コロナによって混沌へと向かう世界…これは終わりの始まりか?
2020年初頭に全世界を襲った新型コロナパンデミック(世界的感染爆発)。あれから半年…世界はようや落ち着きを取り戻しつつありますね。
とはいえ、コロナ対策による都市封鎖・自粛要請の結果、日本を含む多くの先進国はかつてないほどの経済危機に陥っています。
GDP実質27.8%減、4~6月年率 戦後最大の下げ
2020/8/17
内閣府が17日発表した2020年4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で1~3月期から7.8%、年率換算で27.8%減った。新型コロナウイルスの感染拡大で、リーマン・ショック後の09年1~3月期の年率17.8%減を超える戦後最大の落ち込みとなった。
世界経済、V字回復困難に 米GDP4~6月32.9%減
2020/7/30
新型コロナウイルスの感染拡大が世界経済に大きな傷痕を残している。米商務省が30日発表した4~6月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、前期比年率換算で32.9%減少した。感染再拡大で7~9月期の回復力も疑問符がつく。コロナ感染と経済停止という複合危機は出口が見えず、雇用支援策などを続けられるかが当面の焦点となる。
まだ実感はないかもしれませんが、いま起きている危機は今後の世界秩序を大きく変えてしまうほどのインパクトがあります。
2020年、わたしたちは「世界秩序」が変化する歴史的瞬間の目撃者になる
本日は、投資家だけでなく多くの人にみてほしい動画を紹介します。
国際政治学者である「Ian Bremmer(イアン・ブレイマー)」氏へのインタビュー動画です。インタビュアーはロイター社(イギリスのニュース通信社)の記者「我謝京子」さん。
国際政治学者のイアン・ブレマー氏は #新型コロナウイルス により「世界秩序が変化する」と述べた。 pic.twitter.com/Qccz5GmI2F
— ロイター (@ReutersJapan) March 30, 2020
8分弱と短いですが、必聴の動画です。
Ian Bremmer(イアン・ブレイマー)氏が運営するコンサルティング会社「ユーラシアグループ」は、毎年1月に「世界の10大リスク」を発表しています。
「ユーラシアグループ」は地政学的リスク分析を専門とするアメリカのコンサルティング会社です。
2020年初頭に発表された「世界の10大リスク」がこちら。
- 第1位 Rigged! Who governs the US?
- 第2位 The Great Decoupling
- 第3位 US/China
- 第4位 MNCs not to the rescue
- 第5位 India gets Modi-fied
- 第6位 Geopolitical Europe
- 第7位 Politics VS economics of climate change
- 第8位 Shia crescendo
- 第9位 Discontent in Latin America
- 第10位 Turkey
ざっくり、直訳・まとめると以下の通りです。
- 第1位 不正!誰がアメリカを統治するか(11月の大統領選)
- 第2位 超大国、米中のテクノロジー分断(対立と混乱)
- 第3位 緊張感高まる米中関係(貿易&政治戦争)
- 第4位 頼りにならない多国籍企業(政治に利用される)
- 第5位 モディ政権が推し進めるインドの変貌(ヒンズー至上主義の台頭)
- 第6位 地政学的変動下にある欧州(アメリカ・中国の軋轢)
- 第7位 気候変動、政治と経済の綱引き(足並みそろわない温暖化対策)
- 第8位 シーア派の高揚(米国の政策失敗による中東情勢不安)
- 第9位 不満が渦巻く中南米(国民の怒りを抑えきれず不安定感増す)
- 第10位 トルコ情勢(低迷する経済と大統領人気の低下による弱体化)
各リスクの詳しい解説は、Ian Bremmer(イアン・ブレイマー)氏の会社「EURASIA GROUP」の公式サイトで閲覧可能です。
2020年初頭に出した『Top 10 Risks/2020』に、コロナウイルス危機の影響を急きょ盛り込み、改訂版を発表しました。
紹介する動画は、改訂版発表の真意、要点についてのインタビューです。
国際政治学者のイアン・ブレマー氏は #新型コロナウイルス により「世界秩序が変化する」と述べた。 pic.twitter.com/Qccz5GmI2F
— ロイター (@ReutersJapan) March 30, 2020
”新型コロナウイルス危機は911やリーマンショックよりも深刻だ、なぜなら世界秩序を変化させてしまうほどのインパクトがあるのだから…”
今回の新型コロナウイルス危機は、世界秩序を変化させてしまうほどのインパクトがある、と語るIan Bremmer(イアン・ブレイマー)氏。
そのインパクト度は、911(アメリカ同時多発テロ事件)や、金融危機(リーマンショック)よりもはるかに大きく、影響度は計り知れないとのこと。
世界秩序が変化するとは、どういうことなのでしょうか?
911や金融危機後、世界の秩序に変化はなかった
同盟も保たれた
今回は違う
世界秩序が変化するのだ
リーダーがいない「Gゼロ」の時代に起きた初めての危機だ
国際的政治や政策的対応が欠如しているのだ
(中略)
今回は、最低でも、世界のGDPの10%規模の景気刺激策が必要だ
私の生涯で前例がない大きさだ
(中略)
我々は、Gゼロの世界、「地政学的後退」の時期にある
旧来の世界秩序がほぐれている時期だ
しかし、今はまだ、新しい世界秩序がまとまっていない
人々は、この状況に気づいていない
「Gゼロ」の「G」とはG7(あるいはG20)を構成する主要先進国を意味します。G7、つまり…
- アメリカ
- イギリス
- ドイツ
- フランス
- イタリア
- カナダ
- 日本
の7カ国です。この7カ国の先進国が指導力を失い機能しなくなった世界を表す言葉が「Gゼロ」です。
かつてはアメリカが政治や経済で世界の覇権を握り、リーダー的な役割を演じてきました。しかし中国の台頭や、アメリカが保護主義の拡大によってリーダー&保安官を放棄するなど、世界は混沌としつつあります。これが「Gゼロ時代」です。
そして、今回のコロナショックは、Gゼロ時代に起きた初めての世界的危機なのです。
世界的な危機に瀕して、はじめて政治が機能していない(国際的な協調・結束が取れない)事実に、多くの人々が気づく…どの国も自国内のことで精一杯です。
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格差が拡大し、苦しみが増え、多くの死者が出る
今回の危機は、深刻な世界的景気後退なのだ
世界恐慌かもしれないのだ
格差が拡大し、苦しみが増え、多くの死者が出る
良いことは何もない
コロナショックにより、医療崩壊は目前です。多くの死者が出ることは避けられません。資金繰りに行き詰る中小企業の倒産、飲食店や観光業の崩壊など、格差拡大に拍車がかかります。
- 【格差社会】すべての中流家庭が100%『貧困化』するこれだけの理由
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- 85歳から死ぬまでは、日本人のほぼ全員が「生活保護」…という恐ろしい社会が目の前に迫っている
- 「転落と格差の30年」それが”平成”という時代だった
いますぐ金儲けをやめて、人命を救うことに専念しろ!
ではどうすれば良いのか?
より迅速に、効果的に、世界が協調して経済活動を停止させることだ
そうすることで医療体制を整えられる
金儲けよりも、人命を救うことを最優先しろ、とIan Bremmer(イアン・ブレイマー)氏は語ります。
耳が痛いですね。いまだに日本は人命よりも経済活動(=金儲け)を優先させていますよね。これが後々アダとならなければよいのですが…
人生で何が大切かを見直す時期
社会構造を大きく変えるほどのインパクトをもたらす(かもしれない)コロナショック。
現在、多くの人々が自宅での生活を余儀無くされています。こんな時だからこそ、人生で本当に大切なものが何なのかを考えるべきだと語るIan Bremmer(イアン・ブレイマー)氏。
家族や愛する人々のこと、そして自分自身について、少し立ち止って考える時間がたくさんあるはず。
2011年に起きた東日本大震災は、日本人の多くの人生観・仕事観など大きく変えました。大企業を離れる人、都会から地元へ戻る人、身近な人との関係を見直した人(結婚や離婚)…日本人の価値観に様々な変化をもたらしたことは記憶に新しいですね。
今回のコロナショックは、もしかするとそれ以上の意識変化を人びとにもたらすかもしれません。
”犬を飼え!犬はいいぞー”
最後にIan Bremmer(イアン・ブレイマー)氏が興味深いことを語ります。
そして、犬だ、飼い犬は大事だ
犬を飼っていないなら、飼うべきだ
犬を飼うことには大賛成だ
アメリカ流のジョークなのか、それとも本気で語ったのかは不明ですが、こんな時代だからこそ何かしらペットを飼うというのは精神衛生上良いことなのかもしれませんね。
国際政治学者のイアン・ブレマー氏は #新型コロナウイルス により「世界秩序が変化する」と述べた。 pic.twitter.com/Qccz5GmI2F
— ロイター (@ReutersJapan) March 30, 2020