証拠金維持率とロスカットの深い関係
証拠金維持率 ← おまいら計算できる?にて、証拠金維持率の詳細な計算(算出)方法を解説しました。計算式は以下の通り。
今回は、証拠金維持率がFX取引にどのような影響を与えるかについて詳しく解説します。多くの方が知っているように、証拠金維持率は追証(追加証拠金)発生や強制ロスカット発動の基準として使用されます。
例えばGMOクリック証券では次の通り。
証拠金維持率 | |
100%未満 → | 追証発生 |
50%未満 → | 強制ロスカット執行 |
証拠金維持率が100%を下回ると、追加証拠金(追証)が発生し、50%を下回ると瞬時に強制ロスカットが執行されます。
証拠金維持率は、追証(追加証拠金)発生や強制ロスカット発動の基準として使用されているんじゃよ。
じゃから証拠金維持率すごく重要なデータなのじゃよ。
証拠金維持率の変化で追証やロスカットが発生するケースとは?
どのような取引(相場変動)があった場合に、追証やロスカットが発生するのか、具体的に解説します。ここではGMOクリック証券の追証&ロスカットルールで考えてみましょう。
証拠金維持率 | |
100%未満 → | 追証発生 |
50%未満 → | 強制ロスカット執行 |
口座には10万円を入金しています。
1ドル=100円のときにドル円を10,000通貨(100万円)購入します。
必要証拠金は4万円にします(レバレッジ25倍)。
まずは取引開始直後の証拠金維持率を計算します。
有効証拠金
=10万円+(含み益 or 含み損)
=10万円+0円
=10万円
証拠金維持率(%)
=(有効証拠金 ÷ 必要証拠金)✕100
=(10万円÷4万円)✕100
=250%
証拠金維持率は250%です。決して高くはありませんが問題のない水準ですね。
では、ポジション保有後に1ドル=94円まで下落したとしましょう。そのときの証拠金維持率を計算します。まずは6円の下落。含み損は6万円です。
含み損=▲6円 ✕ 10,000通貨(1ロット)
含み損=▲6万円
有効証拠金は10万円から6万円を差し引きますので、4万円です。
=10万円ー含み損
=10万円ー6万円
=4万円
必要証拠金は以下の通り。
1ドル=100円→94円
レバレッジ25倍
必要証拠金
=94円✕10,000通貨÷25
=37,600円
必要証拠金は40,000円から38,000円へ減少しました。証拠金維持率を計算してみましょう。
=(有効証拠金 ÷ 必要証拠金)✕100
=(4万円÷3.76万円)✕100
=106.38%
証拠金維持率は106.38%です。※実際の計算にはスワップ損益も含まれるため微妙に異なります。
追証発生(100%未満)まであとわずかです。危険水域であると言えますね。
ここまでの含み損(▲6万円)で諦めて損切りをするか、もしくは追証発生前に口座に追加資金を投入するか、あるいは相場が奇跡的に回復するのを祈るか…選択はトレーダーに委ねられます。
証拠金維持率が106%まで下がってしまったわ…
どうしようかしら?
もしかするとレートが戻るかもしれないし、もうちょっと粘ってみようかしら
含み損が拡大すれば証拠金維持率はグングン下がる…
Aさんは、レートが戻ることを信じて耐えることにしました。ところが…!
大変!93円まで下落しちゃったわ!
なんと!1ドル=93円まで下がってしまいました!7円の下落です!
含み損=▲7円 ✕ 10,000通貨(1ロット)
含み損=▲7万円
有効証拠金は3万円まで減少してしまいました。
=10万円ー含み損
=10万円ー7万円
=3万円
必要証拠金もレート下落に伴って変化します。
1ドル=100円→93円
レバレッジ25倍
必要証拠金
=93円✕10,000通貨÷25
=37,200円
必要証拠金は40,000円から37,200円へ減少しました。証拠金維持率を計算すると…!
=(有効証拠金 ÷ 必要証拠金)✕100
=(3万円÷3.72万円)✕100
=80.64%
証拠金維持率は、80.64%です。
ついに100%を下回ってしまったのです!
多くのFX会社の場合、営業日終了時点(NYクローズ時点)での証拠金維持率を基準に追加証拠金(追証)発生の有無が決まります。つまり、レートが戻らず証拠金維持率が100%を下回ったままNYクローズを迎えると、追証が発生することになります。
GMOクリック証券の場合は、追証発生日の翌営業日(祝日を除く)午前3時までに追加証拠金を入金するか、ポジションをクローズすることを求められます。
もしも追証発生日の翌営業日(祝日を除く)午前3時までに追証が解消されなければ、強制決済が執行されます。
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強制ロスカット発動のケースとは?
次に強制ロスカット発動のケースを解説します。
通常、レートが逆行し含み損が拡大するケースにおいては、証拠金維持率はレート変動に合わせて下がっていきます。下がるスピードはレート下落のスピードに準じます。ゆるやかにレートが下落すれば証拠金維持率もゆっくりと下がりますので、追証の準備をするなどの対策も可能です。
ところが…フラッシュ・クラッシュのような瞬間暴落が発生した場合は、わずか数秒、数分の間に一気にレートが変動します。レート飛びも発生します。
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では再びAさんに登場してもらいましょう。
口座には10万円を入金しています。
1ドル=100円のときにドル円を10,000通貨(100万円)購入します。
必要証拠金は4万円にします(レバレッジ25倍)。
1ドル100円で買いポジションを持ったAさん。ところがこの直後、大暴落に遭遇してしまいます。
9円の瞬間暴落発生!
わわわわ!91円まで下落!な、なにが起こったの?!
(かなり極端な例ですが)なんと瞬時に91円まで暴落してしまったのです。まさにフラッシュクラッシュ(瞬間暴落)です。瞬間暴落が発生したときのAさんの証拠金維持率は…
含み損
=▲9円 ✕ 10,000通貨(1ロット)
=▲9万円
有効証拠金
=10万円ー含み損
=10万円ー9万円
=1万円
必要証拠金
=91円✕10,000通貨÷25
=36,400円
証拠金維持率
=(有効証拠金 ÷ 必要証拠金)✕100
=(1万円÷3.64万円)✕100
=27.42%
Aさんの証拠金維持率は、強制ロスカット執行の基準となる50%を下回ってしまいました。
証拠金維持率 | |
100%未満 → | 追証発生 |
50%未満 → | 強制ロスカット執行 |
Aさんのポジションは、なすすべもなく強制ロスカットされてしまいました…。含み損9万円のまま強制的にポジションが決済されるため、Aさんの口座資金は10万円から1万円に減ってしまいました。
ギャー!強制ロスカットー!
口座の10万円が、1万円になってしまったわ…(泣)
追証とは異なり、強制ロスカットは50%を割り込んだ瞬間に行われます(自動的に反対売買が行われる)。
極端な例じゃが、証拠金維持率と『追証』『ロスカット』の関係性がよく分かるじゃろ?
それくらい証拠金維持率は重要なのじゃよ。