投資にはロジカルな思考が不可欠
投資にはロジカルな思考が不可欠です。そのためには、物事を数字で考える必要があります。
FXトレードにおける「勝率」も同様です。
感情的に勝利を考えれば、「勝率は高い方がいい!」となるのは当然です。残念ながら、「勝率を高くしたい」という思考はロジカルからかけ離れています。
「バルサラの破産確率表」とは?
必要なことは、勝率だけに注目するのではなく、リスクリワードレシオと絡めて捉えることです。
「バルサラの破産確率表」って聞いたことありますよね?
Nauzer J. Balsara(ナウザー・バルサラ)が1992年に出版した著書「Money Management Strategies for Futures Traders」で解説した理論です。
バルサラを知らなくても以下の表は一度は見たことがあるはず。
バルサラの破産確率表には「リスク許容度」に応じていくつかの種類(計算の異なる表)が出回っています。上の表は最もよく見られるものの一つです。
縦軸にペイオフレシオ、横軸に勝率を設定したマトリックス(=行列)ですね。
ペイオフレシオは、リスクリワードレシオ、損益率と同じ意味です。つまり、勝ちトレードの平均利益額を負けトレードの平均損失額で割って算出します。
- ペイオフレシオ = 勝ちトレードの平均利益額 ÷ 負けトレードの平均損失額
勝率は、単純に全トレード数における勝数の占める割合です。10回トレードして5回勝てば、勝率は50%となります。
縦軸と横軸をかけ合わせたマスには、破産確率(%)が表示されています。
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1%未満の破産確率を目指すには?
破産確率は低ければ低いほど安全なトレードであると考えることができます。一般的には1%未満であることが望ましいとされています。つまり限りなく0%に近づける。
例えば損益率が2.0のケースで考えてみましょう。
- 平均利益額=30pips
- 平均損失額=15pips
- 損益率=30pips÷15pips=2.0
このケースにおける必要な勝率(破産確率=0%)は以下の通り。
ご覧の通り、勝率60%以上であれば、破産確率は「0」です。損益率が2以上ある場合は、60%を超える勝率を維持できれば、安全なトレード(ストラテジー)と判断できますね。
勝率50%で損益率が1.8ならば、破産リスクが増える
勝率が50%のままで、損益率が下がってしまった(2.0→1.8)ケースを考えてみます。
損益率1.8とは…
平均利益額が30pipsならば平均損益額が16.6pipsくらいで、損益率が1.8となりますね。
破産確率は「2.2」となり、破産確率は安全圏である「1%未満」を越えてしまい、一気にリスクが高まります。
絶対に「1%未満」である必要はありませんが、目安のひとつとして頭の片隅には置いておくべきデータです。
ストラテジーの優位性は勝率と損益率から導き出す
バルサラの破産確率表が手元にあれば、ストラテジーの優位性を簡単に導き出すことができますね。
勝率と損益率がわかれば、ざっくりとした破産確率がわかります。
勝率が50%のストラテジーに求められる損益率は2.0以上です。つまり利益が損失の倍以上あることが必須となります。
バルサラの破産確率表には”前提条件”が存在する
バルサラの破産確率表は、ざっくりと損益率と勝率の適正バランスを見極めたい場合に便利な表ですよね。
ただ、この表を使うに当たり前提条件が一つあるのをご存じでしょうか。それは1回のトレードでリスクにさらす資金量(例えば「2%ルール」など)です。2%ルールとは、各トレードにおける最大リスクを総資産(口座資金)の2%以内にするというもの。2%ルールについては以下の記事で詳しく解説しています。
1回1回のトレードでリスクにさらる資金量に応じて、バルサラの破産確率は大きく変わってきます。
リスク許容度による破産確率の捉え方については、また改めて取り上げる予定です。より詳しく『バルサラの破産確率表』の本質を紐解いていきます。