毎月2〜3万人もの人々がFX口座を新規に開設する異常な国「日本」
FXへ新規参入する人々(新規口座開設者)が、増加の一途を辿っています。
2019年11月末の有力FX企業17社*1の口座数の合計は、550万口座であった。企業単体集計の2019年11月末の口座数の第1位はDMM.com証券で74.8万口座、第2位のGMOクリック証券は64.5万口座となった。企業グループを加味した集計では、第1位がSBIグループ*2の127.6万口座で、第2位はGMOグループ*2の84.5万口座であった。
11月は前月比2.5万口座増(0.47%増)となった。本調査対象企業17社中16社(その他企業2社含む)で口座数が増加した。また、企業グループを加味した場合、前月比で最も高い増加率はトレイダーズ証券(0.93%増)、次いでマネースクエア(0.74%増)であった
上に引用した2019年11月時点での主要FX企業17社のデータ(現時点で最も新しいデータ)によれば、2019年11月のFX口座数は前月比で25,000口座も増えています(0.47%増)。わずか1ヶ月で25,000人がFX口座を新規に開設したのです。この伸び率は、毎月0.6〜0.7%増で推移しています。
FX口座数伸び率
- 2019年10月の口座数伸び率…0.67%増(+25,000口座)
- 2019年9月の口座数伸び率…0.63%増(+33,000口座)
- 2019年8月の口座数伸び率…0.65%(+34,000口座)
- 2019年7月の口座数伸び率…0.73%増(+39,000口座)
つまり、日本では毎月、2万〜3万人を超える人々がFXマーケットに新規参入していることを意味します。…すごくないですか?だって、日本の人口は減り続けているんですよ?
総務省統計局|人口推計|2020年(令和2年)1月報
2019年1月〜12月だけでみても、以下の通り。
総務省統計局|人口推計|2020年(令和2年)1月報
前年同月比で▲0.2%の割合で人口が減っています。日本の人口は右肩下がりで減り続けているにもかかわらず、FX口座を新規に開設する人々が毎月2万人を超えるペースで増加し続けてい
毎月2万人を超える「FX初心者」がFXマーケットに新規参入しているという事実
毎月2万人を超える人々が、FXマーケットに新規参入(口座開設)している事実に驚かされますが、あくまでもこれはFXという一つの市場に限っての話しです。株式投資も含めれば、もっとすごい数字になることは想像に難くないですね。
国の人口は減り続けている一方で、投資人口は圧倒的なペースで増え続けています。もちろん国の政策(iDeCoやNISAの普及推進)も無関係ではありません。世界的にみれば日本の投資人口はまだまだ少ないと言われていますが、今後爆発的に増える可能性がありますね。それにしても、毎月2万人超がFX市場に参入しているって、驚くべきことですね。
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FX初心者ほど、スキャルピングをやりたがるのは何故か?
さて、ここからが本題です。FX取引に新規参入する人の多くが、なぜかいきなりスキャルピング(短期取引)を始めてしまうことについて考察していきます。
FX初心者ほどスキャルピングに魅力を感じ、引き寄せられてしまいます。その理由は様々です。一つにはスキャルピングやバイナリーオプションによって稼いでいるトレーダーが悪目立ちしてしまう点にあります。SNSなどで、これ見よがしに日々の成績を投稿して情弱を釣り上げる詐欺師連中の存在だけではありません。
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実際に稼いでいるFXトレーダーの中でも、メディアが率先して取り上げるのは大抵スキャルパーやバイナリーオプショントレーダーです。これらのメディアやSNSによって、スキャルピング・バイナリーオプションへの注目度が高まり、初心者が「俺も、やれば稼げるのでは?」と錯覚してしまうのですね。
もう一つ、スキャルピングやバイオプは、非常に短い時間枠でトレードが可能なため、圧倒的なトレード回数(機会)を確保でき、少ない資金を複利で回すことで短期間で資産を爆発的に増やせる…と考えてしまっている点にあります。
一見、この考えはロジカルに感じますが、実は「錯覚」です。スキャルによって投資回数を確保し短期間で資金を爆発的に増やすという考えは、海外でも「trading myth=取引神話」の一つであるとされています。
スキャルの難しさに気付けないFX初心者
スキャルピングの難しさについては何度もこのサイトで述べてきました。
脳内麻薬ドーパミンとスキャルピングの切っても切れない関係
スキャルピングやバイオプのように、短時間で勝敗が決ることでお金が増えたり減ったりするトレードは、極めて非日常性が高く、人の感情を揺さぶります。勝てば大量のドーパミンが放出されます。
スキャルピングが楽しい理由は、1回の勝ちトレードによってドーパミンが大量放出され、あなたの脳が強い快楽を感じているからなのですね。脳内麻薬であるドーパミンが過剰に分泌されれば依存症になってしまいます。勝ち続けることが難しいスキャルをなかなかやめられない理由は、ここにありそうです。
「スキャルって簡単に勝てるじゃん!」と思ったら危ない
残念ながら、スキャルで長期的に利益を出し続けることは容易ではありません。極めて高度なスキルが求められるハードモードのトレードなのです。そのことに気付くまでに私自身も多くの勉強代を相場に払いました。
初心者に「スキャルはやめたほうがいいよ」とアドバイスしても、まず聞いてもらえません。なぜなら勝つときは容易に勝てるからです。「簡単じゃん!」と思ってしまうのですね。しかし長期的に(1ヶ月〜数ヶ月以上)利益を残せる人は、ごくごくわずかです。スプレッドという手数料も無視できません。スプレッド以上利幅を狙う必要があるため、リスクも増えます。
スキャルピングは、相場のノイズの中の瞬間的な優位性を見つけ出して、わずかな利益をかすめ取る手法です。薄利をコツコツと積み重ねていくには、タフな精神力と優れた反射神経が求められます。先天的な能力に左右されるので、訓練してどうにかなるものとは思えません。
おせっかいと言われるかもしれませんが、あなた自身に卓越した反射神経と強靭な精神力が備わっていないならばスキャルは避けたほうが無難です。とはいえ、初心者は誰もが一度は通らざるをえない道なのかもしれません。
(中略)
初心者ほどスキャルをやりたがるが、初心者であるほどスキャルでは勝てない・・・という切ないパラドックスが存在するのです。
引用:Easy Scal FX【検証とレビュー】
前回の記事で取り上げたSimple Keltner Channel Trading Strategies Explainedにも、スキャルの難しさを説いたわかりやす文章が掲載されていたので、引用します。
More Reliable Price Action Patterns
Many new traders that come into the forex market tend to gravitate towards very short term trading and day trading. One of the reasons for this is that these traders believe that by trading the lower timeframes they have more opportunities available to them to trade, and thus they can generate more profit in the long run.
Although in theory this type of thinking may sound logical, it is really just a trading myth and one that leads many traders astray. You must understand the fact that support and resistance levels, chart patterns, candlestick patterns, and other technical signals on the larger timeframes such as the daily forex charts and weekly charts are much more reliable than on the lower timeframes. Price action is smoother on the daily chart and you can generally get a real sense of where the market is trying to go. This is quite a bit harder to do consistently on the smaller timeframes.
When utilizing an end of day trading strategy, you will be able to assess your risk vs reward in a much higher probability manner than you would otherwise on say an hourly, or 15 minute chart. The supply and demand swings that are created on the daily chart are by far more accurate than lower time frames in general. Having a solid sense of the true potential profit vs risk on a trade as shown on the daily chart will put you miles ahead of other retail traders that bypass this type of analysis.
ざっくり訳すと以下の通り。
FXマーケットに新規参入する人々は、スキャルピングやデイトレードをしたがる。その理由の1つは、これらがより短い時間枠で取引できるため、トレード機会が増え、長期的にはより多くの利益が生み出せると考えているからだ。
理論上、こうした考えは論理的に聞こえるが、実際は多くのFXトレーダーを迷わせる取引神話の一つだ。日足や週足チャートなど、より大きなタイムフレームでのサポレジ、チャートパターン、プライスアクションなどのテクニカルは、短期足に比べてはるかに信頼性が高いという事実を理解しておく必要がある。
短期足(15分足チャートなど)と比べても日足チャートはトレンドの方向を容易につかみやすいうえに、優位性が高く、正確だ。短期足で出現するパターンは、単なる市場のノイズであり、そこに優位性はない。
当然取引コストも短期足トレードに比べれば長期足のほうが優位性があり、継続すればその差はバカにならないのだ。
スキャルで退場するFX初心者の多さに戸惑いを隠せない…
スキャルピングの怪しい魅力に取り憑かれたFX初心者が、なかなか勝てずに資産を減らしていき、退場を余儀なくされる…。退場する前に「スキャルピングの難しさの真実」に気がつけばよいのですが、そこを洞察する資質がなければ、何度も同じことを繰り返してしまいます。スキャルがダメならバイナリーオプション…。
その逆もありますね。バイナリーオプションがダメならスキャルピング。あなたの目的が資産を増やすことならば、早くスキャルピング(短期売買)の呪縛から抜け出すことです。