Supertrendインジケーターを紹介するよ!
前回の記事内で、軽く触れたSupertrendインジケーターに関して問い合わせをいただきました。
まだ紹介したことがなかったので、今回Supertrend.ex4について解説していきます。
ダウンロードは海外サイトから無料でできます。
ダウンロードURL
上のURLからのDLはex4ファイルです。mq4ファイルを探したのですが、残念ながら見つけられませんでした。
Supertrendインジケーターはご覧の通り、トレンドに従って階段状にラインが描写されるトレンドフォロー系ツールです。
Supertrendインジケーターの仕組みについて解説するよ
まずSupertrendの仕組みについて、最低限知っておいて欲しいことを解説します。勘の良い人ならば、Supertrendが何をベースにしているかすぐにわかるはずです。答えは「ATR」ですね。
実際のところ、見た目もATRを使ったatr-trailing-stop.mq4に似ています。
上のチャート図に表示させているインジケーターがatr-trailing-stop.mq4です。
では具体的にATRをどのようにSupertrendに取り入れているのか?ちなみに、ATRについて詳しく知りたい人は以下の記事をおすすめします。
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SupertrendのベースはATR(Average True Range)だ
Supertrendの仕組みは想像しているよりもシンプルです。
基本はATRです。ATRは”価格変動の度合い”を測るためのテクニカルツールとして使われるインジケーターでしたね。
ATRの期間はデフォルトで「10」です。ATRは、TRのn日間(n期間)指数平滑移動平均(=EMA)ですので、TR(=True Range、真の値幅)のEMAの期間が10ということになりますね。
実はSupertrendのパラメーターはこの2つだけです。つまり…
Supertrendのパラメーター
- ATRの期間(EMAの期間)
- ATRの乗数(何倍でラインを描写するか)
Supertrendのパラメーターをご覧ください。
Supertrendのパラメーター解説
- Nbr_Periods…ATRの期間(TRのEMA期間はいくつか?)→期間は10
- Multiplier…ATRの乗数(何倍でラインを描写するか?)→3倍
Multiplier(ATRの乗数)はデフォルトで3倍に設定されています。この乗数を小さくすれば(たとえば2にすれば)、価格とラインとの距離(幅)が短くなります。つまり一層価格に追随し迅速に反応するようになるわけです。
試しにMultiplier(ATRの乗数)を2に設定したチャート図が以下です。
そして以下のチャート図が3倍(デフォルト状態)。
ATRの乗数を2倍に変更することで、レートへの追随がより一層明確になりましたね。レート変化に対する感度が高まるかわりに、大きなトレンドを分断してしまうデメリットもあります。
結局のところ、Supertrendのラインは何を意味するのか?
Supertrendの概念がある程度理解できたと思います。ではSupertrendのラインそのものは何を意味するのか?について解説します。
SupertrendのラインはATR(期間10、乗数3倍)に基づいて計算され、チャート上にプロットされます。
そもそもATRはTR(=True Range、真の値幅)のEMAでしたね。ATR考案者のJ.W.ワイルダーによれば、TRとは…
Therefore, the TRUE RANGE is defined as the greatest of the following:
(1) The distance from today’s high to today’s low.
(2) The distance from yesterday’s close to today’s high, or
(3) The distance from yesterday’s close to today’s low.
直訳すると次の通り。
”真の値幅(=True Range)は、次のうち最大のものがTRとして定義される。”
(1)D1…当日高値から当日安値までの距離(当日高値ー当日安値)
(2)D2…前日終値から当日高値までの距離(当日高値ー前日終値)
(3)D3…前日終値から当日安値までの距離(当日安値ー前日終値)
上の3つの中で最大値になるものを、その日のTR(真の値幅=True Range)として定義しています。もっとくだけた言い回しをするならば、ボラティリティの平均値と捉えることができますね。
つまり、どれくらいの幅でレートが動く可能性があるのか?をTRとして定義しているわけです。そして、そのTRを期間10のEMA(指数平滑移動平均=AVERAGE)化したものがATRです。
本来のATRはサブウィンドウ上にプロットされるものです。こんな感じですね。
そして、サブウィンドウ上のATRをメインチャート上にプロットし直したものがSupertrendです。
ちなみに、Supertrendの上下2本のラインの計算式はこちら。
Supertrendの計算式
- 下のライン(緑色線)=(高値+安値)÷2 + ATR ✕ 3倍
- 上のライン(ピンク線)=(高値+安値)÷2 – ATR ✕ 3倍
- ※ATRの期間は10
ここで一工夫がなされています。各ライン(ATRの3倍)を逆方向に超えてレートが動いた場合、トレンドが逆転したと見なし、ラインの描写位置を変更します。例えば下のライン(緑色線)をレート終値が下回った場合、今度は上のライン(ピンク線)によってATRの3倍ラインを描写するという具合です。
またもう一つのルールとして、パラボリックSAR同様にSupertrendの最新の値は1本前のローソク足におけるSupertrendの値よりも下回らない=下回る場合は1本前の値をその日の値として適用するという決まりがあります。だからトレーリングストップ的な使い方にも適しているわけですね。
まとめると、Supertrendはボラティリティの平均値(ATRの3倍、期間10でEMA化したもの)をチャート上にプロットしつつ価格に追随し、大きな変動(3倍を超える変動)があったときは相場転換と見なしてラインを逆方向に描写し直しているのです。
トレンドに追随しつつ市場の反転にも反応するように作られたテクニカル指標であることが理解できますね。
次回の記事にて、Supertrendと似ているとされるParabolic SAR(パラボリックSAR)との比較をしてみます。