ボリンジャーバンドのベースは移動平均線なの?
そうじゃよ。
ボリバンを構成するすべてのバンドは単純移動平均線がベースになっておるのじゃ。
ボリンジャーバンドと移動平均線|概要
移動平均線は、短期的なノイズを平準化して長期的な値動きを視認するためのテクニカル指標です。最も多く使われる移動平均が以下の2つ。
- 単純移動平均線(SMA)
- 指数平滑移動平均線(EMA)
ボリンジャーバンドは、ミドルバンドである単純移動平均線(SMA)と、SMAから2標準偏差(正と負)離れてプロットされた2つのバンドで構成されています。
20SMAと±2σ(2標準偏差)を設定したボリンジャーバンドが以下のMT4チャート。
ボリンジャーバンドの最大の特徴である「拡大・縮小する2つのバンド」はSMA(単純移動平均線)の標準偏差をn倍(通常は2倍)してプロットしたもの。
単純移動平均線の期間が「20」ならば、過去20本の終値と平均値から偏差(平均値からの乖離)を求め、各偏差を2乗した合計の平均の正の平方根で標準偏差を計算します。詳しい計算方法はこちらをお読みください。
標準偏差が計算できれば、あとは簡単です。以下の式で上下のバンドを描写できます。
- 上バンド…SMA+(標準偏差✕2)
- 下バンド…SMA−(標準偏差✕2)
つまりボリンジャーバンドのベースは移動平均線であるということが言えます。
ミドルバンドである単純移動平均線は「トレンドの方向」を示し、上下のバンドは「ボラティリティ」(価格変動率)を示します。
- ミドルバンド=トレンドの方向を示す
- 上下バンド=ボラティリティを示す
移動平均線だけではトレンドの方向しかわかりませんが、ボリンジャーバンドはトレンド方向に加え価格変動率を同時に視認することができるのですね。
ボリンジャーバンドが多くの投資家に利用される理由は、この独自的優位性にあります。
ボリンジャーバンドの最も優れている点は、トレンド方向とボラティリティを同時に視認できることじゃ。
ボリンジャーバンドと移動平均線|なぜ単純移動平均線か
ところでどうして単純移動平均線(SMA)が計算に使われるの?
それは標準偏差計算(上下バンド)に純粋な平均値(単純平均)を使うためじゃよ。
上下バンドとミドルバンドのプロット(位置関係)に論理的な整合性を求めるためにどちらも単純移動平均線を使っているのじゃ。
ボリンジャーバンドのパラメーターでは移動平均線は「単純」しか設定できないようになっています。つまりSMA以外に選択肢はありません。
ちなみに移動平均線の種類はこれだけあります。
移動平均線の種類
- 単純移動平均線(SMA=Simple Moving Average)
- 指数平滑移動平均(EMA=Exponential Moving Average)
- 平滑移動平均線(SMMA=Smoothed Moving Average)
- 線形加重移動平均線(LWMA=Liner Weighted Moving Average)
- 加重移動平均線(WMA=Weighted Moving Average)
- 三角移動平均線(TMA=Triangular Moving Average)
- 正弦加重移動平均線(SWMA=Sine Weighted Moving Average)
- 修正移動平均線(MMA=Modified Moving Average)
- 累積移動平均線(CMA=Cumulative moving Average)
でもボリンジャーバンドで使う移動平均線はSMA(Simple Moving Average)つまり、単純移動平均線のみです。
理由は標準偏差の計算において単純平均を使うからです。標準偏差とはデータの集合体に含まれるばらつきの平均値です。それぞれの値が平均値からどの程度離れているか(散らばっているか)を表しているので、標準偏差算出には純粋な平均値(単純平均)を使いたいのです。そうすることで、ミドルバンドと上下バンドのプロット(位置関係)に論理的な整合性を与えることができるわけです。
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ボリンジャーバンドと移動平均線|設定値
ボリンジャーバンドの基本となる移動平均線の期間設定は非常に重要。設定値によってボリバン描写が大きく影響を受けるからです。
移動平均線の最適な期間設定については以下の記事で詳しく解説しています。
初期設定値は「20」ですが、ボリバンを活用する時間足によって期間を柔軟に変更することが推奨されています。海外FXトレーダーが使う設定値は次の通り。
ボリバンと移動平均線の期間|海外FXトレーダー
- 初期設定値…期間20|標準偏差2
- デイトレーダー…期間20|標準偏差2
- スキャルパー…期間9〜12|標準偏差1.5
- スイングトレーダー…期間50|標準偏差3
- ポジショントレーダー…期間200|標準偏差3
移動平均線の期間に合わせて標準偏差の変更もおこないます。
ちなみに、開発者ジョン・A・ボリンジャー( John A. Bollinger)氏が推奨する設定値は以下の通り。
ボリバンと移動平均線の期間と偏差|推奨値|John A. Bollinger
- 移動平均線の期間「20」の場合…標準偏差の倍率=2
- 移動平均線の期間「50」の場合…標準偏差の倍率=2.1
- 移動平均線の期間「10」の場合…標準偏差の倍率=1.9
ボリバンの移動平均線の期間は「20」が基本じゃよ。
ただ絶対ではなく、トレードスタイル(スキャル・デイ・スイング)に合わせて柔軟に変えることも推奨されておるぞ。