【誤解してない?】ストキャスティクスの正しい使い方を解説するよ!
これまでのストキャスティクス設定に関する記事はこちら。
- ストキャスティクスとはなにか?小学生でもわかるように解説するよ!
- ストキャスティクスの計算式が難しいって言ってたヤツ、ちょっとこい
- ファストストキャスティクスとスローストキャスティクスの違い、説明できる?
- ストキャスティクスのパラメーター(設定値)、最適解は?
そして、ストキャスティクッスを使ったトレード手法に関する記事はこちら。
- ストキャスティクスを愛してやまない男の手法を紹介するよ!【その1】
- ストキャスティクスを愛してやまない男の手法を紹介するよ!【その2】
- 【勝てる】EMAクロスをRSIとストキャスでフィルタリングしたシンプルFX手法!
- ストキャスティクスの買われすぎ・売られすぎをカラー表示させるインジケーターを紹介するよ!
- 【FX手法】ストキャスティクスの面白い使い方を紹介するよ!
今回はストキャスティクスの基本的な使い方について解説します。
ストキャスティクスは時間経過とともに変化する勢い(モメンタム)を測定することでこの先価格がどう動くかを予測するテクニカル指標だ
ストキャスティクスとはなにか?小学生でもわかるように解説するよ!で解説したとおり、一定期間の高値と安値の値幅(ゾーン)を算出し、その値幅(ゾーン)と比較して現在価格(終値)がどのレベルにあるのか?このレベルを数値化したものがストキャスティクス(=%K)です。簡単に言えば、モメンタム(レートの勢い)の変化を0〜100%の範囲でグラフ化しているわけですね。
価格変動の前に必ずモメンタムの変化(勢いの強弱)が先行する…だったらモメンタムを測定すれば、この先価格がどう動くかを予測できるのではないか?こうした仮定に基づいて考案されたのがストキャスティクスです。
空に向かって上昇中のロケットをイメージしてください。そのロケットが上空で方向転換して下降するとします。その場合、ロケットは必ず減速しますよね。
上の図は、時間経過とともにロケットの運動量が変化する様を表しています。この原理(アイデア)を取り入れた指標がストキャスティクスです。
ストキャスティクスの発案者であるGeorge Lane(ジョージ・レーン|アメリカ)が語った言葉に、ストキャスの本質が集約されています。
“Stochastics measures the momentum of price. If you visualize a rocket going up in the air – before it can turn down, it must slow down. Momentum always changes direction before price.”
ロケットが空中で上昇していくのを想像してほしい。
ロケットが下降する前に当然ロケットは減速しなければならないことがわかるはず。
つまり、勢い(モメンタム)は常に価格が変わる前に方向を変えるのだ。”
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買われすぎ・売られすぎ…を判断するのは正しいのか?
一般的によく言われているのが、「ストキャスティクスで買われすぎ・売られすぎを判断する」というもの。
実はこの表現は正しくはありません。正しく表現するならば次の通り。
ストキャスティクスが上辺(80〜100%)ゾーンに入ったからといって、「買われすぎ」であると判断することはできません。ただ単に、モメンタム(スピードや勢い)の圧力=強度が強いことを示しているに過ぎないのです。
同様に、下辺(20〜0%)ゾーンに入っても「売られすぎ」を示しているわけではなく、価格のモメンタム(スピードや勢い)の圧力=強度が弱いことを示しているだけなのです。
このあたりの考え方はRSIの解説時にもお伝えしましたね。
買われすぎ・売られすぎ…ではなく「上昇の勢いの強弱」をグラフ化した指標である
冒頭で、RSIは一定期間の価格変動に対する上昇値動きの割合(%)を算出したものと述べました。
全体の値動き幅に対する相対的(Relative)な上昇力(Strength)の割合を算出した指数(Index)…ということですね。
RSIの値(%)が高ければ上昇圧力(勢い)が強く、逆にRSIの値(%)が低ければ、上昇圧力(勢い)は弱いと判断します。
- RSIの値が高い(50%以上)=上昇圧力(勢い)が強い
- RSIの値が低い(50%未満)=上昇圧力(勢い)が弱い
「買われすぎ」「売られすぎ」というよりは、上昇圧力(勢い)が強いか弱いかを判定する指標と考えたほうが、RSIの本質を正しく捉えていると言えます。
RSIが「買われすぎ」「売られすぎ」を判断する指標だと勝手に思いこんでしまうと、トレンド発生時にRSIのダマシが連発する理由を説明できなくなります。むしろ、
- RSIが50%を超えてきたら上昇圧力が強まってきている
- RSIが50%を割ってきたら上昇圧力が弱まってきている
と判断するのがRSI本来の正しい見方です。
【誤解】買われすぎ・売られすぎ…ではなく「価格の勢いやスピード(=Momentum)の強弱」を示しているだけ
多くのサイトや投資本の中で、ストキャスティクスやRSIは「買われすぎ・売られすぎを判断する指標」であると解説しています。しかし正しくは次の通り。
- ストキャスティクス…価格の勢いやスピード(=Momentum)の強弱を判定する
- RSI…価格の上昇圧力(=Strength)の強弱を判定する
ストキャスティクにおける「買われすぎ・売られすぎ」判断は、「価格の勢いやスピード(=Momentum)の強弱を判定」した結果の一側面に過ぎないということを覚えておくべきです。
そうすればストキャスティクスが上辺に張り付いてなお、価格がさらに上昇を続ける…という現象も理解できるはずです。ただ単に価格の勢いやスピード(=Momentum)が非常に強いということを示しているだけです。だったらなおさらレートが上昇を続けてもおかしくありませんよね?高値を更新し続ければ、理論上「%K」は100%レベルに張り付きます。
また下辺に張り付いているのにレートが反転上昇せずに下落を続ける…という現象に悩まされることもなくなります。安値を更新し続ければ、理論上「%K」は0%レベルに張り付きます。安値を更新し続けている、つまり価格上昇勢い・スピードが弱い=
もちろん、永遠に価格が上昇・下落するわけでもなく、どこかで相場転換します。その際にストキャスティクスがいち早く反応するわけです。なぜならストキャスティクス(モメンタム)の変化は、価格変化に常に先行するのだから。
ストキャスの変化を観測し、その後の価格変化をいち早く読み取る…これが正しい使い方だ
ストキャスティクスの正しい使い方(本来の使い方)をまとめておきます。
0〜100%の範囲で変動するストキャスティクスを観測し、その動きから未来のレート変動をいち早く読み取る…これこそがストキャスティクス概念(メカニズム)に基づいたの正しい使い方です。
ストキャスを「買われすぎ・売られすぎの判断指標」であると間違った覚え方をしているトレーダーは、今すぐ改めるべきです。