【FX】ストキャスティクス(Stochastic)とは何か、説明できますか?
ストキャスティクスといえば、もちろんオシレーター系を代表するテクニカル指標の一つ。当然、MT4にも標準装備されているインジケーターです。
よく目にするテクニカル指標ですが、その本質を語れるFXトレーダーはそれほど多くないのでは?
今回は、ストキャスティクスを取り上げ、詳しく解説していきます。
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そもそもストキャスティクス(Stochastic)とは、いったい何なのか?Stochasticは英語の形容詞ですが、その意味は次の通り。
- Stochastic(形容詞)=確率論的な◯◯、推計学的な◯◯
確率論的…の意味ですが、何かが発生する確率(例えば降水確率、当選確率etc.)とは意味が異なります。
「確率論的」は、ランダム(予測不能)に決まる事象を予測・解析する際に使用するフレーズです。
”上昇中のロケットが下降するする際は、必ず減速するよね?”
ストキャスティクスは1950年代にトレーダー兼テクニカルアナリストであるGeorge Lane(ジョージ・レーン|アメリカ)によって提唱された概念です。開発者本人によるストキャスティクスの解説を引用します。
“Stochastics measures the momentum of price. If you visualize a rocket going up in the air – before it can turn down, it must slow down. Momentum always changes direction before price.”
直訳すると次の通り。
ロケットが空中で上昇していくのを想像してほしい。
ロケットが下降する前に当然ロケットは減速しなければならないことがわかるはず。
つまり、勢い(モメンタム)は常に価格が変わる前に方向を変えるのだ。”
上昇中のロケットが方向転換して下降するためには、必ず減速しますよね。
上昇中のロケットが上空で方向転換をして下降を始めたとします。方向転換する直前は、必然的にスピードは落ちますよね。これは時間経過とともに運動量が変化することを意味します。
つまり、ストキャスティクスは、この運動量(相場の勢い=モメンタム)の変化を計測することによって、相場転換を予測しているのです。
なんとなくイメージが理解できました?
勢いの変化が常に価格変動に「先行する」という”仮定”に基づく
ストキャスティクスは、運動量(=勢い・モメンタム)の変化が、常に価格変動(相場転換)に先行するという仮定を元に考案されたテクニカル指標。
あくまでも”仮定”なので、絶対にそうなる!というわけではありません。傾向がある…と捉えるのが妥当でしょう。
時間経過とともに変化する勢い(モメンタム)を測定することで、この先価格がどう動くかを予測する…これがストキャスティクスの本質です。
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どのようにして勢い(ロケットのスピード)の変化を計測するのか?
では具体的にどのようにして勢いの変化を測定するのか?ストキャスティクスの基本パラメーターは3つありますよね。
- %K
- %D
- %SD
とりあえずストキャスティクスの概念を知るためには、「%K」に絞って考える必要があります。%Kの計算式は、とてもシンプルです。
- %K=(現在価格の終値ーn期間の最安値)÷(n期間の最高値ーn期間の最安値)✕100
この計算式を紐解くと以下の通り。
n期間の最高値と最安値の値幅(ゾーン)に対して、n期間の最安値から現在価格の終値までの値幅(上昇幅)をパーセント表示したものが「%K」であるということ。
まず、一定期間の高値と安値の値幅(ゾーン)を算出します。次に、値幅(ゾーン)と比較して、現在価格(終値)がどのレベルにあるのか?このレベルを数値化します。この数値を0〜100(%)の間にプロットしたグラフがストキャスティクス(=%K)です。
- 一定期間の高値と安値の値幅(ゾーン)を算出する
- 値幅(ゾーン)に対して現在価格(終値)の上昇幅を算出する
- 上昇幅を0〜100%でプロットする=%K
現在価格が、n期間の値幅(ゾーン)の安値に近いほど、%Kは0に近づきます。一方、現在価格が、n期間の値幅(ゾーン)の高値に近いほど、%Kは100に近づきます。
つまり、%Kが0%付近をウロウロしているということは、n期間の値幅(ゾーン)における安値と同じレベルの値で推移していることになりますね。
%Dと%SDはなんのためにある?
%Kそのものは、とてもシンプルで理解はしやすいと思います。
では、残りの2つ、%Dと%SDはなんのためにあるのでしょうか?
- %D(=%Kの平滑値)
- %SD(=%Dの移動平均値)
%Kを一定の期間で平滑化したものが%Dであり、その%Dをさらに一定の期間で移動平均化したものが%SDです。
結局、%Kがあまりにも敏感に反応する(感度が高すぎる)ため、それを平滑化することで感度を調整したものが%Dなのですね。%SDは、%Dを移動平均化することでさらになめらかにした値です。
- %K…感度が極めて高い
- %D…%Kよりはやや遅れて反応する(感度が少し低い)
- %SD…%Dよりはやや遅れて反応する(感度がもっと低い)
段階的に平滑化した複数のラインを表示させたものがストキャスティクスのベースとなります。
早く反応するラインとやや遅れて反応するラインを重ねて表示させることによって、その位置関係(クロス・向きなど)から相場を予測することを容易にできるというメリットがあります。
まとめ:ストキャスティクスの本質は、ロケットの勢い(スピード)を計測して方向転換を予測することにあった!
今回は、ストキャスティクスとは何か?その本質とは?について詳しく解説してみました。
上昇中のロケットは、方向転換をする直前(下降に転じる前)に必然的に減速する…だったらその勢い(スピード)の変化をチェックすれば、相場転換を予測できるのではないか?この仮説を元に考案されたテクニカルが、ストキャスティクスです。
勢い(モメンタム)の変化が、常に価格変動に「先行する」という”仮定”に基づいているわけですね。
次回以降で、ストキャスティクスのパラメーター設定などについて解説していく予定です。