『FX自動売買スナイパー』検証とレビュー
本日は、株式会社Clusterが販売するFX情報商材『FX自動売買スナイパー』を検証レビューします。
第一種金融商品取引業登録「未登録」業者か?問題はないのか?
EAの販売には、ケースにより投資助言代理業者or第一種金融商品取引業への登録が必要のはずですが、販売元の株式会社Clusterは未登録ですね。大丈夫でしょうか?
自動売買システム(EA)について
行政書士 石川法務事務所 / 2015年10月23日
(中略)
4.自動売買システム(EA)を販売し、かつ当該システムの更新等の継続的なサービスを行う。⇒投資助言・代理業登録の必要性有り。※この更新等(ロジック、システムの変更等)が投資助言に該当いたします。
5.自動売買システム(EA)を販売し、かつ顧客の開設口座の証券会社から利益を授受する。⇒第一種金融商品取引業登録の必要性有り。(いわゆる仲介・取次ぎに該当。)
『FX自動売買スナイパー』は売り切りですが、XM口座縛りがあります。購入者がXM口座開設することで、株式会社Clusterが利益を享受するならば、第一種金融商品取引業登録の必要性がありそうです。
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『FX自動売買スナイパー』はどのようなFX商材か?
順張りナンピン+マーチンゲールを採用した自動売買システム(EA)
『FX自動売買スナイパー』は、順張りナンピン+マーチンゲールを採用したEA(自動売買システム)です。
「ナンピン」と「マーチンゲール」を組み合わせたストラテジーには相応のリスクがあるので、しっかりと理解をしておく必要があります。
ナンピンとは?
「ナンピン」とは、思惑に反してレートが反対方向に進んだ場合に追加でポジションを段階的に建てていく戦略です。
例えば、USDJPYにおいて100円でLong(買い)を建てたところ、99円に下がったとします。そこで再びポジションをLongで建てます。さらに98円に下がったら3つ目のポジションを建てます。この一連の行為(多段階にポジションを建てていくこと)を「ナンピン」と呼びます(実際はもっと複雑です)。
「ナンピン」のメリットは、ポジションを多段階に建てることで、ポジション平均取得価格が下がる点にあります。
- 100円(1ポジション)の取得価格は100円です。
- 100円+99円(計2ポジション)の平均取得価格は99.5円です。
- 100円+99円+98円(計3ポジション)の平均取得価格は99円です。
当初100円で1ポジのときは取得価格は100円だったものが、3ポジションまでナンピンしたことによって平均取得価格は99円まで下がったわけです。これは損益分岐点が下がったことを意味します。
さて、現在のレートが98円として、ここから思惑通りレートが上昇したとします。損益分岐点は99円ですので、99円を超えれば収支はプラスに転じます。さらにレートが上昇し100円まで戻すと、含み益は1円となるわけです。
一方、「ナンピン」をした後に、レートが戻らなかったら?この場合、一気に含み損が膨らみます。3ポジションを保有しているので、通常よりも含み損の拡大スピードは増します。「ナンピン」のリスクはここにあります。
マーチンゲールとは?
次に「マーチンゲール」ですが、一言で言えば”負けたら倍賭け戦略”です。ギャンブルでよく使われた手法の一つです。
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最初のポジションが損切りにあったら、次のポジションのロットを倍にして建てます。さらに負けたら倍にします。2倍、4倍、8倍…勝つまで倍掛けしてく手法、これが「マーチンゲール」です。
「マーチンゲール」は最後にたった1勝すれば、どれだけ連敗していても、それまでの損失を全て取り戻せ損益はプラスに転じます。
当たり前ですが、倍々に賭けていけば、ロット数はあっというまに肥大してしまいます。コピー用紙を48回折ると月に届くと言われているように、わずか0.1ミリの紙でもたったの48回折りたためば(マーチンゲール)すれば、70万kmになって月に届くほどの厚みになるのです。それくらい現実味がないということです。
試しに、1万円をマーチンゲールしてみましょう。
1回目…1万円
2回目…2万円
3回目…4万円
4回目…8万円
5回目…16万円
6回目…32万円
…
10回目…512万円
11回目…1024万円
9回連続で負けると10回目の掛け金は500万円を超えます。すでに非現実的ですね。
まとめると…
- ナンピンのメリット=平均取得価格を下げること
- ナンピンのデメリット=レートが戻らなければ含み損が一気に拡大(ロスカットリスク)
- マーチンゲールのメリット=たった一度の勝ちで損失を回避できプラスにできる
- マーチンゲールのデメリット=負けが続けば資金が底を尽く
話をもとに戻します。『FX自動売買スナイパー』はナンピンとマーチンゲールを組み合わせた、”ナンピンマーチンゲールロジック”を採用しています。
販売ページには以下の解説があります。
0.01Lotsで設定した場合、順張り型ナンピンマーチンのシステムで倍マーチンを打っていきます。
例えば・・・・・・0.01→0.02→0.04→0.08と、倍のロット数で最大10マーチンまで打っていきます。ロスカット設定はございません。
2018年5月1日~運用をスタートして、2018年12月20日に初めて、最大10マーチンまで到達した事があります。
その際に全員ではないですが、証拠金不足で、強制ロスカットとなった方もいます。(ロット設定により差が出てます)
10回目は入れた方は+決済で終わっています。その日以外は、現在強制ロスカットは1回もありません。スナイパーでは、追加口座への資金移動などで資金管理を推奨しております。逆張りナンピンマーチンと順張りナンピンのシステムになります。トータル利益が10pipsで利確がはいるようにプログラムされています。
『FX自動売買スナイパー』は以下の2つのロジックを組み合わせたEAですね。
- 順張りトレード…ナンピンのみ
- 逆張りトレード…ナンピン+マーチンゲール(ロット倍賭け)
2018年5月1日~運用をスタートして、2018年12月20日に初めて、最大10マーチンまで到達した事があります。その際に全員ではないですが、証拠金不足で、強制ロスカットとなった方もいます。
どうやら一度は強制ロスカットを食らっているようです。それまで積み上げた含み益を吹き飛ばしています。
販売ページの説明にある通り、ロスカット設定がないので、最悪のシナリオは口座破綻です。
ナンピン+マーチンゲールEAの悲しい末路
過去にも数多くの「ナンピン+マーチンゲール」型EAが販売されてきました。知る限りにおいて、現在も運用が続いている「ナンピン+マーチンゲール」型EAはゼロ、皆無です。全て口座破綻、もしくはそれに準じる不幸な結末(口座破綻直前で逃亡…)を迎えています。
あの「W2C-Clipper」ですら口座破綻した!
2012年に一世を風靡した有名なEA「W2C-Clipper」。6段階のリスクコントロールを備えた高機能ナンピンマーチン型EAで、飛ぶ鳥を落とすほどの勢いで利益を拡大していきました。販売者の㈱トリロジーは投資助言代理業です。
ところが…そんな高機能EAでさえ、口座破綻したのです。
W2C-Clipper(クリッパー)を愛する者のブログの運営者は▲143万円まで損失を拡大して以後、更新がストップしました。
※現在「W2C-Clipper」は再販されています。
さらに、その他のナンピン・マーチンゲール型EAも破綻の歴史を繰り返しています。
出典:https://www.myfxbook.com/members/W2C_Clippers_x04/w2c-clipper-series2011/184665
出典:https://www.myfxbook.com/members/toumapapa/toumapapa-clipper/273237
出典:https://fx-on.com/systemtrade/once.php?i=2470&x
フォワード成績を消して逃げ切りを謀るEA 販売業者連中
上に挙げた画像は消される前のナンピンマーチンゲールEAの悲惨な成績たちです。
大半のEA業者が、口座破綻後に、フォワード成績を消して逃亡します。
EAを使った多くの人が口座破綻し、大切なお金を失ったのです。一方、EA販売業者は知らんぷりです。フォワード成績をそっと消して、フェードアウトしようとします。自社の成績ブログ等で口座破綻の事実を認め、ユーザーにお詫びする業者など、ほんの一部だけ。
金(ゴールド)のナンピンマーチンゲールEAも”破綻”した
金(ゴールド)のナンピンマーチンゲールEAも同様の末路を辿っています。
アメリカの金融規制緩和に対する失望感を始めとする、様々な 投資環境の変遷に煽りを受けた形で、昨今のゴールド急落に 耐え切れず「GOLD KOUSUI」の公式成績が破綻いたしました。
2013年2月21日
引用:GOLD KOUSUI公式ブログ(←破綻後に閉鎖済み)
公式ブログはすでに閉鎖済みです。
もう一つ破綻したナンピンマーチンゲールEAをごらんください。こちらも金(ゴールド)のEAです。
[box class=”glay_box” title=”破綻したナンピンマーチンゲールEAたち”]
ナンピンマーチンゲール型EAはなぜ破綻するのか?
ナンピン・マーチンゲールEAは、相場が波打ちながらも一定の幅に収束することを前提に設計されています。仮にレートが逆方向に振れたとしても、時間の経過とともに戻ってくるはず…そんな楽天的な思考がベースです。
たしかに、相場の大半はレンジであることから分かる通り、レートは一定の値幅の間で上下動を繰り返しつつマーケットを形成していきます。ナンピン・マーチンゲールEAは、このときに威力を発揮し、利益を面白いように積み上げていきます。
しかし、相場は常にレンジ状態ではありません。忘れた頃に訪れるナイアガラやフラッシュクラッシュと呼ばれる瞬間暴落・暴騰によって、相場は地獄と化します。
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逆方向時にポジションを段階的に増やす戦略をとるナンピンマーチンゲール型EAは、一方的な相場にめっぽう弱いのです。
ナンピンマーチンゲール型EAがこれらの相場急変時(一方向へのトレンド)に耐えられるかどうかは、最大逆行幅がどこまで設定されているかにかかっています(つまり資金管理)。
「ここまではレートが逆行しないだろう…」と甘く見積もっていると、口座が含み損に耐えられず、あっという間に”口座破綻”です。
『FX自動売買スナイパー』はロスカット設定がないので、最悪のシナリオは当然”口座破綻”です。
もちろん、ロジックが機能する相場であれば、面白いように利益を拡大できます。なにしろナンピンマーチンゲールなのですから。元手が数倍になることもあるでしょう。しかし、ある日一方向の相場(暴騰・暴落)に遭遇すれば、含み損が恐ろしい勢いで拡大して口座破綻リスクに怯えることになります。
『FX自動売買スナイパー』が口座破綻を喰らわないことを祈っています。
「XM」一択の口座縛りあり
『FX自動売買スナイパー』ですが、インフォトップの販売ページには未記載ですが、どうやら「XM」証券会社の口座縛りがありますね。
Q.口座はどこ開設しますか?
A.マニュアルで指定しているXM口座となります。引用:https://bo-sniper.com/
XMは口座開設アフィリエイトに積極的な証券会社です。
『FX自動売買スナイパー』を販売する株式会社Clusterも、間違いなくXMから口座開設に対する報酬を得ているでしょう。であるならば、
5.自動売買システム(EA)を販売し、かつ顧客の開設口座の証券会社から利益を授受する。⇒第一種金融商品取引業登録の必要性有り。(いわゆる仲介・取次ぎに該当。)
第一種金融商品取引業登録の必要性はありそうですが、はたして株式会社Clusterは登録済みなのでしょうか?
販売ページや特定商取引法表示を見る限りにおいて、それらの記載はありません。責任の所在が不明瞭な業者が販売するEA、それが『FX自動売買スナイパー』です。
『FX自動売買スナイパー』総合評価
【結論】ナンピンマーチンゲール型EAの末路は「悲惨」だ
その事実を知った上でそれでも運用してみたいならばご自由にどうぞ
あとで泣きを見ないように…
人柱(ひとばしら)になるお人好し向けのFX商材です
10万円(99,800円)もの大金でロジック非公開のEA(自動売買ツール)を買う心理が、まったく理解できません。
しかもナンピンマーチンゲール型EAです。口座破綻リスクを常に抱えながら運用することの難しさは、実際にやってみなければわからないのでしょうね。
心配ならば、ご自身で過去のナンピンマーチンゲールEAの運用成績を調べてみてはどうでしょうか?
数年前に販売されたEAで、現在も破綻せずに運用を続けているナンピンマーチンゲールEAが、果たして何本残っていますか?
それでも『FX自動売買スナイパー』を使ってみたい!というのであればご自由にどうぞ。数カ月後に口座破綻して泣きをみないことを祈ります。
また、販売会社の「株式会社Cluster」は、投資助言代理業者でもなく第一種金融商品取引業でもありません。責任の所在が不明瞭な会社のEAを使うことのリスクもよく考えたほうが良いでしょう。
『FX自動売買スナイパー』を購入したほうが良い人
- 口座破綻リスクを承知で運用してみたい人
- うなるほどお金が余っている人
- 人柱(ひとばしら)になってもかまわない人
『FX自動売買スナイパー』を購入してはいけない人
- 口座破綻リスクに耐えられない人
- ロジック非公開のツールを使いたくない人