FXにおける”証拠金維持率”とは?
FXの3大難解用語がこちら。
今回はこの中から、証拠金維持率を取り上げます。
証拠金維持率って、つまりロスカットの判定に使う数字だよね?
証拠金維持率って何でしょうか?わかってるようでちゃんと説明できる人ってそんなに多くないですよね?
証拠金維持率は、必要証拠金に対する口座資金(純資産額)の割合を示す数字じゃよ。
簡潔に述べるなら、保有ポジションを維持するお金に対して、口座資金がどれくらい余裕があるかを数値化したものじゃ。
ロスカット発動の目安としても使われるぞ。
まずは計算式を解説します。
証拠金維持率の計算に使用する項目は以下の2つ。
- 必要証拠金
- 有効証拠金
1.必要証拠金とは?
必要証拠金は、取引する際に用意するお金です。米ドル円(USD/JPY)1万通貨を取引する際に用意する必要証拠金をレバレッジ毎にまとめると以下の通り(1ドル100円で算出)。
レバレッジ | 必要とされる証拠金 |
1倍 | 1,000,000円 |
5倍 | 200,000円 |
10倍 | 100,000円 |
25倍 | 40,000円 |
100倍 | 10,000円 |
200倍 | 5,000円 |
400倍 | 2,500円 |
1000倍 | 1,000円 |
1万通貨(100万円)をレバレッジ25倍で取引する際に用意すべき必要証拠金は40,000円です。
2.有効証拠金とは?
有効証拠金とは、口座残高に含み益or含み損をプラスマイナスした金額のことです。実質証拠金と呼ばれることもあります。以下の図をご覧ください。
含み益が発生している場合は、含み益を口座残高に加えた総額が有効証拠金です。
一方、含み損が発生している場合は、口座残高から含み損を差し引いた総額が有効証拠金となります。
含み益や含み損を加えるため、取引中は常に有効証拠金が変動します(時価評価計算している)。含み益が増えれば有効証拠金は増大し、含み損が増えれば有効証拠金は減少します。
有効証拠金は、取引中は常に変動しておるぞ。
証拠金維持率の計算をわかりやすく解説します
まずは計算式です。
具体例を出して解説します。
口座には30万円を入金しています。
1ドル=100円のときにドル円を10,000通貨(100万円)購入します。
必要証拠金は10万円にします(レバレッジ10倍)。
まずは購入したタイミングでの証拠金維持率を計算してみましょう。
含み益も含み損も発生していない前提です(実際にはスワップ損益などが発生しますが、ここでは説明のために省きます)。
有効証拠金は…
=30万円+(含み益 or 含み損)
=30万円+0円
=30万円
含み益も含み損も発生していないので、有効証拠金は30万円のままです。
このときの証拠金維持率は…
=(有効証拠金 ÷ 必要証拠金)✕100
=(30万円÷10万円)✕100
=300%
証拠金維持率は300%です。
”含み益”が発生した場合の証拠金維持率の変化
さて、ポジションを保有後にレートが上昇した場合(100円→101円)の証拠金維持率を計算してみましょう。1円の上昇で含み益はいくらになるか。
含み益=1円 ✕ 10,000通貨(1ロット)
含み益=1万円
1万円ですね。有効証拠金は30万円に1万円を加えた31万円です。
ここで重要なポイントです。必要証拠金もレート変動に伴って微妙に変化します。計算してみましょう。
1ドル=100円→101円
レバレッジ10倍
必要証拠金
=101円✕10,000通貨÷10
=101,000円
必要証拠金は100,000円から101,000円へと変化していますね。
有効証拠金だけでなく、必要証拠金もレート変動に合わせて変化するのじゃよ。
ここが重要なポイントじゃよ。
ようやく必要な数字が出揃いました。では証拠金維持率を計算してみましょう。
=(有効証拠金 ÷ 必要証拠金)✕100
=(31万円÷10.1万円)✕100
=306.93%
証拠金維持率は306.93%です。※実際の計算にはスワップ損益も含まれるため微妙に異なります。
1円の含み益で、証拠金維持率は300%から307%まで上昇した!
”含み損”が発生した場合の証拠金維持率の変化
次に、ポジションを保有後にレートが大幅に下落した場合(100円→95円)の証拠金維持率を計算してみましょう。5円の下落で含み損はいくらになるか。
含み損=▲5円 ✕ 10,000通貨(1ロット)
含み損=▲5万円
5万円の含み損となりますね。
すると有効証拠金は30万円から5万円を差し引いた25万円です。
当然、必要証拠金もレート下落に伴って大きく変化します。計算し
1ドル=100円→95円
レバレッジ10倍
必要証拠金
=95円✕10,000通貨÷10
=95,000円
必要証拠金は100,000円から95,000円へ減少しました。
証拠金維持率を計算してみましょう。
=(有効証拠金 ÷ 必要証拠金)✕100
=(25万円÷9.5万円)✕100
=263.15%
証拠金維持率は263.15%です。※実際の計算にはスワップ損益も含まれるため微妙に異なります。
5円の含み損で、証拠金維持率は300%から263%まで下がってしまった…。
証拠金維持率は、レートに連動しリアルタイムに時価評価計算されている
FX会社のプラットフォームで表示される証拠金維持率は、ざっくりと上のようなロジックで計算されています。※実際の計算にはスワップ損益も含まれるため微妙に異なります。
証拠金維持率は、レート変動に合わせてリアルタイムに有効証拠金と必要証拠金を再計算(=時価評価計算)して算出しとるんじゃよ。
なるほど!
証拠金維持率が、常に変動する理由はこれだったんだね!