FXのロットとは?
重要なFX用語のひとつである「ロット」。英語では「lot」と書きます。
本来の意味は「割り当て」とか「くじ引きによる分け前」です。
一般的には、製造業などでまとまった数量を表す単位として使われることが多いですね。発注ロットとか生産ロットなど。1ロット=100個などの基準ならば、「1ロットから製造を請け負います」とか「購入は最低10ロットからお願いします」というふうに使われます。
一方、FXでは取引の最小単位(最小ポジションサイズ)として使われています。
つまりFX取引におけるポジションサイズ(通貨の数量)の最小単位をロット(lot)と呼ぶのですね。
FX取引における最小単位(通貨数)を、”ロット(lot)”と呼んでいるのじゃよ。
もう一つの重要なFX用語に「pips(ピップス)」がありますが、こちらも通貨ペアレートにおける最小の変化(変動幅)を表す単位でしたね。
- lot(ロット)…FX取引におけるポジションサイズの最小単位
- pips(ピップス)…通貨ペアレートにおける最小の変動幅を表す単位
元来は”1ロット=10万通貨”がグローバルスタンダードだったが…
ロットは一定のまとまった数量を表す単位でしたね。FXにおいても同じです。
1ロットの数量はこちら。
1ロット(グローバル基準)
- 1ロット=100,000通貨
1ロット=10万通貨。これがグローバル基準です。
1ロット=10万通貨が、グローバルスタンダードじゃよ。
ところが近年、より小さなロットで取引できるようになったため(特に日本国内で)、新たなロットの基準が生まれました。それがこちら。
1ロット(新基準 ※主に日本国内のFX会社が採用)
- 1ロット=10,000通貨
1ロット=1万通貨です。日本国内のFX会社の多くは「1ロット=1万通貨」を採用しています。
FX取引を身近なものにするために、少ない資金でも取引しやすいよう、1ロットの数量を小さくしたのじゃよ。
つまり、FXの世界においては、現在主に2つのロット基準が混在していることになります。
ロット単位の基準は2つ
- 1ロット=100,000通貨(←グローバル・スタンダード)
- 1ロット=10,000通貨(←日本国内のFX会社の多くが採用)
また、同一FX会社の中でも、口座のタイプによってロットの数量を変えているケースもあります。例えばXM。
取引口座の種類 | ロット単位 |
マイクロ | 1ロット=1,000通貨 |
スタンダード | 1ロット=100,000通貨 |
また、通貨ペア毎にロット単位を変更している場合もあります。例えば外為どっとコム。
取引通貨ペア | ロット単位 |
RUB/JPY | 1ロット=10,000通貨 |
上記以外の通貨ペア | 1ロット=1,000通貨 |
RUB/JPY(ロシアルーブル・日本円)のみ1ロットは10,000通貨となっていますね。
ご覧いただいたとおり、「1ロット」の基準はFX会社や取引口座によって様々であり、レバレッジ同様、もはや共通言語とは言えなくなってきています。
ロットは便利な単位だが、もはや共通言語ではない
ですので、なるべく第三者と話すとき(あるいは解説するとき)は、ロットではなく通貨数でお伝えするようにしています。
誰かが「1ロットでロングした」と述べた場合、1ロットが何通貨を指し示しているのかは、ロット基準(=証券会社のルール)によって異なるからです。
Aさん
(A証券で)1ロットを取引しています。
Bさん
(B証券で)1ロットを取引しています。
Aさん、Bさん、どちらも1ロットの取引ですが、
- A証券…1ロット=1万通貨
- B証券…1ロット=10万通貨
証券会社によって単位が異なれば、実際の取引数量(ポジションサイズ)は10倍も異なります。
Aさん
(A証券で)1ロットを取引しています。
実際の取引数量は1万通貨です。
Bさん
(B証券で)1ロットを取引しています。
実際の取引数量は10万通貨です。
とはいえ、ロット(lot)は便利な言葉なので、非常によく使われています。結果、誤解を招くことも多々あるのですが…。
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1ロットが10,000万通貨、だとしてその意味は?
さて、日本国内のFX会社の多くが、1ロット=10,000通貨という基準を採用しています。
ところで、1ロット=10,000通貨とは、いったいどういう意味なのでしょうか?
そもそも通貨ペアは、「左側通貨」の現在価値を「右側通貨」の単位で表しています。
ドル円(USD/JPY)ならば、1ドルの現在価値を日本円で表します。ドル円の為替レートが「1ドル=113円」ならば、
と捉えます。ユーロドル(EUR/USD)が「1ユーロ=1.142ドル」ならば、
と捉えます。つまり、全ての通貨ペアは「左側通貨」の現在価値を「右側通貨」の単位で表しているわけです。
FX取引は、「左側通貨」の現在価値を「右側通貨」の現在価値(単位)に変換して取引するのが基本です。
左側通貨」の現在価値を、「右側通貨」の現在価値(単位)に変換して取引するのがFXの基本じゃよ。
さて、1ロットは、通貨ペアを取引する際の最小単位(通貨数)でしたね。
米ドル円を1ロット(=10,000通貨)取引するということは、「左側通貨」を「右側通貨」の単位で取引することを意味しますので、”10,000通貨の米ドルの現在価値”を日本円に変換して取引することを意味します。
つまり、ドル円1ロット(10,000通貨)とは、米ドル(左側通貨)を10,000個、つまり10,000ドルを取引することになりますね。
その時の現在価値を日本円(右側通貨)に変換するわけですから、(1ドル=113円ならば)10,000通貨は、113万円になります。
10,000通貨 = 1ドル ✕ 10,000個 = 10,000ドル(左側通貨)
1ドル = 113円
10,000ドル = 113円 ✕ 10,000 = 113万円(右側通貨)
このことから、以下の数式が導き出されます。
1ロットの計算式
- 1ロット = 為替レート ✕ 取引通貨数(例えば10,000通貨)
1ロット1万通貨の取引口座における、1ロット当たりのドル円の取引価格は、
1ロット10万通貨の取引口座における、1ロット当たりのドル円の取引価格は、
日本円を含まない取引におけるロット計算
日本円を含まない通貨ペアについても考えてみましょう。例えば、EUR/USD(ユーロドル)を1ロット(1万通貨)取引する場合です。
「左側通貨」を「右側通貨」の単位で取引することを意味しますので、”10,000通貨のユーロの現在価値”をドルに変換して取引することを意味します。
つまり、ユーロドル1ロット(10,000通貨)とは、ユーロ(左側通貨)を10,000個、つまり10,000ユーロを取引することになりますね。
その時の現在価値をドル(右側通貨)に変換するわけですから、(1ユーロ=1.14ドルならば)10,000通貨は、11,400ドルになります。
10,000通貨 = 1ユーロ ✕ 10,000個 = 10,000ユーロ(左側通貨)
1ユーロ = 1.14ドル
10,000ドル = 1.14ドル ✕ 10,000 = 11,400ドル(右側通貨)
EUR/USDを1ロット取引する際の取引規模は11,400ドルとなります。
ドル表示がわかりにくい場合は、日本円に戻せばOK。
1ドル = 113円
11,400ドル = 11,400 ✕ 113円 = 1,288,200円
慣れるまでは大変ですが、慣れてしまえばどうってことない計算です。