教えたくなかったけど”20日移動平均線”本当にやばい(語彙力)今まで使わなかった自分を殴りたい……
ちょっと煽り気味のタイトルにしましたが、あながちウソではありません。以前もこんな記事をアップしましたね。
移動平均線(特にEMA=指数平滑移動平均線)の優位性について解説した記事です。
さて、今回取り上げるのは期間20のEMA=指数平滑移動平均線です。Bob Volman(ボブ・ボルマン)の『FXスキャルピング』(パンローリング株式会社)からピックアップします。
『FXスキャルピング』はスキャルピング戦略の有用性を説いた良書です。おすすめですよ。
「必要なのは20EMA、1本だけ!」byボルマン
Bob Volman(ボブ・ボルマン)は本書で以下のように語ります。
実際、本書のトレード画面には、価格以外には1本の移動平均線(20期間指数移動平均線[EMA])しか表示していない。
…なんと潔いのでしょう。Bob Volman(ボブ・ボルマン)のスキャルピング戦略は全部で7つあります。
- DD(ダブル同時線ブレイク)
- FB(ファーストブレイク)
- SB(セカンドブレイク)
- BB(ブロックブレイク)
- RB(レンジブレイク)
- IRB(インサイドレンジブレイク)
- ARB(アドバンストレンジブレイク)
これら7つのスキャルピングストラテジーにおいて、使用するテクニカル指標は、移動平均線(しかも1本だけ!)なのです。なかなかすごくないですか?
1番目のDD(ダブル同時線ブレイク)に関しては、このサイトで詳しく取り上げていますので以下の記事をどうぞ。
なぜ他のテクニカルが不要なのか?
「トレードに必要なものは20EMA、1本だけ!」と言い切るボルマン。どうして他のテクニカルが不要なのか?もう少しボルマンの言い分に耳を傾けてみましょう。
チャートソフトに入っているツールをすべて試すような熱心なテクニカルアナリストは、チャートに指標もトレンドラインも、ブーメランバンドも、リトレースメントの水準も、ストキャスティクスも放物曲線もないことに違和感を覚えるかもしれない。
しかしこれらの情報はトレーディングを混乱させ、懸念を生む効果しかないため、あきらめてほしい。そればかりか、指標によってはまったく正しいトレードを遠ざけてしまったり、間違ったタイミングでマーケットに引きつけたりすることにもなりかねない。
引き金を引くときに、しっかりとした観察に勝るアルゴリズムはないのである。
様々なテクニカル指標を重ねて表示することの弊害を説いていますね。数学的(幾何学的)なテクニカル指標をチャートに表示させることで、人はロジカルにトレードしている錯覚に陥りがちです。
そもそもテクニカル指標は過去の相場(ローソク足)をベースに数値化したグラフに過ぎません(もちろん移動平均線も)。今、現在を表しているのではなく、あくまでも過去であり過去データから導き出された”傾向”にすぎません。相場が動いたときに、後追いするのがインジケーター(テクニカル指標)の本質です。
本当に観察すべきもの(情報)は、相場の裏でうごめく無数の投資家の心理です。ボルマンは次のように語ります。
次に表示されるローソク足のことは忘れて、すでにそこにある足だけに注目して欲しい。これらの足は何を伝えようとしているのだろうか。安値を切り上げているのか、それとも高値を切り下げているのか。
プライスアクションの専門家ならではの発言ですね。今現在動いている最新のローソク足にこそ、相場の「今」が存在します。ローソク足の動きに注目することで、その背景に存在する無数の投資家の心理を読み解くこと。それがプライスアクションの真髄なのですね。
テクニカルを否定するボルマンが「20EMA」をどう使うのか?
ボルマンのスタンスはわかりましたね。あらゆるテクニカルを否定し、プライスアクションに注目する…とはいえ、「20EMA」もテクニカルですよね?では、ボルマンが20EMAのみを使う理由は何なのでしょうか。先に挙げたボルマンの7つの戦略。
- DD(ダブル同時線ブレイク)
- FB(ファーストブレイク)
- SB(セカンドブレイク)
- BB(ブロックブレイク)
- RB(レンジブレイク)
- IRB(インサイドレンジブレイク)
- ARB(アドバンストレンジブレイク)
これらは全てプライスアクション戦略です。つまり最新のローソク足の動きをベースに構築されたストラテジーです。実はこれら7つの戦略は、すべて20EMA(期間20の指数平滑移動平均線)周辺で発生するプライスアクションだけに絞っているのです。
多くのトレーダーが注目する20EMAをチャート上に表示させることで、その他大勢の短期トレーダーの仕掛け方向を予測し、プライスアクションで仕掛けのタイミングを見極める。20EMAを各ストラテジーのフィルターとして活用しているわけです。
- 20EMAが上向きでローソク足がその上にあれば、強気トレンド=買い場を探す
- 20EMAが下向きでローソク足がその下にあれば、弱気トレンド=売り場を探す
極めてロジカルですね。ボルマンの具体的な戦略は『FXスキャルピング』(パンローリング株式会社)を読んでほしいのですが、プライスアクションの専門家ですら”20EMA”だけは表示させるというのは興味深いですよね。
『FXスキャルピング』(パンローリング株式会社)は、今なら無料(Kindle Unlimited)で読めますよ!