ATRって”くろうと好み”のテクニカルだけど、FX初心者も使うべき?
ATR(Average True Range)って結構くろうと好みのインジケーターという印象がありますよね。
実際、為替アナリストの相場観などには、頻繁にATRが登場します。
アナリストA
2020年1月◯日AM◯時現在の米ドル円におけるATRは、日足の平均値幅が1円44銭、週足の平均値幅が3円42銭、月足の平均値幅が8円17銭となっており高ボラティリティが継続中…
アナリストB
ATRの上昇期間が数日続いたことで急激な円高となるリスクを孕んでおり、円キャリートレードにおいては試練が続く…
そんなATRを、FX初心者が使って意味がある?と思われるかもしれませんが、十分に意味があります。ATRを早くから意識して実践を繰り返すことで、通貨ペア毎のボラティリティに通じ相場観を養うことが可能になります。
まずは、以下のようにATRをチャート上にプロットしておくだけでも良いと思いますよ。

ATR(Average True Range)
日足のATRで直近ボラティリティの”高低”を把握しておく
ATRをチャート上に表示させたら、実際のレートの動きとATRの動きをリアルタイムで比較してみましょう。最初はローソク足が大きく動くときにATRが上昇する…くらいの認識でも良いと思います。
ATRの動きに慣れてきたら、少しだけ深い見方をしてみます。
仮に米ドル円(USD/JPY)の日足の14日ATRが0.4604(46銭)だとします。

USD/JPY|日足|ATR
この「ATR=46銭」をどう捉えるか?
一つは、ドル円の14日平均幅(ボラティリティ)が46銭であるということ。これはドル円の日足のボラティリティからすれば低いということ。
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ドル円為替相場の「歴史的な膠着状態」をATRから見てみる
ところで、ここ数年のドル円為替相場が「歴史的な膠着状態」と呼ばれているのをご存知ですか?つまりほとんどボラティリティなく、動いていないということです。要因は様々ですが「歴史的な膠着状態」であることは、ドル円月足のATRを見れば明らかです。
以下のチャート図はUSD/JPY(ドル円)月足とATR=期間14です。

USD/JPY|月足|ATR
ご覧の通り、2017年1月以降、ATRはずーっと右肩下がりの状態です。ドル円(月足)のボラティリティが時間経過と共に減少し続けていることを意味します。
2017年1月以前のATRと比べれば一目瞭然です。「歴史的な膠着状態」と呼ばれる意味がわかりますよね。
こうした事実を知っておくだけでも、トレードにはかなり役立ちます。変動幅が小さければ、安定していると捉えることもできますし、逆に言えばボラが小さいので大きな利幅は狙いにくい相場であるとも捉えられます。
長期ポジションを持っているトレーダーならば、今後ATRが上昇してきたときは注意が必要ですね。
ATRが示唆する”変動幅リスク”を考えてみる
さて、もう一つ、ATRからわかることがあります。もう一度USD/JPYの日足ATRを見てみましょう。

USD/JPY|日足|ATR
ATRは0.4604、つまり46銭(=46pips)ですね。
仮にこのタイミングでENTRYしてポジションを放置すれば、1日で46銭(46pips)の変動幅リスクにさらされるということを意味します。
1日で46銭の変動幅リスクは、昨今のドル円相場からすれば高くありません。
仮に日をまたぐようなトレードを実践するならば、最低でも46銭以上のポイントにSLを置くべきですよね。なぜなら1日で46銭の逆行も十分にありえるからです。
もしも中長期トレードを行なうならば、最低でもATRの2倍=46銭✕2=92銭、あるいはATRの3倍=46銭✕3=1円38銭などのポイントをSLにするなどの戦略が取られることになります。
まとめ:ATRを分析すれば様々な投資戦略が浮かび上がる
ATRを知り、分析することで、様々な投資戦略を練ることができるようになるわけですね。
FX初心者であっても、まずはATRをチャート上に表示させてみましょう。最初はわからなくても大丈夫です。徐々にATRとチャートの連動性が理解できるようになるはずです。