線形加重(=Liner Weighted)ってなんだろう?
前回はSMMA=Smoothed MA(平滑移動平均線)の計算式を解説しました。
今回は、LWMA=Liner Weighted MA(線形加重移動平均線)の計算式をざっくりと解説していきます。
そもそも、線形加重(=Liner Weighted)ってどういう意味なのでしょうか?
簡単に言ってしまえば、重み・比重(n=Weight)を徐々に線形(=Liner)に減らしていくという意味です。直近のローソク足の重みが最大であり、そこから過去に遡るごとに、徐々に比重を減らしていきます。最終的な比重は1になります。
考え方としてはEMAのように直近ローソク足に比重を置くことと大きく変わりません。比重のかけ方が異なるだけです。
線形加重移動平均線「LWMA=Liner Weighted MA」の計算式を解説するよ
LWMAの計算式は以下の通り。
LWMA=SUM / SUM Weight
わかりやすく分母と分子に分けて解説します。
1.まず分子を計算する
分子の計算式は以下の通り。
SUM={終値1✕n+終値2✕(n-1)+終値3✕(n−2)+終値4✕(n−3)…終値n✕1}
まずは、終値に段階的に比重をかけていきます。直近の終値に最も大きな比重(n)をかけ、ローソク足1本遡(さかのぼ)るごとに比重を1ずつ減らしていきます(n−1、n−2、n−3…)。最終的に最も過去のローソク足の終値の比重を1とします。ここでのnとは期間を指します。計算した各値を合計(SUM)します。
※直近の終値を「終値1」過去に遡るにつれ「終値2」「終値3」…とします。
期間が5の場合の計算は次の通り。
SUM=終値1✕5+終値2✕(5−1)+終値3✕(5−2)+終値4✕(5−3)+終値5✕(5−4)
期間が10の場合の計算式は次の通り。
SUM=終値1✕10+終値2✕(10−1)+終値3✕(10−2)+終値4✕(10−3)+終値5✕(10−4)+終値6✕(10−5)+終値7✕(10−6)+終値8✕(10−7)+終値9✕(10−8)+終値10✕(10−9)
2.次に分母を計算する
次に分母の計算です。計算式は以下の通り。
SUM Weight=n✕(n+1)/2
期間が5の場合は…
SUM Weight=5✕(5+1)/2=15
これは先の分子の計算式内の終値に対する比重の合計と同じです。つまり…
SUM Weight=5+(5−1)+(5−2)+(5−3)+(5−4)=15
期間が10の場合は…
SUM Weight=10✕(10+1)/2=55
同じく、分子の計算式内の終値に対する比重の合計(重み係数の合計)と同じになります。
SUM Weight=10+(10−1)+(10−2)+(10−3)+(10−4)+(10−5)+(10−6)+(10−7)+(10−8)+(10−9)=55
「SUM Weight=n✕(n+1)/2」 ←この式は上の面倒な式(比重合計の算出式)を簡略化したものなのですね。
3.分子を分母で割ってLWMA値を求める
先に求めた分子を分母で割ります。
LWMA=SUM / SUM Weight
これでLWMA値が算出されるわけですね。
具体的な数値を使ってLWMA(線形加重移動平均線)を計算してみよう
SMMA同様に具体的な値を使ってLWMAを計算してみます。例えば10日分の終値が次の通りとします。
- 1日目…100円
- 2日目…101円
- 3日目…103円
- 4日目…102円
- 5日目…104円
- 6日目…103円
- 7日目…102円
- 8日目…100円
- 9日目…99円
- 10日目…98円
LWMAの期間を「5」とした場合、計算ができるのは5日目以降ですね。
- 5日目のLWMA=(104✕5+102✕4+103✕3+101✕2+100✕1)÷15=102.60円
- 6日目のLWMA=(103✕5+104✕4+102✕3+103✕2+101✕1)÷15=102.93円
- 7日目のLWMA=(102✕5+103✕4+104✕3+102✕2+103✕1)÷15=102.73円
- 8日目のLWMA=(100✕5+102✕4+103✕3+104✕2+102✕1)÷15=101.80円
- 9日目のLWMA=(99✕5+100✕4+102✕3+103✕2+104✕1)÷15=101.06円
- 10日目のLWMA=(98✕5+99✕4+100✕3+102✕2+103✕1)÷15=99.53円
ここまで分解すれば、難解なLWMAも理解できるはず。
【2024年5月版】優位性の高いFX商材 Best4
LWMA(線形加重移動平均線)の動きをチャートで確認してみる
LWMAの計算式からわかるのは、直近の価格(終値)に大きな比重をかけ、過去にいくにつれ徐々に比重を軽くしていっているということ。つまり直近価格(終値)を重要視した移動平均線なのですね。
実際にMT4チャートにプロットするとEMAとSMAの中間のような動きをします。
期間10で各移動平均線をMetaTrader4にプロットしています。SMAよりはより敏感に動くが、EMAほど極端に終値に追従するわけではない…そんな印象ですね。
前回のSMMA(平滑移動平均線)と比べてみましょう。
わかりにくいので、SMMA(平滑移動平均線)とLWMA(線形加重移動平均線)のみをチャート上に描画してみます。
SMMA(平滑移動平均線)は名前のごとく、スムーズな動きです。一方のLWMA(線形加重移動平均線)はある程度価格(終値)に追従していることがわかりますね。
2回にわたってSMMA、LWMAの解説をおこなってきましたが、実際に使うかどうか?と言われれば、疑問ですね。これらの複雑な移動平均線の必要性・必然性がどこまであるのか?を考えてみるべきです。
よくわからないテクニカル指標を使うことほど馬鹿げたことはありません。