ロットとレバレッジの関係性について整理しよう
FXのロットとは?で、1ロットっていくらなの?計算式を教えて!に対するご質問をいただきました。

FX初心者です。ロットの解説はわかりやすかったです。
ただロットとレバレッジの関係性がよくわかりません。
ロットを増やすとレバレッジが増えると考えて正しいでしょうか?
間違っていますでしょうか?

ホホホ、この質問はFX初心者あるあるじゃのー。
まず整理しましょう。ご質問者が気にしているレバレッジは、どのような意味で使っているのか?おそらくご自身もわかっていないと思います。
それぞれの違いは以下の記事にて詳しく解説しています。

必要証拠金に対するレバレッジ
- 必要証拠金に対して保有するポジション総額が何倍なのか?
口座資金に対するレバレッジ(=実効レバレッジ)
- 口座資金に対して保有するポジション総額が何倍なのか?
レバレッジ概念が異なれば、必然的にご質問者に対する回答は異なります。
1.ロット数と”必要証拠金に対するレバレッジ”の関係
まずは必要証拠金に対するレバレッジとロット数の関係から解説します。
あなたがよく目にするレバレッジ表がこちら。ここでは1ロットを10,000通貨(1ドル=100円)として解説します。
1ロット取引に必要とされる証拠金 | レバレッジ |
1,000,000円 | 1倍 |
200,000円 | 5倍 |
100,000円 | 10倍 |
40,000円 | 25倍 |
10,000円 | 100倍 |
5,000円 | 200倍 |
2,500円 | 400倍 |
1,000円 | 1000倍 |
米ドル円を1ロット(10,000通貨)取引する際に必要な証拠金をレバレッジ毎にまとめた表です。
ロットを増やすということは取引する金額(通貨数)が増えることを意味します。そして、取引する金額に対して証拠金をどれくらい用意するか?によってレバレッジは変化します。つまりレバレッジは結果に過ぎません。この点を正しく理解する必要があります。
具体的に解説します。

1ロット(10,000通貨=100万円)を取引する際に、証拠金を10万円用意するわ!
Aさんは、1ロット(10,000通貨=100万円)を取引する際に、証拠金を10万円ほど用意しました。このときのレバレッジは何倍でしょうか?
10倍ですね。
ではAさんがロット数のみを増やすとどうなるでしょうか?(証拠金は10万円のままです)

2ロット(20,000通貨=200万円)を取引する際に、証拠金を10万円用意するわ!
レバレッジを計算してみましょう。
レバレッジは20倍です。
ここまで見ると、ロットを増やせばレバレッジも増える(つまり正比例)と思えるかもしれませんが、違います。
以下の例をご覧ください。
Aさんがロット数を増やし、同時に証拠金も増やした場合。

2ロット(20,000通貨=200万円)を取引する際に、証拠金を20万円用意するわ!
レバレッジを計算してみましょう。
レバレッジは10倍のままです。
つまり…レバレッジは結果に過ぎないのです。
取引ロット数に対して必要証拠金をどれくらい用意したか?によってレバレッジが(結果的に)変化するだけのお話なのですね。
同じくAさんが1ロット(10,000通貨=100万円)を取引する際に、証拠金を4万円しか用意しなかった場合…

1ロット(10,000通貨=100万円)を取引する際に、証拠金を4万円用意するわ!
レバレッジを計算してみましょう。
Aさんのレバレッジは25倍です。ロットを増やさなくても証拠金額を下げれば、必然的にレバレッジは上昇します。
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2.ロット数と”実効レバレッジ”の関係
次に、ロット数と実効レバレッジの関係性を考察しましょう。
実効レバレッジは、あなたの口座資金(あなたの余力)に対して、何倍の取引をしているか?を表す指標です。計算式は以下の通り。
実効レバレッジの計算式
- 実効レバレッジ = ポジション評価額(ポジションサイズ ✕ レート) ÷ 全口座資産
Bさんに登場してもらいましょう。

口座資金30万円。
1ロット(10,000通貨=100万円)を取引している!
さて、このときのBさんの実効レバレッジは何倍でしょうか?
=3.3(倍)
実効レバレッジは3.3倍です。
※実効レバレッジ算出においては、証拠金の額(10万円)は一切関係ありません。なぜなら実効レバレッジはポジション評価額と口座資金のみで算出するからです。
ではBさんがロットを増やしたら実効レバレッジはどのように変化するでしょうか?

口座資金30万円。
2ロット(20,000通貨=200万円)を取引している。
さて、このときのBさんの実効レバレッジは何倍でしょうか?
=6.6(倍)
実効レバレッジは6.6倍です。安全とされる実効レバレッジの目安は3倍前後が推奨されているため、6.6倍はリスクが高いと判断できます。つまり口座資金量に対して過剰なポジションサイズを取引していることを意味します。
実効レバレッジが大きくなればロスカットまでの距離が近くなりリスクが高まることは、過去記事にて解説しています。
実効レバレッジが高いと強制ロスカットまでの距離が短くなり危険!
さて、AさんとBさん、どちらがリスクの高い取引をしているでしょうか?必要証拠金に対するレバレッジはどちらも25倍です(…がポジションサイズが異なります)。
Aさん
- 必要証拠金に対するレバレッジ…25倍(1万通貨✕100円÷4万円)
- 実効レバレッジ…3.3倍(100万円÷30万円)
Bさん
- 必要証拠金に対するレバレッジ…25倍(3万通貨✕100円÷12万円)
- 実効レバレッジ…10倍(300万円÷30万円)
いうまでもなく、Bさんの方がリスクが高い取引をしています。口座資金(どちらも30万円)に対する取引量の総額がAさんの3倍もあるからです。
でも、どうして口座資金に対する取引量の総額が多い(実効レバレッジが高い)と、危険なのでしょうか?
それは証拠金維持率への影響度が大きいからです。つまり強制ロスカットまでの距離が短いことを意味します。
万が一Aさん、Bさんがどちらも損切りに合ってしまったら…
Aさんの場合(実効レバレッジ3.3倍)
- 資産30万円、証拠金4万円で1万通貨を取引(レバ25倍)
1円下落で損益は▲10,000円
資産30万円に対する損失の割合は…3.3%
証拠金維持率の変化…750%➔725%Bさんの場合(実効レバレッジ310倍)
- 資産30万円、証拠金12万円で3万通貨を取引(レバ25倍)
1円下落で損益は▲30,000円
資産30万円に対する損失の割合は…10%
証拠金維持率の変化…250%➔225%Aさんは証拠金維持率が750%から725%へ変化。一方のBさんは250%から225%への変化。もともとのスタートがBさんのほうがかなり低いですよね。つまりロスカットまでの距離が短いことを示しています。
実効レバレッジによって”レート逆行に耐えられる幅”=”ロスカットラインまでの距離”が異なるのですね。
仮に100%を強制ロスカットラインと定めた場合、Aさんは26円の下落に耐えられますが、Bさんは18円下落でロスカット発動となります。
※厳密に計算する場合、証拠金維持率を算出するためのポジション必要証拠金額はリアルタイムで変動するため、実際の数字は異なります。ここでは分かりやすく計算を簡略化して解説しています。
ロット数とレバレッジの関係を語る場合、まずレバレッジの定義を確認しよう
身も蓋もない話ですが、正しい資金管理においては、ロット数とレバレッジの関係を気にする必要は1ミリもありません。
仮に気にするならばレバレッジの定義を確認した上で、以下の通り覚えておくと良いでしょう。
ロットと”必要証拠金に対するレバレッジ”との関係性
- 必要証拠金に対するレバレッジは、ロットと必要証拠金のバランスである
- 必要証拠金を一定のままロットを増やせば、レバレッジは大きくなるが、ロットを増やした分だけ必要証拠金を増やせばレバレッジは変わらない
ロットと”口座資金に対するレバレッジ(=実効レバレッジ)”との関係性
- 実効レバレッジは、ロットと口座資金のバランスである
- 口座資金を一定のままロットを増やせば、口座資金に対するレバレッジ(=実効レバレッジ)も大きくなる
- 適切とされる実効レバレッジは3倍前後
リスクについて考える際は、口座資金に対してポジションサイズ(ロット数)がどれほどの倍率なのか?つまり実効レバレッジのみを気にしていればOKです。
もう一度最初のご質問に戻りましょう。

FX初心者です。ロットの解説はわかりやすかったです。
ただロットとレバレッジの関係性がよくわかりません。
ロットを増やすとレバレッジが増えると考えて正しいでしょうか?
間違っていますでしょうか?

レバレッジの定義によって異なるのじゃ。
必要証拠金に対するレバレッジは、ロットと証拠金額のバランスに過ぎないのじゃよ。ロットを増やしたからといってレバレッジが大きくなるかどうかは、その時に用意した証拠金額によるのじゃ。
一方、実効レバレッジはロットを増やせば、比例してレバも大きくなりリスクが高まるぞ。もちろん口座資金を増やすならばリスクは下げられるぞ。