「破産者マップ」は、弱者をネタに集客する”陰湿サイト”の最たるもの
「破産者マップ」がネットを賑わせています。
※破産者マップは2019年3月19日に完全に閉鎖されました。
「破産者マップ」とは、全国の自己破産者を地図上に落とし込んで、誰でも閲覧できるようにした民間サービスです。個人が運営していると思われ、サイトにアクセスするとピンだらけの地図(Google Map)が表示されます。
ピンをクリックすると、
- 自己破産者の本名&旧姓
- 自己破産者の住所
- 破産日
などが表示される仕組みです。データのソースは官報と思われます(もしくはどこからか手に入れた名簿)。自己破産すると個人情報が官報に記載され誰でも閲覧が可能となります。官報に掲載される個人情報は以下の通り。
- 自己破産者の氏名や俗称
- 自己破産者の住所
- 自己破産の理由(裁判の主文)
サイト運営社は官報に掲載された情報を徹底的に拾い上げ、Googleマップに落とし込んだわけです。
官報は誰でも閲覧可能ですが、わざわざ近所の自己破産者を調べるために官報を手にする人は多くありません。そもそも官報の存在を知らない人が大半です。官報を知っていても、自己破産者の情報が掲載されている事実を知らない人も多いはず。
官報は各都道府県にある官報販売所で、一部130円で購入できます。定期購読は1520円です。基本的には毎日発行されています。また、ネット版官報もあり、直近30日分の官報が閲覧可能です。
官報に記載された自己破産者情報を何らかの形で手に入れ、ネット上の地図(Google Map)で誰でも容易に閲覧できるようにしたサービスが「破産者マップ」です。
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悪意と下品さに満ちた「破産者マップ」
「破産者マップ」運営者の真の目的はよくわかりませんが、”弱者”をネタにアクセスを集めようとするその無神経さに「悪意」と「下品さ」を感じます。
運営者の言い分としては、「誰でも閲覧可能な情報をGoogle Mapに落とし込んだだけ、何が悪いの?」ということでしょう。しかし、このサービスが広まることで、自己破産から再起しようとして奮起している人々の人生を困難にする可能性が大いにあります。自己破産者の家族や身内が、様々な形でいじめや攻撃をされる恐れすらあります。
もしかすると、自己破産者の子どもが学校で「いじめ」に遭うかもしれません。自己破産者の子どもが就職で不利な扱いを受けるかもしれません。少し考えれば誰でも想像できることです。
運営者に対して削除要請も多数届いているようで、一応その削除要請には応じるとしています。現時点で800名の削除要請が届いているとのことですが、そもそも削除要請している人々は、「破産者マップ」の存在に気がついた人です。
「破産者マップ」の存在に気がついていない人がまだ無数にいて、彼ら(と彼らの身内)は今後、多くの風評被害にさらされ、深く傷つく可能性があります。そのことすら想像できない運営者。倫理観のかけらもありません。
「自己破産」という再起の道を閉ざしかねない→自殺者が増えるかも…
「破産者マップ」がこれだけ話題になり、今後もサービスが続くようならば、「自己破産」という再起の道を閉ざしかねません。
自己破産とは、もう一度人生をやり直すために用意された再起の道です。自己破産というルールのおかげで、地獄から再起を果たした人も無数に存在します。
しかし「破産者マップ」の出現により状況は一変します。自己破産すれば「破産者マップ」に名前や住所が情報開示され、友人や同僚などの衆目にさらされることになります。自己破産者の配偶者や子どもも、肩身の狭い思いをすることになるでしょう。
「破産者マップ」の存在によって、せっかく用意された再起のルールで「自己破産」を選択するリスクが高まるわけです。結果的に、「自己破産」を選択したくてもできないという人々も出てくるはず。
彼らは「自己破産」を選べなために、より最悪な「選択」を余儀なくされるかもしれません。たとえば「自殺」。あるいは「犯罪」…。
「破産者マップ」の存在が「自殺者」や「犯罪者」を増やすことにつながらないか非常に心配です。
今、「破産者マップ」を擁護している「あなた」だって、今後の人生の中で、なにか不可抗力が原因で自己破産を選ばざるを得ないことが起こり得るかもしれないのです。そのときに「破産者マップ」の存在を心の底から憎むかもしれません。
運営者は、どうしてここまで考えが及ばないのか…それともわかっていてやっているのか…。「破産者マップ」は反吐が出るほど悪意に満ちているサービスという印象です。
最悪の場合、運営者の身が危険に晒される可能性もありますね。今後も「破産者マップ」を公開し、情報を更新し続けるならば、いつか「無敵の人」が現れて凶行に及ぶかもしれません。
なにもかも失い、さらにネット上に「恥」を公開され、家族や親族もとばっちりを受けて社会から抹殺される…そのときに「破産者マップ」運営者に激しい恨みを抱く人が出てくるかもしれません。彼は全てを失った「無敵の人」です。
今後も、多くの人から恨みを買うサービスを続けていくつもりなのでしょうか?それはそれで勇気のあることですが身辺に気をつけることをおすすめします。
「破産者マップ」集団訴訟、待ったなしか?
大量のアクセスによってサーバーダウンしているのか、現在はアクセスでいない「破産者マップ」。とはいえ、ネットで話題になればなるほど、心を痛める人が増えてくるはず。
現在、集団訴訟サイト「enjin」にて集団訴訟の動きも出てきています。
破産者マップに関する集団訴訟
破産者マップは、破産者の情報を詳細に掲載し(https://www.hasanmap.tokyo/sample-page/)
誰もが検索しやすいように作られており、これを以て破産者を特定し、間接的(地域での風評)、直接的(個人情報の漏洩)な嫌がらせとなります。また、再起を図る個人の権利を害し、その親族家族にとっても「いじめ」を誘発する要因となり、非常に悪意のあるサイトと断定しました。
もし、あなたの家族が再起する、子どもが進学をする時にこれらを企業側が参考とする可能性も高く、それによって受ける損失や不利益は金額では表せません。
引用:enjin
「破産者マップ」そのものは、法に抵触しないかもしれませんが、だから許されるというわけでもなさそうです。
法に抵触せずとも、掲載された人々が「破産者マップ」によって明らかな不利益を被った場合は、その埋め合わせを求められます。
個人情報をさらされた人々が精神的苦痛を受ければ、その精神的苦痛という損害の賠償(=慰謝料)を求められる可能性が十分にあります。名誉毀損にも該当しそうですね。
今後の「破産者マップ」運営者の対応が気になります。
※破産者マップは2019年3月19日に完全に閉鎖されました。