日本のFX業者にDealing Desk方式(DD方式)が多い理由
先日の記事『嘘ばっか!Dealing Desk方式(DD)とNo Dealing Desk方式(NDD)の本当の話』にて、Dealing Desk方式(DD)とNo Dealing Desk方式(NDD)の違いについて詳しく解説しました。
その中で、日本の多くのFX業者がDealing Desk方式(DD方式)を採用していると述べました。理由は以下の通り。
国内FX業者にDD方式採用が多い理由
日本国内の大半のFX会社はDD方式を採用しています。つまり大半の注文をカバー先に流さずに社内で処理をしていることになります。
国内FX業者の多くがDD方式を採用している理由は、過酷なスプレッド競争が存在するからです。ドル円で0.2〜0.3銭という信じられないほど低い固定スプレッドを提供する国は、世界広しといえど日本だけです。海外のメジャーなFX業者(日本人を相手にしていない業者)は、スプレッドは広く常に変動しています。
以下のサイトをご覧ください。
いかに日本のFX業者のスプレッドが狭いかよく理解できるはず。ドル円を比較しても、4倍から10倍の開きがあります。
低スプレッド&固定スプレッドをウリにするマーケティング戦略が主流となった日本では、もはや高いスプレッドでは生き残れないのですね。国内では低スプレッド&固定スプレッド業者が選ばえる傾向が高く、結果的にどのFX業者も熾烈なスプレッド競争に参加せざるを得ません。
会社の収益構造としてスプレッドへの依存を避けるために、結果的にDD方式を採用している…これが本質です。
ただ、全ての注文をDD方式で呑んでいるわけでもなく、注文のサイズに応じてNDD方式を採用したりなど、ハイブリッドに対応している国内業者が多いことも知っておくべき。
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ガラパゴス化する日本のFX業者
本来ならば、日本国内において、DD方式、NDD方式の業者がそれぞれの特徴を活かしたサービスを提供し、私たちは自由に選べることが理想ですよね。
海外では、それが普通です。自身のトレードスタイルに合わせて、DD方式とNDD方式の業者を自由に選択できる環境があります。
ところが日本では、望むと望まざるにかかわらず、大半の国内業者が熾烈なスプレッド競争に巻き込まれてしまっています。ライバル他社がスプレッドを下げれば、ウチも負けじと必死に追随します。追随しなければ、顧客がライバル社に流出するからです。
他社よりも1つでも多くの口座数を獲得することが、FX業者にとっての至上命令なのです。
スプレッドを定期的に下げるプロモーションは、もはや日本のFX業界では、日常になりつつあります。とにかく口座数の獲得・維持に、どの業者も必死です。
ドル円を好んで取引する日本人投資家に合わせて、ドル円のスプレッド競争はもはや限界まできています。
FX各社のスプレッド縮小競争が再燃 ついに0.1銭の水準に
9月26日、ゴールデンウェイジャパン(旧FXトレード・フィナンシャル)が、「日本 No.1 最狭スプレッド挑戦計画」と銘打って、突然米ドル/円のスプレッドを0.3銭から0.2銭へ縮小した。0.3銭はここ数年の相場となる水準だったためインパクトは大きかったものの、同社はMT4と呼ばれる上級者向けの自動売買サービスの専業であるせいか、しばらくは他社が追随する様子は見られなかった。
ところが、約2週間経過した10月15日、楽天証券が期間限定キャンペーンとして0.3銭から0.2銭へ縮小することを発表、これが本格的なスプレッド競争開始の号砲となった。その日のうちにGMOクリック証券、外為どっとコム、DMM.com証券、YJFX!が立て続けに同様のスプレッド縮小を発表したのだ。
引用:マネーポスト「FX各社のスプレッド縮小競争が再燃 ついに0.1銭の水準に」
ドル円のスプレッドが「0.1銭」って、もうこれ以上下げようがないレベルです。
USD/JPY(米ドル円)のスプレッド=0.1銭という水準は、世界的にみても突出しています。日本だけです。下の表は、海外FX業者のスプレッド表です。
USD/JPYのスプレッドは、0.5銭から2.6銭と幅広いですよね。ほかの通貨ペアのスプレッドも極端に狭いものはそれほどありません。これがスタンダードです。
しかも、これら海外業者のスプレッドは固定ではなく変動です(日本のスプレッドは原則固定)。
日本だけがスプレッドにおいてガラパゴス化しつつあるのですね。
「狭小スプレッドこそ至上!」と洗脳された日本人投資家
彼らFX業者がスプレッド競争をやめられない理由、それは日本人トレーダーが狭小スプレッドを好むからです。
というよりも狭小スプレッドこそが最高!素晴らしいのだ、とFX業界(FX業者・広告会社・アフィリエイター)がさんざん煽ったため、多くの日本人が洗脳されてしまったことに最大の原因があります。
狭小スプレッドという、バカでも理解できる選択基準を強くアピール&宣伝したため、多くの日本人が「スプレッドは狭ければ狭いほどいい!」「狭小スプレッドこそ至上だ!」と思い込んでしまったのですね。
結局、FX業者が墓穴を掘ったわけです。スプレッドでしか他社との差別化を提示できなかったFX業者(FX業界)の怠慢に問題の本質があるのです。自業自得ですね。
日本のFX業者がスプレッドを狭小&固定化できる理由、それが「DD方式」にある
スプレッド競争は、もはやラットレース化しつつあります。いずれ体力のないFX業者が大手に飲み込まれる吸収合併なども増えてくるでしょう。
日本のFX業者がここまでのラットレースに食らいつくことができるのは、彼らがDD方式を採用しているからです。スプレッドそのものを売上の源泉としない収益構造である(相対取引による収益を確保できる)からこそ、狭小スプレッド&固定スプレッドを提供できるわけですね。
一方、NDD方式の主な収入源は、手数料(スプレッドに上乗せ)です。NDD方式を採用する業者にスプレッド競争に参加する体力などありません。
現在、日本の上位を占めるFX業者の大半がDD方式を採用している理由、それが日本独自のFX環境(狭小&固定スプレッドを好む日本人投資家)にあることは間違いありません。