「平均足スムーズド、ええやん!で、どこが凄いの?」「…」
前回、平均足スムーズド(Heiken_Ashi_Smoothed)の計算式について解説しました。
やや難解ですが、計算ロジックは理解できたと思います。平均足スムーズドは、ローソク足の4本値を2回にわたって「平準化=均一化」したインジケーターでしたね。
- 第1段階:4本値から移動平均化した4本値を算出してさらに平均足化する
- 第2段階:第1段階の4本値をさらに移動平均化して4本値を算出
それにしても、どうしてこんな面倒なことをするのでしょうか?なんとなくわかったような、わからないような気分じゃないでしょうか?
チャートを見ればわかるとおり、トレンドの方向や強さを大局的に俯瞰するぶんには有効であるかのように見えますよね。上昇トレンドが継続中は陽線が連続し、下落トレンドならば陰線が連続します。
ただし、陽線・陰線の変わり目が仕掛けや手仕舞いのサインになるかといえば、そうではありません。ローソク足を平準化しているため、平均足スムーズドは必ず遅れて反応するからです。
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平均足スムーズドの本質は「移動平均線」と同じである
実は、平均足スムーズドの本質は、移動平均線と同じです。そもそも平均足スムーズドはローソク足4本値を2回にわたって移動平均化したものに過ぎないからです。
たとえば、以下のチャートをご覧ください。
USSD/JPY(ドル円)の1時間足に平均足スムーズドを設定したMT4チャートです。同じチャートに移動平均線を表示させてみましょう。
表示させているのは期間8の平滑移動平均線です。平均足スムーズドと同じような動きをしていませんか?わかりやすく、2つを重ねてみます。
ほぼ重なっています。上昇下落で色が変わる移動平均線(MA in Color.mq4)を使えばより明確です。以下のチャート図では期間8の平滑移動平均線を表示させています。
そして平均足スムーズドがこちら(↓)。
上昇・下落での色の変わり目も、ほぼ同じですよね。まあ、当たり前です。そもそも平均足スムーズドは4本値を移動平均化したものだからです。
「じゃあ、いっそのこと移動平均線で良いのでは?」←正解
平均足スムーズドが移動平均線と同じ動きをするのではれば、「平均足スムーズド、いらなくない?」と思ってしまいますよね。
平均足スムーズドがどのように算出されているかも知らず、その概念すら全くわかっていない状態で、平均足スムーズドを使うことは、馬鹿げています。単純に平均足スムーズドをメインチャートに表示させているだけならば、いっそのこと移動平均線を表示させていたほうがよっぽどマシですよね。
インジケーターの本質を理解せずに見た目だけで(良さげと)判断してチャートに表示させているトレーダーは少なくありません。もはや本末転倒です。
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平均足スムーズドを活用するならばやはりMTFは欠かせない
結局、単体の平均足スムーズドをメインのテクニカルとしてトレードしている人は少ないのですね。
平均足スムーズドを活用するならば、やはりMTF(マルチタイムフレーム)は欠かせません。つまり、異なる時間足の平均足スムーズドを同時監視して、大きな方向性を把握するために活用するということ。
そこで登場するのが『4TF HAS Bar.mq4』なのです。
『4TF HAS Bar.mq4』は異なる4つの時間足の平均足スムーズドをドットで表示させることのできるインジケーターです。
サブウィンドウに表示されているテクニカルが『4TF HAS Bar.mq4』です。拡大してみます。
執行時間足のみの平均足スムーズドを監視しているだけでは、ダマシも多く、よっぽど明確なトレンドが発生しない限り、ENTRYも手仕舞いも後手に回ってしまいます。
そこで、上位足の平均足スムーズドの状態を同時監視するわけです。
全ての時間足(例えば1時間足・4時間足・日足・週足)の平均足スムーズドが陰線ならば、強いトレンドが発生していると考えることができますよね。さらに上位足のトレンドに同調する形で戻り売りが可能です。
以下のチャートをご覧ください。
執行時間足は4時間足。1時間足を含む全ての上位足(4時間足・日足・週足)が赤いドット(=陰線)となっていますね。強い下落トレンドが発生していると判断できます。
さらに以下のようなトレード戦略も可能です。
上位足のトレンドが明確で、執行時間足が押し目や戻りを付けたタイミングで仕掛ける
最も優位性の高いトレード法は、トレンド中の押し目や戻りを狙うやり方です。つまり、上位足のトレンドが明確でなおかつ執行時間足が一時的に逆方向に向いたタイミング。
チャート図で示すと以下の箇所です。
全体的に下落基調(4つの時間足がすべて陰線)となっているなかで、5分足だけ一部が陽線(青ドット)になっているタイミングが2箇所ありますね。
ここが下落トレンド発生中における一時的な「戻り」です。ここから再び赤ドットに戻ったタイミングで「売り」で仕掛けるわけです。
トレンドは下落方向にあるので、売りで仕掛けるのは当然ですが、ENTRYのタイミングは先ほどの「戻り」がベストです。
逆のパターンもみてみましょう。今度は押し目です。
全体的に上昇基調(4つの時間足がすべて陽線)となっているなかで、5分足だけ一部が陰線(赤ドット)になっているタイミングが3箇所あります。
ここが上昇トレンド発生中における一時的な「押し目」です。ここから再び全色が青ドットに揃ったタイミングで「買い」で仕掛けます。
トレンド転換後の初速を捉えるのではなく、トレンドが確定してからの押し目・戻りのタイミングで仕掛けるわけですね。
これらのタイミングを待つことで、落ち着いてENTRYすることが可能になります。
平均足スムーズドを単体で活用するよりも、よっぽど戦略性の高いトレードができそうですよね。