャート図では±1σを表示させています。
ごらんの通りバンドの上をローソク足が歩くように(Walking)、レートが何度もバンドにタッチし外側に跳ね返される値動きをしています。
バンドウォーク(Walking the Bands)が発生しているときは、非常に強い上昇トレンドや下降トレンドが長期的に継続していると判断できます。
バンドウォークでの取引は基本的には順張りが王道です。トレンド初動で乗れなくても、バンドでの反発を待ち押し目や戻りで仕掛けることが可能です。
バンドウォークでは順張りで仕掛けるのが王道じゃ。
まずは押し目買い、戻り売りで確実に勝てる場所でエントリーすることが大切じゃよ。
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ボリンジャーバンドの見方|標準偏差(シグマ)とは
ここからがいよいよ本題です。
ボリンジャーバンドの本質を理解するために欠かせないのが標準偏差。
そうそう!
この「標準偏差」ってやつがよくわからないんだよねー。
標準偏差とは、データの平均値から数値がどの程度散らばっているかを測定するための指標じゃよ。
標準偏差とは、「データの散らばり具合」「かたより具合」のこと。
標準偏差が低い場合ほとんどのデータは平均値に近く、逆に標準偏差が高いときはデータの分散が非常に大きくなります(ばらつきが大きい)。つまり価格変動が大きいほど(ばらつきが大きいほど)標準偏差が高くなり、価格変動が小さいと(ばらつきが小さいと)標準偏差は低くなるということ。
ボリンジャーバンドに置き換えて説明すると、レートが移動平均線(平均値)から大きく逸脱することが多ければ多いほど標準偏差が大きくなる(バンドが拡大)。一方、レートが移動平均線(平均値)に近くばらつきが少ない場合は、標準偏差が小さくなり2本のバンドは縮小します。
以上からボリンジャーバンドは下記のポイントを示す指標であると帰結されます。
現在のレートが相対的に高値(or安値)にあるのか?それとも平均値に近いのか?を視認するために、移動平均線と標準偏差を使ってチャート上にプロットしものがボリンジャーバンドなのです。
このことは開発者であるジョン・A・ボリンジャー( John A. Bollinger)氏が明確に語っています。
相場は相対的に高値か、安値か?ボリンジャーバンドは、これに答える指標です。バンド上限で売り、下限で買い、これは間違いです。比較的・高値か、安値か、この情報を基に、 相場動向や指標動向を参考に確信的な判断が下せるのです。ボリンジャーバンドは相場の相対的な高安を定義します。ボリンジャーバンド上限で相場は高く、下限で安いと定義します。ボリンジャーバンドを構成しているのはトレンドと価格変動率です。トレンドは移動平均、変動率は標準偏差です。ボリンジャーバンドの中心線をシグナルにする人がいます。上抜けで買い、下抜けで売り、というように。ただ、より重要なのは移動平均が示す相場の方向です。
標準偏差の単位が「σ(シグマ)」
σ(シグマ)は標準偏差の単位です。シグマと聞いて「Σ」記号を思い浮かべる人がいると思います。高校の数学で習う数列に登場する「Σ記号」です。
実は標準偏差で使う「σ」記号は、「Σ」の小文字です。
- Σ(シグマ)…大文字
- σ(シグマ)…小文字
数列や統計で扱う標準偏差の単位が「σ=シグマ」なのじゃ。
センターライン(単純移動平均線)に対して標準偏差(σ)を2倍した値を上下にプロットしたものがボリンジャーバンドです。
期間20SMAで±2σのボリンジャーバンドをプロットする場合の計算式は以下の通り。
- ミドルバンド(単純移動平均)=直近20本のローソク足終値の平均値
- アッパーバンド=(直近20の終値の平均値)+(20日間の終値の2標準偏差)
- ローワーバンド=(直近20日間の終値の平均値)ー(20日間の終値の2標準偏差)
ミドルバンドに2σ(2標準偏差)をプラスしたものがアッパーバンド。2σ(2標準偏差)をマイナスしたものがローワーバンドの正体です。
ボリンジャーバンドの基本は±2σ(シグマ)のみ
ところで日本の多くの書籍では以下の解説をよく見かけませんか?
- ±1σの範囲内にレートが収まる確率…約68.3%
- ±2σの範囲内にレートが収まる確率…約95.4%
- ±3σの範囲内にレートが収まる確率…約99.7%
実際にボリンジャーバンドを使う際も、±1σから±3σまで(ミドルバンドを含めると)7本ものラインを引いて解説しているケースを多く見かけます。つまりチャートで表すと下図の通り。
残念ながら1σから3σまでを表示させるのは日本(日本人)だけ。海外ではこんなにごちゃごちゃしたボリンジャーバンドはまず見かけません。
そもそもボリンジャーバンド開発者であるジョン・A・ボリンジャー( John A. Bollinger)氏は、±2σしか表示させていません。そして海外トレーダーも±2σのみを表示させてトレードしている人が大半。
ボリバンの基本は±2σであること(さらに言えば移動平均線期間は20)を念頭においておく必要があります。
へぇー知らなかった!ボリバンって±2σ(シグマ)だけを表示するのが基本なんだね!
そうじゃ、基本は±2σのみ表示させるのが正しい。
1σも3σも表示させるのは日本人だけじゃよ。コピーコンテンツだらけでまともに原書をあたる人間は皆無じゃからの。
開発者のボリンジャー氏が知ったらきっと鼻で笑うじゃろ。
もちろん±1σや±3σを表示させるのは自由ですが、まず基本を押さえておくことは大切です。
ボリンジャーバンドの見方|順張りが正しい戦略
たまに目にする「ボリバンの上限で売り、下限で買い」という逆張り戦略ですが、これは本来のボリンジャーバンド使い方ではありません。
正しくは「ボリバンの上限ならばさらに価格が伸びる可能性、ボリバンの下限ならばさらに価格が下落する可能性」を示している…こう判断するべき。
ボリンジャー氏「バンドを抜けたらむしろトレンドに順張りだよ!」
つまり、ボリンジャーバンドのバンドを抜けたならばむしろその方向へ順張りするべきだと主張しているわけです。当ブログで紹介しているボリバン手法も、基本的には「順張り」がメインです。
当ブロブのオリジナル特典の一つである「Shin Bollinger Bands」も順張り専用のインジケーターです。
Shin Bollinger Bandsは、ボリバンのバンド抜け(±1σ)をわかりやすく描写してくれる便利インジケーターです。Shin Bollinger Bandsを使ったトレード方法は、バンド抜けを確認して順張りで仕掛けるというもの。
Shin Bollinger Bandsの詳細はこちらをお読みください。
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ボリンジャーバンドの見方|MT4に設定する方法
ボリンジャーバンドはMT4にも標準で装備されています。
ボリンジャーバンドをMT4に正しく設定する方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
ボリンジャーバンドの見方|開発者のジョン・A・ボリンジャー
ボリンジャーバンドの開発者は、ジョン・A・ボリンジャー( John A. Bollinger)氏。
ボリンジャー氏はまだ健在じゃよ。Twitterもやってるからフォローするといいぞ。
You Tube動画の右側(ブルーシャツ)男性がジョン・A・ボリンジャー( John A. Bollinger)氏。TradersExpo New Yorkでのインタビュー動画です。ボリンジャーバンド開発の経緯を語っています。まだまだお若いですね!
一時期、ボリンジャー氏が破産した!というウワサがSNSで流れましたが、完全なデマであることを本人がTwitterで語っています。
ボリンジャーバンドの見方|まとめ
ボリンジャーバンドは移動平均線からのレートの散らばり具合を上下2本ラインでプロットした指標であると理解しておけば、概ね間違ってはいません。
「レートがボリバンの上限にあればさらに価格が伸びる可能性、ボリバンの下限にあればさらに価格が下落する可能性を示している」…これが本来のボリバンの概念であり、捉え方であるということ。
この2点を押さえておけば、ボリンジャーバンドの基礎編はOKです。