ロスカット発動の可能性が高いトレードとは、具体的にどのようなものか?
証拠金維持率が、追証(追加証拠金)発生や強制ロスカット発動の基準として使用されていることは多くのFX投資家が知っています。
ただ実際のトレードで追証(追加証拠金)発生や強制ロスカットに遭ったトレーダーはそう多くはないはず。
前回のケースはちょっと極端な例だったから、もう少し具体的な例で解説してもらえないかな?
ほほほ、欲しがりな奴め。
じゃあFX初心者がよくやりがちなロスカットの事例を取り上げるとしよう。
前回の記事では、極端な例を出して追証・ロスカットの例を解説しましたが、今回はより具体的なトレードにおける追証やロスカット例を解説していきます。特にFXを始めたばかりの初心者が陥りがちなロスカット例を取り上げます。
前回はGMOクリック証券のロスカットルール(追証ルール)で解説しました。
証拠金維持率 | GMOクリック証券 |
100%未満 → | 追証発生 |
50%未満 → | 強制ロスカット執行 |
GMOクリック証券では、証拠金維持率が100%を下回ると追加証拠金(追証)が発生し、50%を下回ると瞬時に強制ロスカットが執行されるというルールでしたね。
ロスカット条件は、各FX会社によって微妙に異なりますが、たいていは証拠金維持率50〜100%未満を基準としています。
今回は外為ジャパンFXのロスカットルールで解説します。
証拠金維持率 | 外為ジャパンFX |
100%未満 → | 追証発生 |
60%未満 → | 強制ロスカット執行! |
外為ジャパンFXのロスカット発動条件は、証拠金維持率60%未満です。
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ロスカット発動の具体例(外為ジャパンFX)
ではFX初心者のAさんに登場していただきましょう。
1ドル=100円で10,000通貨を取引開始
【Aさん】(FX初心者)
口座には5万円を用意しています。
ドル円(USD/JPY)を1ドル100円で10,000通貨(100万円分)購入します。
必要証拠金は4万円にします(レバレッジは25倍)。
とりあえずお小遣いの5万円を用意したAさん。レバレッジは最大の25倍で取引をしたいと考えています。…よくありそうなパターンですよね。
1ロット(10,000通貨)を最大レバレッジ25倍で取引するときの必要証拠金は4万円です。
口座資金5万円に対して4万円をぶっこむ時点でハイリスク(3倍程度がベターとされる実効レバレッジは、なんと20倍!)であることがわかりますが、Aさんは初心者なので理解していません。
では取引開始直後の証拠金維持率を計算してみましょう。
有効証拠金
=50,000円+(含み益 or 含み損)
=50,000円+0円
=50,000円
証拠金維持率(%)
=(有効証拠金 ÷ 必要証拠金)✕100
=(50,000円÷40,000円)✕100
=125%
証拠金維持率は125%です。100%に近い時点で、すでに証拠金維持率が危険水域にあることがわかりますね。
1ドル=97.33円まで下落…
Aさんの思惑とは反対に、ドル円は97.33円まで下落してしまいました。2円67銭もの下落です。
わちゃー! 2円67銭も下がっちゃったよー(汗)
途中で損切りも考えたのですが、(もしかしたら戻るかも…)という自分勝手な思い込みが損切りを躊躇させてしまうことに…。
結果的に、レートは2円67銭も下落。
このときのAさんの証拠金維持率を計算してみます。
含み損
=▲2.67円 ✕ 10,000通貨(1ロット)
=▲26,700円
有効証拠金
=50,000円ー含み損
=50,000円ー26,700円
=23,300円
必要証拠金
=97.33円✕10,000通貨÷25
=38,932円
証拠金維持率
=(有効証拠金 ÷ 必要証拠金)✕100
=(23,300円÷38,932円)✕100
=59.85% ←60%を下回った!
↓↓↓↓
Aさんのポジションに対しロスカット発動(外為ジャパンFXルール)!
Aさんの証拠金維持率は59.85%です。外為ジャパンFXのロスカット発動条件である60%を下回りました。つまり強制ロスカット発動です。Aさんのポジションは強制的に(自動的に)に決済されます。
※実際にはスワップ損益も有効証拠金に加算されるため数値は微妙に異なります。ここでは解説をわかりやすくするためスワップ損益は入れていません。
Aさんの資金は5万円➔23,300円まで減少
Aさんが最初に用意した5万円は、23,300円まで減少してしまいました。損失は26,700円です。
5万円が、2万3300円になっちゃったー(泣)
とはいえ、ロスカット発動のおかげで23,300円が手元に残ったと考えることもできますよね。
もしもロスカットルールが存在しなければ、さらなる下落でAさんの損失が拡大し、口座資金がゼロになってしまう恐れもあったわけです。
つまり、ロスカット・ルールは投資家の資産を守るための仕組みでもあるのですね。
強制ロスカットルールは無慈悲じゃが、投資家保護の観点に基づいた大事なルールなのじゃよ。