【FXレバ10倍規制は見送りへ】個人投資家のリスクテイクを大きく規制するのはナンセンス

【FXレバ規制見送りへ】個人投資家のリスクテイクを大きく規制するのはナンセンス

【FXレバ規制見送りへ】個人投資家のリスクテイクを大きく規制するのはナンセンス

FXレバ規制(25倍→10倍)を巡るドタバタ劇は2017年9月に開幕

2018年2月に大きなニュースとなった「FXレバレッジ規制強化案」。現行の25倍から10倍への引き下げを検討すると金融庁が発表して、業界は騒然としましたね。当時(2018年2月)の記事を引用します。

FX規制強化へ 金融庁、証拠金倍率10倍に下げ

金融庁は2018年春にも外国為替証拠金取引(FX)の規制を強化する方針だ。個人投資家が預けたお金の何倍まで取引できるかを示す証拠金倍率(レバレッジ)を、現行の25倍から10倍に引き下げることを検討する。外国為替相場が急変動した際、個人投資家や業者が想定を超える損失を抱えるリスクを減らす。

13日に店頭FX業者の決済リスクを議論する有識者会議を立ち上げ、規制強化策を議論する。

金融庁が規制見直しを検討するのは、レバレッジの引き下げと業者の自己資本規制だ。レバレッジの上限は現在25倍。10倍にすれば取引の元本となる証拠金は2.5倍に増え、その分、投資によるリターンも低下する。

引用:2018/2/12 20:00日本経済新聞 電子版

金融庁の発表を受けて、有識者を集めた検討会が立ち上がり、これまでに何度か会合が開催されました。

そもそもFXのレバレッジ規制案は、金融庁によって半年以上前(2017年9月)に種がまかれていました。当時の記事がこちら。

FX証拠金倍率を引き下げ 10倍程度に、金融庁検討
リスク管理を懸念、最大25倍の規制見直し

金融庁は外国為替証拠金取引(FX)の証拠金倍率(レバレッジ)を引き下げる検討に入った。現行の最大25倍から10倍程度に下げる案が有力だ。外国為替相場が急変動した際、個人投資家や金融機関が想定を超える損失を抱えるリスクが高まっていると判断した。国内の取引高は約5千兆円に上る一方、FX業者への規制は銀行などに比べ緩い面がある。規制見直しで日本発の市場混乱を防ぐ。

引用:2017/9/27 18:45日本経済新聞 電子版

当時のニュースは日経新聞のフライング(憶測記事)などと言われて、レバ規制は眉唾ものと囁かれていました。

ところが…2018年2月に金融庁の正式発表によって、レバレッジ規制検討が正式に動き出すことが判明しました。

【金融庁】FXの投機性を下げるべきべきだ…

このタイミングでなぜレバレッジ規制を金融庁が検討するのか?

最大の理由は、FXの投機性を下げたいという金融庁の思惑です。

この業界に長く生息する投資家はみな知っていますが、一昔前は400倍や200倍をうたうFX業者が多く存在していました。現行の25倍しか知らないユーザーからすれば、当時の400倍のレバレッジなど信じられないかもしれませんね(海外ブローカーならば今でも400倍を超える取引が可能です)。

レバレッジ400倍の資金効率は恐ろしく爆発的です。当然、お金を失う速度も半端ありません。まさにギャンブルです。

高レバレッジ取引によって多くの口座破綻者を生みましたが、その一方で決して少なくない億り人を作り出したのも事実です。わずか3ヶ月で10万円を6億円にした男「GFF氏」もその一人です。

10万円を6億円にしたFX(為替)トレーダーGFF氏の手法を解説

とはいえ、世間的にはFXの射幸性の高さが注目され、FXを監督する金融庁は、その批判の矢面に立たされました。2011年8月におこなわれた25倍へのレバ規制は、風当たりの強い金融庁が頭ごなしに断行した施策です(50倍から25倍へと段階的に規制)。

そして今回の10倍規制案の浮上。

現行のレバ25倍では、個人投資家が過去に起きた最大の相場変動に耐えられないとの判断から、レバの最大を10倍程度へ引き下げるべきとの案が急浮上したわけです。

【金融庁】為替の過去の変動率が11.4%…だからレバ10倍は妥当

「レバレッジ10倍」という案にはもちろん金融庁なりの根拠があります。

1985年以降(プラザ合意後)の主要10通貨の変動率の平均を算出すると、11.4%というデータがあります。この変動率は1日の最大変動率を基準にしています。

仮に1ドル=100円とするならば、価格変動率が10%となると、100円±10%(90円〜110円)の範囲でレートが動くという意味です。

この変動率の平均(10通貨)が11.4%であるから、その変動幅に合わせた最適なレバレッジとして「10倍」という数字が浮上したわけです。現行のレバ25倍では、投機性(射幸性)が高くなってしまい、破綻リスクも増大するとの判断です。

仮にレバ25倍で100万円の取引をするならば、投資資金は4万円です済みます。しかし100万円が96万円になれば強制ロスカットとなります。

一方、レバ10倍まで下がれば100万円の取引には投資資金は10万円が必要です。この場合100万円が90万円になれば強制ロスカットとなるわけです。

つまり…レバ10倍ならば10万円までの為替変動に耐えられるが、レバ25倍では為替変動4万円までしか耐えられないということを意味します。

過去の主要10通貨の変動率が11.4%ならば、100円が90円や110円になる可能性は十分にあり、レバ10倍は妥当…というのが金融庁による「レバレッジ10倍ロジックの骨子」です。

個人投資家のリスクテイクを大きく規制するのはナンセンスだ

そもそもレバレッジ規制はナンセンスです。レバレッジは自分の口座資金に対する保有ポジション比率によって決まるからです。

100万円の取引に対して、いくら証拠金を用意できるか?によってレバレッジは変わります。

  • 10万円しか用意できないのであれば、レバレッジは10倍
  • 20万円用意できるならば、レバレッジは5倍
  • 50万円用意できるならば、レバレッジは2倍

その上限が25倍(現行)ということなので、

  • 5万円で100万円の取引ができる(レバレッジ25倍)

ということに過ぎません。レバレッジを10倍に規制すれば、より多くの自己資金が求められるか、取引できる金額が下がることになります。

しかし、それは個人投資家にまかせるべきでしょう。大きなリターンを求めるならば相応のリスクを払うべきです。一方、リスクを自ら抑えるならばリターンも小さくなる、これは当たり前のことです。

実際に、外為ドットコムが2017年9月に個人投資家の実効レバレッジに関してアンケートを取ったところ、最も多かったレバレッジは「10倍」だったというデータがあります。

実効レバレッジ 比率
1倍 10.7%
2倍 15.4%
5倍 21.9%
10倍 24.7%
15倍 6.8%
20倍 7.1%
25倍 13.4%

引用:外為どっとコム 月曜コラム「週刊 独り言」

レバレッジを常に一定に保つようにトレードしている投資家もいれば、状況に応じてレバレッジを変えてトレードしている投資家もいることでしょう。

レバレッジ上限を10倍に下げることは、投資家のリスクテイクを大きく制限することになります。投資は自己責任…と主張する金融庁が、投資家のリスクテイクを大きく規制することはナンセンスです。

ある程度のリスクテイクが許容されなければ、そもそも投資とは言えません。

急転直下、レバ規制は見送ることに…

ところが、2018年5月30日、金融庁が今回のレバレッジ規制(25倍→10倍)を見送る方針を発表します。

FXのレバレッジ規制、強化見送り 投資家らの反対強く

金融庁は30日、少ない元手(証拠金)で多額の外貨が取引できる外国為替証拠金取引(FX)について、取引倍率(レバレッジ)を抑える規制の強化を見送る方針を明らかにした。取引可能額を元手の25倍から10倍まで引き下げる案を検討してきたが、FX業者や個人投資家らの反対が強かったという。

金融庁によると、FXの取引高は2010年度の2千兆円から16年度には5千兆円まで急拡大。投機的な取引の過熱を警戒し、金融庁は倍率の引き下げを検討してきた。市場関係者らに意見を求めたところ「25倍でも海外より低い」「少額で投資を楽しめる魅力がなくなる」などと反対意見が続出。業者の健全性を調べる特別検査(ストレステスト)の頻度を高める代わりに、レバレッジの上限は25倍のまま据え置く方針に改めた。

引用:朝日新聞デジタル 2018年5月31日16時45分

FXを遥かに凌ぐ投機性を持つ「仮想通貨取引」に多くの個人投資家が流れて、業界も焦ったのでしょうね。かなりのロビー活動が行われたとの噂があります。

金融庁も、これほど仮想通貨取引マーケットが盛況を迎えるとは想定外だったのでしょう。このタイミングでFXのレバレッジ規制を行えば、一気にFX離れが加速しかねません。

過剰なレバレッジ規制よりも、金融リテラシーを向上させるための啓蒙活動に力を注ぐべきでしょう。もしくは、海外FX業者では常識とされる「追証の発生しないゼロカット方式」の採用など、取り組むべきことは他にあるはずです。

 

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