FXのレバレッジが高い方が強制ロスカットされにくい…は本当か?
”ハイレバ取引は相場が少しでも逆方向に動いただけでロスカットされるから危険!”←ウソですの記事に関してご質問をいただきました。
昨日の記事を読みましたが、AさんBさんのレバレッジ毎の証拠金維持率の変化部分で、ハイレバのBさんの方が証拠金維持率に余裕があって、ロスカットされにくいと解説されていましたが、よくわかりません。
どうしてハイレバ(レバ100倍)のBさんの方がロスカットリスクが低くなってしまうのですか?
ハイレバの方がロスカットリスクが高いと思っていましたが違うのですか?
なるほど。直感的に”ハイレバ取引のほうがロスカットリスクが高いのでは?”と感じるのはFX初心者あるあるかもしれません。
そもそも、ロスカットリスクを想定した取引が危険であるということに気付いてほしい
くどいようですが、そもそもロスカットを想定した取引そのものが危険であることを理解しておく必要があります。
ハイレバがロスカットされにくいと聞いた…
レバレッジが低いとロスカットされやすいらしい…
ロスカットされないためにどうすれば良いか…
ロスカットされないためにも証拠金維持率は○○%以上をキープ…
ロスカットされたらどれくらい資金が減るのか…
これらの想定をしなければならないほどの取引をしていること自体が、すでにハイリスクのどろ沼に片足を突っ込んでいるのです。
あなたの資金量(口座に入金した金額)に対して、適切なポジションサイズを常にキープして取引をしていれば、強制ロスカットや証拠金維持率を気にする必要は皆無です。
ところが、FX初心者ほど証拠金維持率やロスカットまでの距離・レバレッジの大きさを気にしたりするのですね。気にしなければいけないのは適切なポジションサイズはどれくらいなのか?です。証拠金維持率やロスカットまでの距離、ましてやレバレッジの大きさではありません。
しつこいようじゃが、資金量(口座に入金した金額)に対する適切なポジションサイズを意識してさえいれよいのじゃ。
そうすれば、証拠金維持率やロスカットまでの距離、ましてやレバレッジの大きさを考える必要は1ミリもないのじゃよ。
レバレッジと強制ロスカットの関係性を整理しよう
大切なことなので何度も述べますが、資金量(口座に入金した金額)に対する適切なポジションサイズを意識してさえいれば、証拠金維持率やロスカットまでの距離、ましてやレバレッジの大きさを考える必要は1ミリもありません。
とはいっても、レバレッジと強制ロスカット(証拠金維持率)がどのように関連するのかを知っておくことは無駄ではありません。
詳しく解説します。もう一度質問を読みましょう。
昨日の記事を読みましたが、AさんBさんのレバレッジ毎の証拠金維持率の変化部分で、ハイレバのBさんの方が証拠金維持率に余裕があって、ロスカットされにくいと解説されていましたが、よくわかりません。
どうしてハイレバ(レバ100倍)のBさんの方がロスカットリスクが低くなってしまうのですか?
ハイレバの方がロスカットリスクが高いと思っていましたが違うのですか?
まず定義のお話。この議論におけるレバレッジとは必要証拠金に対するレバレッジです。
先に結論から述べると…
同一ポジションならば、必要証拠金に対するレバレッジが高いほど、必要証拠金は小さくなるじゃろ?
証拠金維持率は全体の資産に対する必要証拠金の割合を算出するから、当然必要証拠金の額が小さいほど証拠金維持率は高くなるのじゃよ。
じゃからハイレバほどロスカットされにくい…というのはある意味正しいのじゃよ。
なぜ、ハイレバほどロスカットされにくい…と言われるのか?詳しく解説します。
もう一度AさんとBさんに登場していただきましょう。
【Aさん】
口座資金は30万円
必要証拠金10万円でドル円を1万通貨を取引した
Aさんの必要証拠金に対するレバレッジは次の通り。
Aさんのレバレッジは10倍
- 必要証拠金に対するレバレッジ…10倍(1万通貨✕100円÷10万円)
Aさんの証拠金維持率の変化(1円の値動き)
- 資産30万円、証拠金10万円で1万通貨を取引(レバ10倍)
1円下落で損益は▲10,000円
資産30万円に対する損失の割合は…3.3%
証拠金維持率の変化…300%➔290%
※証拠金維持率=資産評価額 ÷ 取引必要証拠金 ✕ 100 (ここでは簡略化した計算式を使用)
※厳密に計算する場合、証拠金維持率を算出するためのポジション必要証拠金額はリアルタイムで変動するため、実際の数字は異なります。ここでは分かりやすく計算を簡略化して解説しています。
【Bさん】
口座資金は30万円
必要証拠金1万円でドル円を1万通貨を取引した
Bさんの必要証拠金に対するレバレッジは次の通り。
Bさんのレバレッジは100倍
- 必要証拠金に対するレバレッジ…100倍(1万通貨✕100円÷1万円)
Bさん証拠金維持率の変化(1円の値動き)
- 資産30万円、証拠金1万円で1万通貨を取引(レバ100倍)
1円下落で損益は▲10,000円
資産30万円に対する損失の割合は…3.3%
証拠金維持率の変化…3000%➔2900%
※証拠金維持率=資産評価額 ÷ 取引必要証拠金 ✕ 100 (ここでは簡略化した計算式を使用)
※厳密に計算する場合、証拠金維持率を算出するためのポジション必要証拠金額はリアルタイムで変動するため、実際の数字は異なります。ここでは分かりやすく計算を簡略化して解説しています。
わかりやすく単純に計算します。
仮に証拠金維持率100%以下で強制ロスカットが発動するとします。
- Aさん(レバ10倍)の証拠金維持率の変化…300%➔290%
- Bさん(レバ100倍)の証拠金維持率の変化…3000%➔2900%
どちらが100%に近いかといえば、断然Aさんですね。レバレッジ10倍のAさんの方が強制ロスカットラインに近いことになります。
数字では理解できても感覚としては理解できないかもしれません。
その場合は次のように考えてみてください。
【Aさん】
口座資金30万円のうち、10万円を取引に使いました。
口座残高は20万円です。
20万円を上回る損失が出れば強制ロスカットが発動します。
つまり…ロスカットまでの距離は20万円です。
【Bさん】
口座資金30万円のうち、1万円を取引に使いました。
口座残高は29万円です。
29万円を上回る損失が出れば強制ロスカットが発動します。
つまり…ロスカットまでの距離は29万円です。
※厳密に計算する場合、証拠金維持率を算出するためのポジション必要証拠金額はリアルタイムで変動するため、実際の数字は異なります。ここでは分かりやすく計算を簡略化して解説しています。
ご覧の通り、ロスカットまでの距離はBさんの方が9万円も長い(遠い)ということになります。
ロスカットまでの距離は”余力”と捉えることもできます。
- Aさんの余力…20万円
- Bさんの余力…29万円(Aさんに比べて9万円も多い!)
レバ100倍のBさんの方が、レバ10倍のAさんよりも”余力”がありますね。だから『ハイレバのほうがロスカットされにくい』という解釈が成り立ちます。
レバレッジが低い=必要証拠金が高い、と捉えればわかりやすいです。レバレッジを低く設定すれば必然的に証拠金を高くする必要があります。そうすると、口座残高に占める必要証拠金額の割合が高くなる、つまり口座残高が証拠金に圧迫されるわけですね。
その結果、口座残高の余力が下がり、相場の急変が起きた際に強制ロスカットまでの距離が短くなってしまうのです。
レバレッジを下げれば必要証拠金額は上昇するじゃろ?
その結果、口座残高が必要証拠金に圧迫されるのじゃ。
すると、口座残高の余力が減って相場急変に耐えられなくなるという話じゃよ。
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ロスカットされにくいことと、ロスカットされた場合の損失の大きさは別の話だ
じゃあ、やっぱりレバレッジを高くしたほうがロスカットリスクが低いっていうのは正しいんだね!
ハイレバ取引はメリットだらけだね!
ちょっと待ちなさい!
ハイレバ取引がロスカットされにくい事実と、実際にロスカットされたときの損失の大きさ(損失リスク)は別モンじゃよ。
ここで注意が必要です。
ハイレバ取引は証拠金維持率が高く強制ロスカットまでの距離が遠い(=余力がある)から安心…というのは少し違います。
リスクは多方面から考える必要があるからです。
仮にAさん、Bさんが運悪くロスカットされてしまったときのそれぞれの口座ダメージを考えればわかります。
【Aさん】
口座資金は30万円
必要証拠金10万円でドル円を1万通貨を取引した
Aさんの必要証拠金に対するレバレッジは次の通り。
Aさんのレバレッジは10倍
- 必要証拠金に対するレバレッジ…10倍(1万通貨✕100円÷10万円)
Aさんの証拠金維持率の変化(1円の値動き)
- 資産30万円、証拠金10万円で1万通貨を取引(レバ10倍)
1円下落で損益は▲10,000円
資産30万円に対する損失の割合は…3.3%
証拠金維持率の変化…300%➔290%
※証拠金維持率=資産評価額 ÷ 取引必要証拠金 ✕ 100 (ここでは簡略化した計算式を使用)
※厳密に計算する場合、証拠金維持率を算出するためのポジション必要証拠金額はリアルタイムで変動するため、実際の数字は異なります。ここでは分かりやすく計算を簡略化して解説しています。
Aさんがロスカットされた場合の損失額
- 含み損20万円に達したタイミングで強制ロスカット発動!
資産30万円ー損失額20万円=10万円
口座資金は30万円➔10万円
【Bさん】
口座資金は30万円
必要証拠金1万円でドル円を1万通貨を取引した
Bさんの必要証拠金に対するレバレッジは次の通り。
Bさんのレバレッジは100倍
- 必要証拠金に対するレバレッジ…100倍(1万通貨✕100円÷1万円)
Bさん証拠金維持率の変化(1円の値動き)
- 資産30万円、証拠金1万円で1万通貨を取引(レバ100倍)
1円下落で損益は▲10,000円
資産30万円に対する損失の割合は…3.3%
証拠金維持率の変化…3000%➔2900%
※証拠金維持率=資産評価額 ÷ 取引必要証拠金 ✕ 100 (ここでは簡略化した計算式を使用)
※厳密に計算する場合、証拠金維持率を算出するためのポジション必要証拠金額はリアルタイムで変動するため、実際の数字は異なります。ここでは分かりやすく計算を簡略化して解説しています。
Bさんがロスカットされた場合の損失額
- 含み損29万円に達したタイミングで強制ロスカット発動!
資産30万円ー損失額29万円=1万円
口座資金は30万円➔1万円
Aさんの口座は含み損が20万円で強制ロスカット発動されます。残りのお金は10万円(30万円ー20万円)。
一方Bさんの口座は含み損が29万円まで耐えられますが、29万円に達したタイミングで強制ロスカットが発動。その場合の残りのお金は1万円(30万円ー29万円)。
つまり、証拠金維持率の高い(ロスカットまでの距離が遠い)Bさんの方が、実際にロスカットされたときの損失額が大きくなるのです。
ロスカットまでの距離が長い(余力がある)場合、実際にロスカットされたら口座が破綻する場合が多いのじゃよ。
ロスカットまでの距離が長いことを一概に良しとするのは間違っている…ということがおわかりいただけますよね。
つまり…
ロスカットリスクが低いことと、実際にロスカットされた場合に失うお金の大きさを、分けて考える必要があるのじゃ。
フラッシュ・クラッシュでレートが飛ぶリスク…
もちろん、ロスカットされるまで指をくわえて見ているトレーダーなどいません。含み損が増大するまえに損切りを行うのが普通です。
ただし…怖いのはフラッシュ・クラッシュ(瞬間暴落)と呼ばれる大暴落や大暴騰でレートが飛ぶリスクです。
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アルパリを破綻に追い込んだ2015年のスイスフランショックではレートが15円くら飛びました。
2019年正月のフラッシュ・クラッシュではわずか3分で3円13銭の瞬間暴落です。
大きな被害を被ったのはハイレバ取引をしていた投資家です。フラッシュ・クラッシュ(瞬間暴落)で損切り注文が通るはずもなく、為す術もないまま強制ロスカット発動…。
ハイレバ取引をしていた投資家ほど壊滅的なダメージ(口座破綻など)を食らったのです。
この例は極端ですが、それでも暴落や暴騰のリスクは常に存在します。可能性はゼロではありません。
レバレッジは言葉遊び・数字遊びだ…はやく卒業しよう!
結論から言えば、
ということになるのですが、この結論は何の意味も持ちません。そもそもロスカットリスクを想定したFX取引を行なうことが間違っているからです。
これは、単なる言葉遊びです。単なる頭の体操です。
結局のところ、レバレッジ云々…ではなく、適切な資金管理こそがあなたの大切な資金を守ります。ハイレバ・ローレバなどどうでも良いのです。
いつまでもレバレッジにこだわったFX取引をしていてはいけません。
レバレッジは言葉遊びであり、単なる数字遊びに過ぎません。いわば机上の話なのです。実際の取引においては、なんら意味をなさないのです。
レバレッジを気にするよりも、適切なポジションサイズを気にするべきです。FX取引におけるリスクの大小は、常に、全口座資金量に対してどれくらいのサイズのボジションを持つかで決まるからです。
ここにレバレッジは関係ありません。ハイレバレッジであろうとローレバレッジであろうと、口座資金量に対して過大なポジションを持てばリクスが高まる…これが現実です。
いつまでもレバレッジという言葉遊びをしていては、本当の資金管理をマスターできません。
レバレッジは言葉遊びであり、単なる数字遊びに過ぎないのじゃよ。
いわば机上の話じゃ。
実際の取引においては、なんら意味をなさないのじゃよ。
適切な資金管理こそがあなたの大切な資金を守るのじゃよ。