FX投資における「モンテカルロ法」を再考察する
ある「まとめブログ」にFX投資におけるモンテカルロ法についての考察が掲載されていて、懐かしい気持ちになりました。こちらです。
エントリーします
123
4pips上下にイクジットを入れます
損をしたら
1234
5pips上下にイクジット
12345
6pips プラス
234
6pips マイナス
2345
7pips プラス
34
7pips プラス終了
これで1200プラス30分でこれくらいになる
上に記載されている暗号のような手順、初めて見る人はなにがなんだかわからないでしょう。これは「モンテカルロ法」と呼ばれる投資法です。主にカジノのルーレットゲームで使われてきた手法です。
この手法を用いた方法で、モナコカジノ「モンテカルロ」が倒産したことから、モンテカルロ法と呼ばれるようになった…という話の真偽は不明です。
FXやバイナリーオプションで「モンテカルロ法」を活用する方法は、過去に幾度となく考察されてきました。その度に「まあ、やれる人はやればいいんじゃない…(微妙)」というなげやりな結論がだされてきました。
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「モンテカルロ法」をざっくり解説(シミュレーション)
モンテカルロ法を知らない人のために、上の「まとめサイト」に掲載されていた例(リスクリワードが1対1)を用いてざっくりと解説してみます。
1回目…負け(0勝1敗)
「123」というのは基準となる数列で、ここからスタートします。「数列?」となる人も、とりあえずはスルーしてください。この「123」という数列がベースだと思ってください。
「123」数列の両端の数字「1」と「3」を合計した数字は「4」ですね。この「4」が最初にベット(賭ける)金額となります。FXならば4pipsを狙うということです。リスクリワードは1:1ですので負ければ4pips失います。リミットは4pips、ストップも4pipsとなります(話をわかりやすくするため、ここではスプレッドは考慮しません)。
このトレードで負けたら、損益は▲4pipsです。負けたときは先程の数列「123」右側に「4」を加えます。数列は「1234」となります。※【注意】ここで加える「4」は、単純に「123」の並び数字を加えるということではありません。最初にベットした単位「4」を加えるのがルールです。
2回目…負け(0勝2敗)
次は「1234」の両端の数字「1」と「4」を合計した数字「5」を賭けます。つまりリミット5pips、ストップ5pipsです。
この勝負でまた負けたら2連敗(0勝2敗)となり、負けの合計は▲9pips(▲4pips+▲5pips)です。続いて、数列「1234」右側に「5(直前に賭けた単位)」を加えます。数列は「12345」となります。
3回目…勝ち(1勝2敗)
3回目の勝負は「12345」の両端の数字「1」と「5」を合計した数字「6」を賭けます。リミット6pips、ストップ6pipsです。さて、ここではじめて勝ったとします。すると損益は▲3pips(▲9pips+6pips)となります。1勝2敗。
勝った場合は、数列「12345」の両端の数字をそれぞれ1つ消します。つまり「1」と「5」を消します。すると数列は「234」となります。
4回目…負け(1勝3敗)
4回目の勝負は「2」と「4」を合計した数字「6」を賭けます。リミット6pips、ストップ6pipsです。負ければ損益は▲9pips(▲3pips+▲6pips)となります。負けたので数列「234」に「6」を加えます。数列は「2346」となります。現時点で1勝3敗です。
※「まとめブログ」では数列が「2345」となっていますが、それは誤りです。負けた場合は必ず前回賭けた投資単位を加えるのがルールですので正しくは「2346」です。
5回目…勝ち(2勝3敗)
5回目の勝負は、数列「2346」の両端の数字「2」と「6」を合計した「8」を賭けます。リミット8pips、ストップ8pipsです。5回目の勝負で勝った場合は、損益は▲1pips(▲9pips+8pips)となります。これで2勝3負。
勝ったので数列「2346」の両端の数字をそれぞれ消します。数列は「34」になります。6回目の勝負は「3」と「4」を加えた「7」を賭けます。リミット7pips、ストップ7pipsです。
さて結果は…
6回目…勝ちならば(3勝3敗)で「1stセット」終了
- 6回目の勝負で勝った場合(3勝3敗)…損益6pips(▲1pips+7pips)
6回の勝負で3勝3敗(勝率50%)で損益は6pipsのプラスになります。一方2勝3敗(勝率33%)では損益は▲8pipsとなります。
6回目の勝負で勝つことができれば、つまり勝率50%ならば利益がでます。そして残った数列「34」はどうなるかというと…「34」の両サイドの数字を消すわけですから、数列はすべてなくなります。
ここで最初のセットが終了となります(一巡した)。数列がすべてなくなるか、数字が1つだけ残った場合にセット終了となるのがルールです。
6回目…負けならば(2勝4敗)で7回目へ突入…
- 6回目の勝負で負けた場合(2勝4敗)…損益▲8pips(▲1pips+▲7pips)
6回目の勝負で負けて2勝4敗となった場合(=勝率33%)は、▲8pipsで負け越しています。そして数列「34」に前回賭けた単位「7」を右側に加えますので、新たな数列は「347」になります。
そして7回目の勝負は「347」の両端の数字「3」と「7」を合計した「10」を賭けることになります。
- 7回目の勝負で勝った場合(3勝4敗)…損益2pips(▲8pips+10pips)
- 7回目の勝負で負けた場合(2勝5敗)…損益▲18pips(▲8pips+▲10pips)
7回目の勝負で勝てば、数列は「3」と「7」を消して「4」だけになり、セット終了です。負ければ数列は「347 10」となり、勝負続行です。
いかがですか?ざっくりと解説をしました。
一度読んだだけでは理解することが難しいかもしれません。今回は「リスクリワードが1対1」のモンテカルロ法を解説しましたが、「リスクリワードが1対2」の手法も存在し、ルールは若干異なります。
最後にモンテカルロ法(リスクリワード1:1)のルールをまとめておきます。
- 「123」の数列からスタート
- 数列の両橋の数字の合計をベット(賭ける)
- 勝ったら両端の数字を消す
- 負けたら前回賭けたベット数を数列の右側に付け加える
- 2に戻る(ループ)
- 数列がすべてなくなるか数字が1つだけ残った場合にセット終了
- 次セットへ(ループ)
「マーチンゲール」との違いとは?
なんとなくマーチンゲール法と似ている?と思った方もいるでしょう。マーチンゲールは単純に「負けたら倍賭け」です。理論上はどれほど連敗してもたった1度の勝ちでプラスにできるという夢のような手法です。
しかし、残念ながら「マーチンゲール」は連敗時のベット(掛け金)が恐ろしいほど膨らむため、現実的ではありません(実践では使いづらい)。
「モンテカルロ法」のメリットは、倍賭けの「マーチンゲール」と比べて掛け金の増え方が大きくない点にあります。とはいえ、数連敗すれば掛け金は増大するため、戦略もなくやみくもにトレードすることは危険です。優位性のあるポイントで勝負し、勝率50%以上を目指していく戦略は必須です。
【FX】モンテカルロ法は勝てないのか?
なるほど!モンテカルロ法ならば勝率50%で確実に利益がプラスになるのか!…とぬか喜びしてはいけません。
FXにはスプレッド(手数料)が必ず存在するため、勝率50%でも期待値は常にマイナスです。また、ルールも複雑なため、マネジメントは慣れるまでかなり大変です。
連敗すればより大きな金額を賭けなければいけないため、ルール通りにトレードするにはそれなりの強い意思が求められる手法です。何度も述べますが、優位性のあるポイントを見極め、勝率50%以上を目指していく戦略は絶対的に求められます。
モンテカルロ法は絶対的な「聖杯」ではありません。単なる資金マネジメントの1つにすぎないということです。
また、この手の手法は、コツコツ型です。「負け」と「勝ち」を繰り返しながら、徐々に利益を積み上げていく手法ですので、FXの醍醐味であるビッグトレンドで大きな利益を勝ち取るようなトレードはできません。
短期足(5分〜15分)でチャートに張りついて1日に何度もトレードできる環境があり、コツコツと地道にトレードできる投資家ならば、チャレンジしてみても良いかもしれませんね。
『モンテカルロ投資法』をバイナリーオプションに活用する際の注意点
先に解説したとおり、モンテカルロ法は、資金管理の一つです。
モンテカルロ法をバイナリーオプションに利用しているトレーダーも少なからず存在します。とはいえ、50%の勝率では期待値がマイナスであることはFXと同じなので、やはり勝率50%を超える優位性のあるトレードを実践していくことが求められることは知っておくべきです。
また、上のシミュレーションはリスクリワードが1:1であることが大前提です。これは、バイナリーオプションでいうところのペイアウト率が2倍ということと同等です。
万が一ペイアウト率が2倍を切っていると(例えば1.8倍)、そもそもリスクリワード1対1のモンテカルロ法が機能しません。つまり、やればやるほど損失が膨らむのです。
この点を注意して、バイナリーオプションにモンテカルロ法を活用してみるのも面白いかもしれませんね。