『エンベロープ』とは?
ネットでFX情報を探していると、ときどき見かけませんか?エンベロープって言葉。なんとなく知っているような言葉の一つですよね、エンベロープ。
以前、乖離トレードを極める|乖離ライナーの中で、『乖離ライナー』というテクニカルについて解説しましたが、その中で「乖離ライナーの本質はエンベロープである」と述べましたね。
今回は、そのエンベロープを取り上げます。
エンベロープは英語で「envelope」と書きます。「封筒・包み・外皮」という意味です。
MetaTrader4チャートに表示させると以下のような感じになります。(エンベロープはMetaTrader4に標準搭載されています。トレンド系の中にある「Envelopes」がエンベロープです。)
エンベロープは、移動平均線を上下に一定幅で移動させたラインです。エンベロープに重ねて移動平均線を書き加えるとよくわかります。
ご覧の通り、移動平均線を上下で「包み込む(=envelope)」ように、エンベロープが描かれていることがわかりますね。
移動平均線を包み込む、つまり「envelope(意味=包む)」する。だからエンベロープと呼ばれているわけです。
ちなみに上の移動平均線は25SMA(25日単純移動平均線)です。そして、エンベロープのパラメーターは以下の通り。
エンベロープ(Envelopes)の「偏差」とは?
パラメーターの「期間」は25となっていますね。これは移動平均線の期間と同じ意味です。最新の足から何本さかのぼって平均値を出すか?ということです。
種別はSimple、つまり単純移動平均線と同じですね。ここはExponential、Smoothedなどを選択できますが、基本はSimpleです。適用価格はClose、つまり「終値」で計算しています。
エンベロープにおける重要なパラメーターが「偏差」。上のパラメーターでは「0.25%」に設定してありますね。これは移動平均線の上下に±0.25%の幅でラインを描写するという意味です。
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エンベロープ(Envelopes)の計算方法(算出法)
計算式はシンプルです。偏差=0.25%の場合は、以下の通り。
- 上のライン=移動平均線値 ✕(1+0.25%)=移動平均線値 ✕ 1.0025
- 下のライン=移動平均線値 ✕(1−0.25%)=移動平均線値 ✕ 0.9975
仮に移動平均線(SMA)が110円で偏差が0.25%の場合…
- 上のライン=110円 ✕( 1+0.25%)=110円 ✕ 1.0025=110.275円
- 下のライン=110円 ✕(1−0.25%)=110円 ✕ 0.9975=109.725円
偏差というよりは乖離幅と捉えたほうがわかりやすいですね。移動平均線からの乖離幅をパーセンテージ(%)で求めたものがエンベロープです。
ちなみに、乖離ライナーと呼ばれるテクニカルは、移動平均線からの乖離幅をpipsで設定したものです。
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乖離幅(偏差)を倍の0.5%にしてみましょう。
ご覧の通り、乖離幅が広くなりました。計算式は…
- 上のライン=移動平均線の値 ✕(1+0.5%)=移動平均線 ✕ 1.005
- 下のライン=移動平均線の値 ✕(1−0.5%)=移動平均線 ✕ 0.995
ご覧の通り、シンプルなテクニカル指標ですね。
エンベロープ(Envelopes)のパラメーターに決まりは…ない
さて、エンベロープの計算方法を理解できたところで、ではいったい偏差(乖離率)をいくらで設定するのが正しいのでしょうか?
実は、ここに正解はありません。
一般的には、25日移動平均線をベースに、乖離幅(偏差)は以下の数値が使われることが多いです。
- 偏差=0.25
- 偏差=0.3
また、時間足によって細かく変更するケースもあります。
- 日足の偏差=1.0
- 1時間足の偏差=0.2
- 15分足の偏差=0.1
結局のところ、エンベロープをどのように活用するかによって偏差の数値も変わってくるわけです。
また為替のボラティリティも一定ではありません。通貨ペアによっても大きく異なりますし、同一通貨ペアにおいても時間帯によって著しく変化したりします。トレード手法・時間足・通貨ペア・取引時間帯などに応じて、細かく設定を変更するべきものなのですね。
次回:エンベロープ(Envelopes)手法の解説
次回、エンベロープを使った具体的なトレード手法について解説していきますね。