ナンピンを駆使して凄い利益を出してるトレーダーの話を、SNSなどで耳にしたりしますよね?すごい手法らしいけど、難しそうだし実際勝てるのかな?って思ったことありませんか?
一方で「ナンピン?悪いこと言わないからやめとけ!やめとけ!」と頭ごなしに否定する人々も少なくありません。
この記事では難解・高度とされる「ナンピン手法」について以下の3点を解説します。
- ナンピンとは?意味は?
- ところでナンピンは勝てるのか?
- ナンピンを活用した手法を解説
ナンピンは、難解で高度な手法であるため、一筋縄ではいかないのじゃ。
じゃが、正しく使うことで非常に強力な武器にもなるぞ。
ナンピンとは?意味は?
ナンピンは、ポジション保有後にレートが逆行した際、ポジションと同じ方向に新規で仕掛ける(ポジションを追加する)テクニックです。
ナンピンは”難平”と書き、もともとは株式投資用語です。
- 難=損失
- 平=平均化
つまり、損失を平均化すること、それがナンピン(難平)の本来の意味です。上昇すると読んで購入した株式が予想に反して下落した時に、さらに追加購入(買い増し)して平均化することで購入コストを下げる狙いがあります。
ナンピンのメリットとは?
FXにおけるナンピンも同様の狙いがあります。例えば…
ドル円が上昇すると予測して、1ドル=100円で買いポジションを持ったとします。
この時点での取得単価は…100円ですね。
ところが、予想に反してドル円が95円まで下落します。
このときに(また反発して上昇するだろう)と判断すれば、95円で新たな買いポジションを持ちます。これがナンピンです。
95円でナンピンしたときの平均取得単価を計算してみましょう。
1回目…100円
2回め…95円
平均取得単価=(100円+95円)÷2=97.5円
2つのポジションの平均取得単価は97.5円です。
ナンピンした時点でのドル円は95円ですが、為替レートが97.5円を超えれば2つのポジションはプラスに転じることができます。つまり損益分岐点が100円から97.5円に下がったことを意味します。
ナンピンの最大のメリットがこれ、つまり平均取得単価を下げることにあるのです。
ナンピンのデメリットとは?
もちろんメリットだけではありません。ナンピンにはデメリットも存在します。
先ほどの例で解説します。
ドル円が上昇すると予測して、1ドル=100円で買いポジションを持ったとします。
この時点での取得単価は…100円ですね。
ところが、予想に反してドル円が95円まで下落します。
このときに(また反発して上昇するだろう)と判断すれば、95円で新たな買いポジションを持ちます。これがナンピンです。
95円でナンピンしたときの平均取得単価を計算してみましょう。
1回目…100円
2回め…95円
平均取得単価=(100円+95円)÷2=97.5円
2つのポジションの平均取得単価は97.5円です。
———————– ここまでは同じ ———————–
ところが…!
上昇すると予想した為替レートが、さらに下落してしまいました!
ドル円は93円まで下落し、さらに下落余地がありそうな気配です。
ここで「損切りやむなし…」と判断し、2つのポジションを損切りします。
損失は以下の通り。
1つ目のポジション…▲7円
2つ目のポジション…▲2円
損失の合計は▲9円です。ナンピンしたことによって損失額が増大してしまいました。
ナンピン戦略が失敗してしまうと、損失額が増大してしまうリスクがあるのですね。たとえ損切りしなくても、ポジションが増えたことにより証拠金維持率が下落し、強制ロスカットまでの距離が短くなるリスクも存在します。
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ところでナンピンは勝てるのか?
ナンピンは、そのリスクの大きさから、非常に高度なスキルが求められる手法であるというのが一般的な解釈です。
なかには、「ナンピンだけは絶対するな!」などと解説するトレーダーもいるほどです。
では、ナンピンは勝てないのか?やるべきではないのか?と疑問に思いますよね。
結論から言えば、ナンピンは決して禁じ手ではありません。
ナンピンを正しく使うことができれば、様々な場面で効力を発揮する素晴らしいテクニックなのです。
撤退を前提とした一発逆転を狙う”ナンピン戦略”とは?
実際のところ、局面に応じて”戦略的なナンピン”を実践している中級・上級トレーダーは少なくありません。では、ナンピンをどのような場面で使うと効果的なのか?
今回は効果的なナンピン戦略のひとつを紹介します。撤退(損切り)を前提とした一発逆転を狙うナンピンです。中級トレーダー以上ならば誰でも知っている手法の一つです。
”損切りライン”ギリギリまで引きつけてポジションを建てる
ポジションを保有後、レートが思惑とは逆の方向に動いたとします。つまり含み損が発生した状態ですね。損切りラインは事前に設定していますので、レートが逆行してすぐにストップにかかるようであれば潔く負けトレードを受け入れます。
ところが、損切りラインにレートが近づいても、ギリギリでもたもたしているような局面があります。トレンドの転換も確認できない状況です。サポレジが効いていてここからの反発が予測できそうです。この局面で「撤退(損切り)を前提とした一発逆転を狙うナンピン」を行ないます。
ストップラインにギリギリにレートを引きつけ、そのタイミングで同方向にポジションを建てるのです。新ポジションのストップは、最初のポジションと同じ位置です。ロット数も一緒です。
2回目に建てたポジションによって、2つのポジションの平均購入コスト(レート)を押し下げることが可能になります。
その後、不運にも2つのポジションがストップにかかれば、潔く撤退します。この場合、2回目に建てたポジションの損失は大きくありません。SLギリギリのレートで建てているため、ダメージは限定されます。
一方、相場が持ち直して思惑方向にレートが伸びれば(つまり予測が正しかった場合)、少しの戻りで収支をトントン(プラマイゼロ)まで持ってくることが可能になります。また、そのままレートが伸びてくれれば2つのポジションによって大きな含み益を手にすることが可能になるのです。
これが撤退(損切り)を前提とした一発逆転を狙うナンピン戦略です。
具体例で解説
具体例を出して解説します。
現在のUSDJPY(ドル円)が110円だとします。上昇トレンドを予測して、110円で”買いポジション”を持ちます。このときの損切りラインは直近安値の108円に置きます。
ところが思惑に反してドルが下落しレートが逆行してしまいます。このまま108円まで下落すれば損切りです。
しかし、108円のサポートライン(直近安値)が効いているのか、108円手前でレートがグズグズしています。ここで反発して再び上昇を目指す可能性も少なくありません。この辺りの見極めは非常に難しく、経験値に裏打ちされた大局観が求められます。
このタイミングで、ナンピン戦略を取ります。108円15銭辺りで2回目のポジションを建てるのです。ストップは1つめのポジションと同様、108円です。
ポイントは、ストップラインギリギリまで引きつけて2回目のポジションを建てることにあります。
このまま反発せずに108円のストップにかかれば、2つのポジションは損切りとなります。潔く諦めますが、2回目のポジションの損失は大きくないので、ダメージは「1回目の損失+α」です。
ナンピン戦略が功を奏するのは、レートが反発・上昇したときです。110円と108円15銭の2つのポジションの平均購入レートは、約109円08銭です。レートが109円08銭まで戻せば収支はプラマイゼロとなります(解説用にスプレッドは考慮していません)。この時点で、一度撤退して仕切り直してもOKです。
さらにレートが伸びていく兆しがあれば、そのまま2つのポジションを保有し続けることで含み益に転じます。ビッグトレンドに乗る可能性もゼロではありません。状況に応じて最初のポジションを利確し、深い位置で建てた2回目のポジションの含み益を伸ばすという戦略も取ることが可能になります。
ダメージを小さくして潔く”撤退”することが目的
ただし、この手法は強靭な精神力が求められます。なぜなら基本的に撤退(損切り)前提の戦略だからです。成功率はそれほど高くはありません。感覚的には40%くらいですね。
そもそもレートが逆行する時点で、読みが外れているのです。ここで新たなポジションを建てることには心理的な抵抗があります。その上、損切りラインギリギリまで引きつけて仕掛けることは、すなわちすぐに損切りにかかってしまう可能性があるわけです。
このナンピン戦略をおこなうときは、プラマイゼロで撤退することをまずは一番の目標にするべきです。損失を最小限(できればプラマイゼロ)にして一旦撤退し、仕切り直すことが最大の目標です。そのうえで、あわよくば利益を狙う…これが正しい心構えです。
撤退(損切り)を前提とした一発逆転を狙う”ナンピン戦略”とは、つまりそういうことなのです。この戦略におけるナンピンは、あくまでもダメージを小さくして撤収することが目的です。
ナンピンは正しく使えば「悪手」ではない
ナンピンを「悪手」と捉え、全否定するFXトレーダーも少なくありません。個人的にはナンピンをストラテジーの中心に据えることには否定的です。ただ、ナンピンを効果的に使うことで、損失を最小限に抑えることも不可能ではありません。本記事で紹介したナンピントレードは、ほんの一例です。
ナンピンのリスクを正しく理解し局面に応じて活用することで、優位性を発揮することが可能になります。自身のアイテム(武器)を増やすつもりでナンピンを研究してみるのも面白いかもしれませんね。
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ナンピンを活用した手法を解説
ナンピンが最も活用される場面は、レンジ相場におけるループイフダン・トレードです。
ループイフダンとは、レートが下落するときに最初に決めた値幅で段階的に買い、その後レート上昇時に段階的に売るという手法です。これをIFD注文で自動的に繰り返します。マネースクウェアのトラリピと仕組みは基本的には同じです。
一定幅の価格帯を上下するという為替相場の特性を利用したトレード手法です。戦略的にナンピンを仕掛けることで、レート戻り時に利益を細かく取っていきます。
ドル円相場のレンジ幅を推測し、その中でレートが上下すると考えれば、以下の戦略が成り立ちます。
- レート下落中…段階的に買いポジションを建てる(ナンピン)
- レート上昇中…段階的に売りポジションを建てる(ナンピン)
これらをIFO注文で自動化します。
レンジ相場内でレートが推移する限り、細かな利確を繰り返し利益を積み上げていくことが可能です。これが戦略的ナンピン手法の代表例です。
ネガティブなイメージがつきものの「ナンピン」じゃが、正しい資金管理の元でナンピンをおこなうのであれば、あなたの武器の一つになるじゃろう。
何度も言うが、ナンピンをおこなう際は、資金管理が非常に重要になってくるぞ。