【FX】ストキャスティクスの最適なパラメーターを考察するまえに…
ストキャスティクスのパラメーターについて段階的に解説します。ストキャスの基本的な概要は以下の関連記事をお読みください。
関連記事
ストキャスティクスの主要パラメーター(設定項目)は、全部で3つあります。
- %K(の期間)
- %D(の期間)
- %SD(の期間)
あまり聞き慣れないパラメーター名です。それぞれの意味についてはストキャスティクスの計算式が難しいって言ってたヤツ、ちょっとこいで詳しく解説していますが、ざっくり説明すると以下の図の通り。
%Kを平滑化したものが%Dであり、%Dを移動平均化したものが%SDです。%SDは、「%Slow D」の略です。
MT4でストキャスティクスのパラメーター設定を確認してみる
まずは、MT4(MetaTrader4)にて、ストキャスティクスのパラメーター設定を確認してみましょう。
重要なパラメーターは以下の3つです。
- %K期間
- %D期間
- スローイング(=%SD)
デフォルトでは、以下の値が初期値となっていますね。
- %K期間…5
- %D期間…3
- スローイング(=%SD)…3
【2024年5月版】優位性の高いFX商材 Best4
ファストストキャスティクスとスローストキャスティクスの違い
さて本題です。MT4のストキャスティクスは、パラメーター設定によって2つの表示スタイルを選択することができます。
- ファスト・ストキャスティクス(Fast Stochastics)
- スロー・ストキャスティクス(Slow Stochastics)
ネットでは「ファースト・ストキャスティクス」という記載を見かけますが、厳密に言えば「ファスト=fast」が正しいです。「ファーストフード」も和製英語でが、正しくは「ファストフード」です。
では、ファスト・ストキャスティクス(Fast Stochastics)とスロー・ストキャスティクス(Slow Stochastics)の違いを解説します。
スロー・ストキャスティクス
まずは、スロー・ストキャスティクスから。初期値のままストキャスティクスをMT4に表示させてみると以下のようなチャートになります。
ご覧の通り、MT4のストキャスティクスは、2本のラインで構成されていますね。これは「スロー・ストキャスティクス」です。
MT4で初期設定(5、3、3)のままストキャスティクスを設定すると、「スロー・ストキャスティクス」がチャート上(サブウィンドウ)に表示されます。
スロー・ストキャスティクスで表示されるラインは2本です。
- メインライン(薄緑色の実線)
- シグナルライン(赤色の破線)
それぞれのラインが示す値は次の通り。
- メインライン(薄緑色の実線)…%D
- シグナルライン(赤色の破線)…%SD
つまり、%Dと%SDで構成されるストキャスティクスがスロー・ストキャスティクスとなります。
ファスト・ストキャスティクス
ではファスト・ストキャスティクスを表示させたい場合、どうするか?
パラメーターの「スローイング期間」を「1」にします。
とりあえず、%Kと%Dの期間はそのままで、スローイング(%SD)の期間のみを「1」に設定することで、ファスト・ストキャスティクスをチャート上に表示させることができます。実際にMT4チャートを見てみると…
ファスト・ストキャスティクスで表示されるラインは2本です。
- メインライン(薄緑色の実線)
- シグナルライン(赤色の破線)
それぞれのラインが示す値は次の通り。
- メインライン(薄緑色の実線)…%K
- シグナルライン(赤色の破線)…%D
つまり、%Kと%SDで構成されるストキャスティクスがファスト・ストキャスティクスとなります。
まとめると次の通り。
[box class=”glay_box” title=”ファスト・ストキャス”]
- メインライン(薄緑色の実線)…%K
- シグナルライン(赤色の破線)…%D
[box class=”glay_box” title=”スロー・ストキャス”]
- メインライン(薄緑色の実線)…%D
- シグナルライン(赤色の破線)…%SD
ファスト・ストキャスティクスとスロー・ストキャスティクスのチャートを並べてみましょう。
比べるとかなり印象が違いますね。ファストの方はかなり敏感に反応していて感度が高そうな動きをしています。一方のスローは、波の動きがゆっくりとしています。感度が抑えられていることがわかりますね。
ファストストキャスティクスとスローストキャスティクス、何が違うのか?
ファスト・ストキャスティクスとスロー・ストキャスティクスの見た目の違いがわかったところで、では実際になにがどのように異なるのか?
名前から察することができるように、ファストは感度が高く、スローは感度をおさえ気味にしたシグナルということです。
以前、ストキャスティクスとはなにか?小学生でもわかるように解説するよ!の記事で、ストキャスティクスの本質は時間経過とともに変化する勢い(モメンタム)を測定することで、この先価格がどう動くかを予測することにあると解説しました。それをロケットの軌道変化で例えましたね。
ストキャスティクスの本質は、ロケットの勢い(スピード)を計測して方向転換を予測することにあった!
今回は、ストキャスティクスとは何か?その本質とは?について詳しく解説してみました。
上昇中のロケットは、方向転換をする直前(下降に転じる前)に必然的に減速する…だったらその勢い(スピード)の変化をチェックすれば、相場転換を予測できるのではないか?この仮説を元に考案されたテクニカルが、ストキャスティクスです。
勢い(モメンタム)の変化が、常に価格変動に「先行する」という”仮定”に基づいているわけですね。
ファストは、勢い(モメンタム)の変化を敏感に捉え、価格変動を予測します。つまり短期的なモメンタムの変動を察知していることになります。
一方のスローは、勢い(モメンタム)の変化から大きめのノイズを排除して平均化し、シグナルを鈍感化させています。その結果やや長期的なモメンタムの変動を察知することに長けています。
これがファスト・ストキャスティクスとスロー・ストキャスティクスの違いです。どちらが優れているとかではありません。目的に応じて使い分けるというのが正しい使い方です。