証拠金維持率の目安ってあるの?
ほほほ。証拠金維持率の目安か…難しい課題じゃ。
各トレーダーによってスタンスや熟達度が異なるから、一概には言いづらいの…。
証拠金維持率の目安を一概に示すことは難しいです。なぜなら各トレーダーの取引スタイルにも関係してくるからです。また、日本国内のレバレッジ規制(最大25倍)業者を使うのか、それともハイレバ海外業者を使ってトレードするのかによっても、証拠金維持率に対するスタンスは変わってきます。
身も蓋もない話ですが、トレーダーのスキル(熟達度)によって取れるリスクも異なるので、最終的には各自が取引を積み重ねながら自身にとっての最適な証拠金維持率を模索して決めるしかありません。
FX初心者向けに解説する前提であくまでもひとつの目安となる値を示すならば以下の通り。取引開始直後の証拠金維持率と安全度の関係です。
証拠金維持率 | スキャル | デイトレード | スイングトレード |
1000%〜 | 安全 | 安全 | 安全 |
500%〜1000% | 安全 | 安全 | やや危険! |
〜500% | 安全 | 安全 | 危険! |
〜300% | 安全 | 危険! | 危険! |
〜200% | 危険! | 極めて危険! | 極めて危険! |
100%未満 | 極めて危険! | 極めて危険! | 極めて危険! |
※あくまでも目安です。設定レバレッジやポジションサイズ、トレード熟達度によっても異なります。
100%未満が危険であることは理解できますよね。大抵のFX業者において追証発生の基準が100%を切るタイミングです。強制ロスカットの一歩手前、つまり危険水域に突入していることを意味します。
100%〜300%というのは決して安全な水準とは言えないのじゃよ。
短期トレードほど証拠金維持率の安全圏の幅が大きく、長期トレードは安全圏が狭い
スキャルピングのほうが証拠金維持率の安全圏が広いのはなぜ?
上の表をご覧いただくと、短期トレードほど証拠金維持率の安全圏の幅が大きく、長期トレードは安全圏が狭いことがわかります(ポジション保有期間が長いほど高い証拠金維持率が求められる)。
これはなぜでしょう。
常時監視できる短期トレードは積極的なリスクテイク可能
短期トレード(スキャルピング)の特性を考えればわかります。短期トレードは相場のわずかな値動き(ノイズ)を高速で刈り取ります。そのためチャートへの張り付きが不可欠です。PCとにらめっこしているならば、万が一相場に急変が起きても迅速に対応することも可能です。
また、含み損が拡大すれば証拠金維持率は下落しますが、スキャルピングにおいて拡大する含み損を放置することはまずありませんよね。必ず損切りを行いますよね。つまり、証拠金維持率を大きく下げてしまうミスが起こりづらいのです。
相場を常時監視できるからこそ、ある程度のリスクを取りに行くことができるわけですね。
10pipsを高速で刈り取るスキャルピングトレーダーAさんを例に解説します。
口座には10万円を入金しています。
1ドル=100円のときにドル円を10,000通貨(100万円)購入します。
必要証拠金は4万円にします(レバレッジ25倍)。
利益確定は15pips。
損切りは10pipsです。
まずはポジション保有直後の証拠金維持率を計算してみましょう。
有効証拠金
=10万円+(含み益 or 含み損)
=10万円+0円
=10万円
証拠金維持率(%)
=(有効証拠金 ÷ 必要証拠金)✕100
=(10万円÷4万円)✕100
=250%
証拠金維持率は決して高い方ではありません。さて、1ドル100円で買いポジションを持ったAさんですが、直後に10pips(0.1円)の逆行ですぐに損切りをしました。そのときの証拠金維持率の変化は…
含み損
=▲0.1円 ✕ 10,000通貨(1ロット)
=▲1,000円
有効証拠金
=10万円ー含み損
=10万円ー1,000円
=9.9万円
必要証拠金
=99.9円✕10,000通貨÷25
=39,960円
証拠金維持率
=(有効証拠金 ÷ 必要証拠金)✕100
=(9.9万円÷3.996万円)✕100
=247.7%
Aさんの証拠金維持率は、250%から247.7%へと変化しました。わずかに2.3ポイントの減少にとどまっています。
スキャルピングにおいては、適切な損切りさえ実施しておけば、証拠金維持率が大きく下落することは起こりづらいのです。
長期トレードは為替レートの変動に耐えうる証拠金維持率をキープしておく必要がある
一方の長期トレード(スイングトレード)はどうでしょうか?数十日〜数ヶ月スパンで大きな値幅を狙うスタイルですので、ポジション保有後はチャートを常時監視することはほとんどありません。1日に数回程度でしょう。
そもそも長期トレードはある程度の変動幅を織り込み済みでポジションを取ります。設定している損切り幅も非常に深いのが特徴です。
含み損拡大とともに証拠金維持率はグングン下がります。ですので、為替レートの変動に耐えうるほどの高い証拠金維持率をキープしておく必要があるのです。
今度はスイングトレーダーのBさんに登場していただきます。
口座には50万円を入金しています。
1ドル=100円のときにドル円を10,000通貨(100万円)購入します。
必要証拠金は4万円にします(レバレッジ25倍)。
利益確定は1000pips。損切りは800pipsです。
長期トレードなので利幅は1000pips(10円!)を狙っています。一方の損切り幅も800pipsと深めです。なぜなら長期スパンで利益を狙うので多少の逆行で損切りされないようにするためです。
Bさんのポジション保有直後の証拠金維持率を計算してみましょう。
有効証拠金
=50万円+(含み益 or 含み損)
=50万円+0円
=50万円
証拠金維持率(%)
=(有効証拠金 ÷ 必要証拠金)✕100
=(50万円÷4万円)✕100
=1250%
証拠金維持率は1250%とかなり余裕がありますね。
さて、1ドル100円で買いポジションを持ったBさんですが、レートが思うように伸びず700pipsの含み損を抱えてしまいました。800pips損切りラインギリギリ手前です、
このときのBさんの証拠金維持率をチェックしてみましょう。
含み損
=▲7円 ✕ 10,000通貨(1ロット)
=▲70,000円
有効証拠金
=50万円ー含み損
=50万円ー7万円
=43万円
必要証拠金
=93円✕10,000通貨÷25
=37,200円
証拠金維持率
=(有効証拠金 ÷ 必要証拠金)✕100
=(43万円÷3.72万円)✕100
=1155.9%
7円もの下落によってBさんの証拠金維持率は、1250%から1156%へと変化しました。94ポイントもの減少です。それでもBさんは損切りラインを800pispに定めているので、なんとか耐えることができています。
Bさんの資金レベルならば、もっと深い損切り幅(含み損)でも耐えられそうじゃの。
【2024年5月版】優位性の高いFX商材 Best4
証拠金維持率の目安は一概には示しづらいが、多いにこしたことはない
証拠金維持率の目安を示すことは容易ではありません。ざっくりとした指標を出すなら以下の通り。
証拠金維持率 | スキャル | デイトレード | スイングトレード |
1000%〜 | 安全 | 安全 | 安全 |
500%〜1000% | 安全 | 安全 | やや危険! |
〜500% | 安全 | やや危険! | 危険! |
〜300% | 安全 | 危険! | 危険! |
〜200% | 危険! | 極めて危険! | 極めて危険! |
100%未満 | 極めて危険! | 極めて危険! | 極めて危険! |
※あくまでも目安です。設定レバレッジやポジションサイズ、トレード熟達度によっても異なります。
ポジション保有期間が長いほど証拠金維持率は高くする。ここがポイントです。長期の相場変動に耐えうる維持率をキープする必要があるからです。
証拠金維持率をコントロールする2つの方法
証拠金維持率をコントロールする方法は簡単です。証拠金維持率の計算式を思い出してください。
有効証拠金が必要証拠金に対して大きければ証拠金維持率は高くなり、逆に有効証拠金が必要証拠金と比べて小さくなれば証拠金維持率は下がります。
つまり、証拠金維持率を上げる方法は、究極的には以下の2つしかありません。
証拠金維持率を上げる方法
- レバレッジを大きくする(=必要証拠金を小さくする)
- 口座資金を増やす(=有効証拠金を大きくする)
同一ポジションサイズにおいて、レバレッジを大きくすれば必然的に必要証拠金は小さくなりますよね。
一方、口座資金を潤沢にすれば、証拠金維持率は下がります。シンプルですね。
証拠金維持率を上げる方法はシンプルじゃ。
レバレッジを大きくして必要証拠金を小さくするか、口座資金を増やして有効証拠金を大きくするか、この2つしかないのじゃ。
証拠金維持率を高くするために、ハイレバの海外口座を使うのもありってことだね?
そうじゃの。
ハイレバ口座が証拠金維持率を高く保ちやすいのは事実じゃ。
もちろんハイレバだからといって過剰なポジションサイズを持ってしまえば意味がないぞ。