SupertrendとParabolic SAR、似てるけどどこが違うの?
前回「Supertrendインジケーターを紹介するよ!」の続きです。SupertrendインジケーターとはATR(期間10、乗数3倍)をベースにしたテクニカル指標でしたね。本来サブウィンドウ上に描写されるATRをメインチャート上にプロットしたものです。
価格に追随するように階段状にラインを描きます。ラインを逆抜け下タイミングでラインの位置が変わりトレンド転換と見なします。
特徴は2つ。
- 各ライン(ATRの3倍)を逆方向に超えてレートが動いた場合、トレンドが逆転したと見なし、ラインの描写位置を変更する(例えば下のライン(緑色線)をレート終値が下回った場合、今度は上のライン(ピンク線)によってATRの3倍ラインを描写する)
- パラボリックSAR同様、Supertrendの最新の値は1本前のローソク足におけるSupertrendの値よりも下回らない=下回る場合は1本前の値をその日の値として適用するという決まりがある
イメージとしてはパラボリックSARと似ていますね。
Parabolic SAR(パラボリックSAR)も、価格に追随するようにドットを描きつつ、ドットを逆抜けしたタイミングでドットの上下位置が変わります。そしてトレンド転換とみなす…。テクニカルの動きとしては、そっくりですね。
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Parabolic SARとSupertrendの違いとは?
Parabolic SARとSupertrendは似ていますが、その概念は大きく異なります。Parabolic SARは、価格の動きが速ければ速いほどSAR(ドット)と価格間の収束が速くなり、同時に時間経過とともに速度は加速していきます。これはParabolicSARが”時間”と”価格”の2つの概念を兼ね備えたテクニカル指標だからです。
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一方の、Supertrendですが、価格とATR(各ライン)との間隔は、ATR(期間10、乗数3倍)によって算出されるため、時間経過は一切関係なく、ローソク足との間隔はほぼ一定間幅にてプロットされます。ただし、描かれるライン(ATR)は直前の値を下回らない(上昇の場合)というルールが課せられているので、時間経過とともに必ず階段状のパターンを描きます(この点はパラボリックSARと同じ)。
Parabolic SARとSupertrendを重ねて表示させてみると…
Parabolic SARとSupertrendを同じチャートで見比べてみましょう。まずはParabolic SARから。チャートはEUR/USDの日足です。
上昇トレンドからレンジをはさみ、もう一度上昇。その後上値を抑えられる形で下落へと転換…という相場です。ParabolicSARは上昇局面を上手に捉えています。価格の上昇に追随し、しかも価格との収束も時間経過とともに加速しています。上昇トレンドのみに乗ることができれば、手仕舞いタイミングに遅れることなく、しっかりと利幅を確保できています。
では、同じチャートにSupertrendをプロットしてみます。
ずいぶんと印象が異なります。ParabolicSARと比べ、ざっくりと上昇トレンドを捉えています。そのぶん慌ただしさが消え、ゆったりとしたトレードのイメージです。ただ、反転シグナルはParabolic SARよりも遅れて出るため、トレンドの戻しによって利幅を一部失ってしまっています。Parabolic SARとSupertrendを重ねて表示してみると、違いが明瞭です。
どちらもメリット・デメリットがあるため、単純に優劣を比較することは難しいですね。印象としては大きな時間足(1時間足、4時間足、日足など)でスイングトレードするならばSupertrend、短い足手の短期トレードならばParabolic SARという感じですね。次回、Supertrendを使った具体的なトレード手法(ストラテジー)について考察してみます。