『乖離ライナー』で乖離トレードを極める
乖離トレードのお話、まだまだ続きます。
前回は乖離トレードでよく使われる手法「売られすぎ・買われすぎ」からの逆張りを紹介しました。

乖離トレード(逆張り)
乖離率が-20%にタッチしたら「買いENTRY」、+20%にタッチしたら「売りENTRY」というシンプルな手法でした。さらにパーフェクトオーダーでシグナルをフィルタリングすることで確度を高める工夫も紹介しましたね。
さて、今回紹介する乖離トレードは、『乖離ライナー』と呼ばれるテクニカルを使用したFX手法を紹介しますね。
まずは乖離ライナーについて解説します。
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『乖離ライナー』を設定しよう
乖離ライナーという概念を日本で最初に提唱したのは、女性トレーダーの「春香さん」だったと記憶しています。春香さんは、10年以上にわたってFX専業トレーダーとして活躍している女性です。
春香さんのブログとTwitterを紹介しておきますね。
春香さんが2011年に出版された『1分足のレンジで勝負! 行き過ぎを狙うFX乖離トレード』で乖離ライナーを活用したトレード手法を紹介されていました。それがこちら。
Kindle版で1,620円です。発行は2011年と古いですが「乖離ライナー」のアイデアを参考にしたいならば購入して損はありません。
さて、肝心の乖離ライナーですが、チャート上に表示させると以下のようになります。

乖離ライナー(GBP/USD M30)
GBP/USDの30分足です。移動平均線の上下に同じ幅で白いラインが描かれていますね。これが「乖離ライナー」です。
乖離ライナーは、移動平均線がベースであり、表示させるのに特別なインジケーターは不要です。MetaTrader4のEMA(指数平滑移動平均線)を少しいじるだけで表示可能です。方法は次の通り。
1.25日移動平均線(EMA)を表示させる
まずは移動平均線をチャート上に表示させます。期間は25日、種別はExponential(=EMA)にします。

乖離ライナー設定手順|その1
2.レベル設定をする
次に、「パラメーター」タブの右横にある「レベル表示」タブをクリックして、レベル設定をします。「追加」ボタンをクリックして、レベル設定に「500」と入力します。もう一度「追加」ボタンを押して今度は「-500」と入力します。
スタイル(線の色)はご自由に。とりあえず「シルバー」を選択しました。

乖離ライナー設定手順|その2
移動平均線の場合のレベル設定は、「移動平均線を一定の割合で上下にずらして表示する」という意味になります。つまり、25EMAを上に50pips、下に50pipsずらして表示してください…という意味です。これで完了です。
「OK」をクリックすると…

乖離ライナー設定手順|その3
移動平均線から上に50pips、下に50pips幅でずらした線を描くと乖離ライナーの完成です!

乖離ライナーは移動平均線の分身だ
『乖離ライナー』の正体は単なるエンベロープ(Envelopes)
もうお気付きだと思いますが、乖離ライナーの正体は単なるエンベロープ(Envelopes)にすぎません。エンベロープは、移動平均線から上下に一定幅(%)で乖離させたラインを引くテクニカル指標です。「移動平均乖離率バンド」などとも呼ばれていますね。
移動平均線からの乖離幅を、「%」で求めるか(=エンベロープ)、「値幅(pips)」で求めるか(=乖離ライナー)の違いです。
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さきほど、25EMAを上下に50pipsずつズラしましたが、この設定数値は、GBP/USD30分足における「春香さん」の推奨値です。
参考:乖離ライナーの一番有効なパラメータ
各通貨ペアや時間足でボラティリティが変わるので、それぞれにおける最適なパラメーター(スラし幅・期間など)は変わります。
乖離ライナーを使った「乖離トレード」ルール
ここからは、乖離ライナーを活用した一般的な乖離トレードのルールを解説します(※春香さんのルールではありません)。
ENTRY(仕掛け)ルール
上下の乖離ライナーをレートが抜けたタイミングで逆張り方向にENTRYします。
- 上の乖離ライナーを上抜けたタイミング:売りENTRY
- 下の乖離ライナーを下抜けたタイミング:買いENTRY
EXIT(手仕舞い)ルール
利確は、センターライン、つまり25EMAへのタッチで手仕舞い。スキャルピングのイメージに近いですね。
春香さんの乖離トレードは”マーチンゲール”!
乖離ライナートレード第一人者「春香さん」のトレード手法は、200EMAをベースに上下に13pips幅で乖離ライナーを描写し、ライナータッチで逆張りで仕掛けます(著書出版当時の手法)。1分足で狙う利幅は13pipsなので、高速スキャルピングですね。
損切りのタイミングは100pipsです。つまりレート逆行してマイナス100pipsもの含み損を抱えたところで損切りします。そこからさらに、マーチンゲールで新たなポジションを建てて積極的に仕掛けていきます。なかなかのリスクテイカーですね。適切な資金管理・ポジション管理があってこそ…ということですね。
1分足の乖離で逆張りENTRYし、13pipsをかすめ取る。逆行したら損切り後にマーチンゲールで倍がけしてリスクテイク。これが書籍出版当時の春香さんのトレード手法です。
最近の春香さんの手法はもっとブラッシュアップされていますね。乖離ライナーにSTC(シャフトレンドサイクル)を加えて、トレードタイミングを見計らっています。

引用:春香さんのブログより
それにしても、STC(シャフトレンドサイクル)とは懐かしいですね。FX初心者の方々はほとんど聞き慣れないSTCですが、海外ではよく見かけます。
昔(2010年頃)、『メタボリック社長のFX日記~レバレッジ400倍の無謀なる挑戦! 』ブログを運営していたトレーダー「ナイス藤本」さんという方がいたのですが、彼が得意としていたテクニカルの一つがSTCでした。
ナイス藤本さんの影響?
最近、フィボナッチボリンジャーを使った商材が増えているように感じるのですが、もしかして「ナイス藤本さん」の影響なのでしょうか?ナイス藤本さんという方は、FXブログ界では結構有名な方だったんですが、突然ネット上から行方不明になってしまったんですね。突如ブログの更新がストップし、完全にほったらかしになりました(今ではそのブログも消えてしまっています)。
非常に面白いブログでファンも多かったようです(私もファンの一人です)。
そのナイス藤本さんのブログでは、様々な手法が無料で公開されていて、それらの手法を多くのブロガーが検証してフィードバックするなど、非常に有意義なブログでした。その中で、フィボナッチボリンジャーを使った逆張りスキャルの手法も紹介されていました。私もその当時、その手法を検証しました。
この手法が気になる方は、「ナイス藤本 スキャル」というキーワードで検索してみて下さい。多くの検証サイトがヒットするはずです。
ナイス藤本さんの逆張りスキャル手法とは?
せっかくこの話題(ナイス藤本さん)に触れたので、簡単にどのような手法か説明したいと思います。使用するインディケータは、
- フィボナッチボリンジャーバンド
- STC(Schaff Trend Cycle) ←(シャフ・トレンド・サイクルと読みます)
この2つです。STCというインディケータは聞き慣れないかもしれません。オシレーター系のインディケータですが、パラメータの設定次第で方向の変わり目を敏感に捕らえることができる、非常に面白いテクニカル指標です(当然敏感にしすぎると、ダマシを連発します)。ネットで無料で手に入れられます。検索してみて下さい。
それでは具体的な手法について説明します。使用する足はEURJPYの1分足のみです。ここに、フィボナッチボリバンとSTCをセットします。
- フィボナッチボリバンの±2シグマの幅が50pips以上の開きを確認
- ローソク足の実体がボリバンの上限または下限にヒット
- 同時にSTCが上限・下限のレベルから反転を確認
このタイミングで成り行きエントリーします。そして、TP5pips(リミット5pips)、SL7pips(ストップ7pips)でOCO注文を出します。あとは、利確orストップにヒットするまでほったらかしです。これを機械的に行っていきます。
単純に言えば、レートの行き過ぎをフィボボリバンとSTCの2つのテクニカルで確認をしてその戻りを狙う”カウンタートレード”です。
さてこの手法ですが、当然万能ではありません。連勝もあれば連敗もあります。勝率は、7割弱という印象です。ルールが明確で、ある程度のエッジ(優位性)は感じられました。無料の手法でも、十分に戦えるわけです。
いずれ、STC(シャフトレンドサイクル)も取り上げて詳しく解説したいと考えています。
乖離トレード(逆張りトレード)のリスク回避方法
「乖離ライナーを活用した乖離トレード」に話を戻しましょう。
乖離ライナータッチからの逆張りなので、レンジ相場では威力を発揮します。春香さんのようにマーチンで挑めばレート逆行時も乗り切れるかもしれません。
とはいえ、逆張り後に思わぬトレンドが発生してしまえば、マーチンゲールでも厳しいものがあります。傷口が浅いうちに損切りしないと、せっかく積み上げた利益を吹き飛ばしかねません。
やはりレンジ相場であることを確認してから乖離トレードを実践するべきでしょうね。
前回の記事で、4本の移動平均線によるパーフェクトオーダーでトレンド相場を回避する方法を紹介しましたが、乖離ライナートレードでも有効です。