”ロットの暴力でpispを殴り倒す”手法について…
ご質問をいただきました。
ロットを大きくするかわりに、数pipsをサクッと抜いて利確する高速スキャルピング手法は危険でしょうか?
すぐに逃げれば安全だと思うのですが…
大きなロットで勝負するかわりに、数pips(1〜3pipsの利益+スプレッド)を高速で刈り取る手法ですね。
ちなみに、この種の手法を投資仲間では『ロットの暴力でpispを殴り倒す』と呼んでいます。
昔からある『ロットの暴力でpispを殴り倒す』方法じゃのー。
つまるところ、FXで利益を上げる方法は2つです。
FXで利益を上げる方法
- ロットを抑えつつ、大量pips(=利幅)を獲得して利益を上げる
- 大量ロットのパワーで僅かなpipsを抜き、利益を上げる
一般的には①番が主流ですよね。デイトレードやスイングトレードが該当します。
一方の②番は超高速スキャルピングです。大量ロット数に物言わせ、わずかな利幅でも大きな利益を上げる方法です。数pipsを刈り取ることを目的とするので、ポジション保有時間は長くても数分、短いときは数十秒程度です。
数pipsの利幅といっても、最低でもスプレッド分を上回る利幅が求められます。仮にスプレッドが1pipsならば、1pips+αの利幅を抜いて初めて利益となります。
1pips+αの利幅でも、ロット数が多ければ、それなりの利益になります。
仮に1pipsの利幅だったとしても、10,000通貨では100円ですが、10万通貨ならば1,000円の利益です。50万通貨ならば5,000円になります(ドル円の場合)。
海外FXのようにハイレバ取引が可能ならば、100万通貨でのスキャルピングも実現します。100万通貨で1日にわずか1pips取れれば、日給1万円です。
『ロットの暴力でpispを殴り倒す』手法の特徴
『ロットの暴力でpispを殴り倒す』手法は、目新しくもなく古くから存在します。1日に1〜3pips程度を抜き去り、それを毎日継続する。ロットを最大限に大きくすることで、少ないpipsでも大きな利益を得ることができますね。
ロット調整には固定だけでなく、マーチンゲールやモンテカルロ法などが用いられるケースもあります。
少ない資金でロットを大きくするためには最大レバレッジが数百倍必要です。結果的に海外FX口座が使われることが多いのも特徴です。
リスクヘッジの考え方も通常とは大きく異なります。
- ロットを抑えつつ、大量pips(=利幅)を獲得して利益を上げる
- 大量ロットのパワーで僅かなpipsを抜き、利益を上げる
①番の手法におけるリスクヘッジは、ロット(ポジションサイズ)を抑える点にあります。ポジション保有時間が長いため、大きなロット(ポジションサイズ)で勝負することは危険です。暴騰・暴落が発生したときに損失が拡大してしまうからです。
一方②番の『ロットの暴力でpispを殴り倒す』手法におけるリスクヘッジは、保有時間を限定する点にあります。数pipsの含み益が発生したら即座に手仕舞いをすることで、マーケットに資金を晒す時間を極端に短くします。
『ロットの暴力でpispを殴り倒す』手法の課題とは?
さて、『ロットの暴力でpispを殴り倒す』手法ですが、無視できない課題が2つあります。極めて高い勝率が求められる点と、適切な損切り幅がいくらなのか?という点です。
『ロットの暴力でpispを殴り倒す』手法における2つの課題
- 極めて高い勝率が求められること
- 適切な損切り幅はいくらなのか?
『極めて高い勝率』と『適切な損切り幅』は無関係ではありません。関連しています。
少ないpipsを抜き去る手法は、当然損大利小です。少ないpipsを高勝率て積み重ねる一方で、一度の負けで大きな損失が発生します。
『ロットの暴力でpispを殴り倒す』手法においては、絶対的に高い勝率が求められるのです。最低でも90%以上の勝率は必要です。
しかし勝率は100%ということはあり得ないので、100回トレードすれば数回は負ける可能性があります。その際、含み損をどこまで許容するのかが、トータル利益確保の鍵となります。つまるところリスクリワードバランスですね。
1pipsスキャルで40連勝しても(+40pips)、一度の負けが▲50pipsならば、トータルでマイナスです。振り出しに戻るどころではありません。
50pipsの逆行しても、わずか1pipsプラスになれば利確できる…わけですが、もしも逆行が70pips、100pipsまで進んでしまったら…?どこに損切りラインを設定するのかは、非常に悩ましい課題です。
レート逆行にどこまで耐えられるかの?
ストレスの高い手法じゃよ。
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EA(自動売買)で結論は出ている…
ここまで説明したところで、勘の良い人ならば「EA(自動売買)化すればいいんじゃない?」と思うでしょう。
その通りです。実際に高速スキャルピングEAは、これまでも無数に作られ販売されてきました。
その結果は…ほぼ全てのEAが口座破綻しています。
もちろんバックテストでは優秀な成績をおさめたEAばかりです。そのほぼ全てが口座破綻。
ナンピン+マーチンゲールEAの悲しい末路
過去にも数多くの「ナンピン+マーチンゲール」型EAが販売されてきました。知る限りにおいて現在も運用が続いている「ナンピン+マーチンゲール」型EAはゼロ、皆無です。全て口座破綻、もしくはそれに準じる不幸な結末(口座破綻直前で証拠を隠滅して逃亡…)を迎えています。
あの「W2C-Clipper」ですら口座破綻した!
2012年に一世を風靡した有名なEA「W2C-Clipper」。6段階のリスクコントロールを備えた高機能ナンピンマーチン型EAで、飛ぶ鳥を落とすほどの勢いで利益を拡大していきました。販売者の㈱トリロジーは投資助言代理業です。
ところが…そんな高機能EAでさえ、口座破綻したのです。
W2C-Clipper(クリッパー)を愛する者のブログの運営者は▲143万円まで損失を拡大して以後、更新がストップしました。※現在「W2C-Clipper」はロジックを修正して再販されています。
他のナンピン・マーチンゲール型EAも、破綻の歴史を繰り返しています。
出典:https://www.myfxbook.com/members/W2C_Clippers_x04/w2c-clipper-series2011/184665
出典:https://www.myfxbook.com/members/toumapapa/toumapapa-clipper/273237
出典:https://fx-on.com/systemtrade/once.php?i=2470&xグラフをみればおわかりの通り、右肩上がりのグラフがある日突然崖崩れして破綻。これが典型的なナンピンマーチンEAの資産曲線です。
フォワード成績を消して逃げ切りを謀るEA
販売業者連中 上に挙げた画像は消される前のナンピンマーチンゲールEAの悲惨な成績たちです。大半のEA業者が、口座破綻後に、フォワード成績を消して逃亡します。
ナンピンマーチンEAを運用した多くの人が口座破綻し、大切なお金を失ったのです。一方、EA販売業者は知らんぷりです。フォワード成績をこっそり消して、フェードアウトです。自社の成績ブログ等で口座破綻の事実を認め、ユーザーにお詫びする業者など、ほんの一部だけ(唯一、W2C-Clipper(クリッパー)を運用する㈱トリロジーは口座破綻を認め、ユーザーに謝罪をしました)。
数pipsを抜くのは比較的簡単です。タイミングが良ければ連勝も可能でしょう。
しかしたった一度の負けによって、積み上げた利益を吹き飛ばすリスクがあります。
じゃあ、勝てるところだけで勝負して負けなければよいのでは?
ほほほ。
そんなことが可能かの?
想像を絶するレート変動は、いつ発生するか誰にもわからないのじゃよ。
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『ロットの暴力でpispを殴り倒す』手法が主流にならない理由は、労多くして功少なしだからです。
どれだけ努力して利益をコツコツ積み上げても、たった一度の負けで水の泡です。ポジションを立てたとたん逆行し始めたら、焦りませんか?そのままレートが逆行を続けたらどうしますか?どこで損切りを決断しますか?毎日必死に積み上げた50pipsが瞬時に消えてしまうかもしれませんよ。それでも1pipsのプラスが出るまで耐えますか?胃がキリキリしますよ。
『ロットの暴力でpispを殴り倒す』で稼ぎ続けているFXトレーダーが存在しない理由を考えればよいぞ。