この「MACD」って自分が知ってるのと違う…?
先日の記事押し目買い・戻り売りをMACDで補完する超絶シンプルなFX手法を紹介するよ!にて、ストラテジーを補完するツールとして紹介したMACD。こちらですね。
try this one for MT4: Good_Macd.mq4
or even this one: MACD_AllcoloredMM2_4.mq4
そのMACDについてお問い合わせをいただきました。
ラインが2本表示されていて、しかもヒストグラムらしきものも重ねて描写されている…これはよく知っている一般的なMACDと違うの?というものです。
まず結論からお伝えすると、どちらも同じMACDです。
Good_Macd.mq4とMACD.mq4を比べてみよう!
記事で紹介した『 Good_Macd.mq4』とMetaTrader4に標準装備されている『MACD.mq4』を同時に表示させてみましょう。
2つのサブウィンドウにそれぞれMACDが表示されています。
- 上:MACD.mq4(メタトレーダーに標準装備されているもの)
- 下:Good_Macd.mq4(ラインが2本+ヒストグラムが表示されているもの)
比較しやすいようにMACDのみを拡大してみましょう。
パラメーターは、どちらも同じ設定になっています。つまり…
- Fast MA Period…12
- Slow MA Period…26
- Signal MA Period…9
極めてオーソドックスな(12、26、9)というパラメーター設定です。
MACDは移動平均線(EMA=指数平滑移動平均線)をベースにしたインジケーターです。詳しい内容はまた別の記事に譲りますが、ざっくりと解説すると次の通り。
[box class=”glay_box” title=”MACD計算式”]
- MACD=短期EMA(期間12)ー長期EMA(期間26)
- シグナル=MACDのSMA(期間9)
めちゃくちゃシンプルな計算式ですよね。一般的なMACDで図解すると…
たったこれだけのシンプルなテクニカルツールなんですね。
さて、もう一度、2つのMACDを見比べてみましょう。
よーく見ると、赤いライン(シグナル線=MACDのSMA)は、まったく同じであることがわかりますね。シグナル線は完全に一致しています。
次に、上のMACDのヒストグラム(グレーの棒グラフ=MACD)と、下のGood_Macdにおける水色の線を比較してみてください。
実はこれも全く同じです。線とグラフという違いがあるだけで「値」は全く同じなのですね。MACDという値(=短期EMAと長期EMAの差)を、棒グラフで描写しているのか、それとも折れ線グラフで描写しているのか、の違いにすぎません。
ここまでの解説で、MACDとGood_Macdが全く同じ値を示していることがわかりますね。つまり基本的には全く同じ、ということ。
Good_Macdに描写されているグレーの棒グラフはなんなの?
さて、最後の疑問。Good_Macd.mq4に表示されているグレーの棒グラフは何なのか?
もうお気付きかもしれませんが、これはMACD(水色線)とSignal(赤色線)の「差」をヒストグラム化したものです。
- MACD(水色線)ーSignal(赤色線)
ご覧の通り、MACD(水色線)とSignal(赤色線)が交わっているところでは、ヒストグラムはゼロになっていますよね。
- MACD=短期EMA(期間12)ー長期EMA(期間26)
- シグナル=MACDのSMA(期間9)
- 棒グラフ=MACD値ーシグナル値
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MACD(水色線)とSignal(赤色線)の「差」は何を意味するのか?
Good_Macd.mq4のグラフ値の根拠がわかったところで、ではいったいこの値はなにを意味するのか?
そもそもMACDは短期移動平均線と長期移動平均線の乖離値をグラフ化したものです。相場の変化を遅延することなく捉えるために、乖離幅を数値化してグラフにしているわけです。
MACDが上向くということは、短期移動平均線と長期移動平均線の乖離幅が縮小傾向にあることを示します。つまりMACDの上昇はトレンド転換を示唆するのですね。
そしてシグナル線は、その乖離幅を平均化したものですね。シグナル線はMACDそのもののトレント転換を見つけやすくするためにMACDを移動平均化してMACDの上に重ねて表示しています。MACDとそれを移動平均化したシグナル線のGC(ゴールデンクロス)、DC(デッドクロス)を確認することによって、上昇・下落のサインとするわけです。
さて、本題です。Good_Macd.mq4の「棒グラフ」(=MACD値ーシグナル値)は、なにを意味するのか?シンプルに答えれば、「MACDとシグナル線の乖離幅の視認性を高めるため」といえるでしょう。
乖離幅が拡大しているのか?それとも縮小しているのか?を瞬時に判断するためのグラフです。例えば以下のMACDをご覧ください。
MACD値とSignal値のみを表示したMACDです。ゴールデンクロスとデッドクロスは非常によくわかりますね。しかし、MACD値とSignal値の乖離幅の動向はよく見ないとわかりません。なんとなく拡大しているかな?とか、縮小傾向にあるのかな…?という程度です。
次に、「MACD値ーシグナル値」つまり乖離幅を加えたMACDをごらんください。
MACD値とシグナル値の乖離グラフを加えたことで、乖離幅の動向(変化)が非常によくわかります。
乖離が拡大しているのか?それとも急激に縮小しているのか?極めて明確ですね。
まとめると…Good_Macd.mq4の棒グラフ値は、MACD値とシグナル値の乖離幅の推移をビジュアル化して視認性を高めるためにあるといえます。
なくても問題ないですが、あればより便利…という機能ですね。
MACDをロジックの中でどう使うかによって必要な機能は決まる
MACDの本質がわかってさえいれば、各機能(Signal線やヒストグラム)は必要に応じて使い分ければ良いのです。
あなたが必要とする情報だけが表示されていれば問題ありません。不要な情報はかえってあなたのトレードの邪魔になることもあります。
よく理解した上で、使い分けましょう。