- そろそろ『ケルトナーチャネル』にちゃんと向き合うべき
- 『ケルトナーチャネル』とはどんなインジケーターか?
- 1960年に開発された古いテクニカルであり、元々の名称は「ten-day moving average trading rule(10日間移動平均線ルール)」だった
- 『ケルトナーチャネル』には様々なバリエーションが存在するって知ってた?
- 『ケルトナーチャネル』の計算式を紹介するよ!
- 現代版『ケルトナーチャネル』は、バンド幅の計算にATR(Average True Range)とEMA(指数平滑移動平均線)を用いているものが主流
- ATR版の『Keltner Channels3.mq4』とオーソドックスな『Keltner Channel.mq4』を比べてみよう
- 『ケルトナーチャネル』を使ったトレード手法は次回!
そろそろ『ケルトナーチャネル』にちゃんと向き合うべき
ケルトナーチャネル…FX中級者以上になると、ときどき耳にしたり目にするようになりますよね。
ただ、ネットで検索しても、それほど詳しく解説してくれているサイトはありません。わかったような、よくわからないような気分になっていませんか?
そろそろ、ケルトナーチャネルにちゃんと向き合ってみませんか?
今回は、ケルトナーチャネルに焦点を当てて、複数回にわたりどこよりも詳しくわかりやすく解説していきますね。
初回は、ケルトナーチャネルの正しい計算式について。
『ケルトナーチャネル』とはどんなインジケーターか?
ケルトナーチャネルは、中央の移動平均線とその上下に描かれる2本のチャネルラインで構成されるテクニカルです。トレンド系のテクニカル指標に分類されます。
MetaTrader4(MT4)にケルトナーチャネルインジケーター(Keltner Channel.mq4)を設定したチャートが以下の画像です。
ご覧の通り、なんとなくボリンジャーバンドにも似ていますね。
拡大してみます。
移動平均線を中心にして、上限に2本のライン(チャネルライン)が描かれていますね。
1960年に開発された古いテクニカルであり、元々の名称は「ten-day moving average trading rule(10日間移動平均線ルール)」だった
ケルトナーチャネルは、Keltner Channelsと書きます。
1960年、シカゴ穀物相場の業者だったChester W. Keltner(チェスター・ケルトナー 1909〜1998)によって、自署『How To Make Money in Commodities』の中で、ケルトナーチャネルの概念が提唱されました。
本書の中では、ケルトナー氏自らが開発したテクニカルを「ten-day moving average trading rule(10日間移動平均線ルール)」と名付けていました。
「ten-day moving average trading rule(10日間移動平均線ルール)」が、ケルトナーチャネル(Keltner Channels)と呼ばれるようになったのは、ずっとあとのことです。
『ケルトナーチャネル』には様々なバリエーションが存在するって知ってた?
もう一度、ケルトナーチャネルを表示したチャートをご覧ください。
上のケルトナーチャネルは、最もオーソドックスなものを表示しています。
現在のケルトナーチャネルと呼ばれるテクニカル指標は、1960年に公表された当時のものから様々な改良が加えられていて、非常に多くのバリエーションが存在していることを知っておいてください。
『ケルトナーチャネル』の計算式を紹介するよ!
『ケルトナーチャネル』は1960年以降、多くの改良版が存在していて、各バリエーション毎に異なる計算式が存在します。
ここでは最もオーソドックスな『ケルトナーチャネル』の計算式を解説します。
『ケルトナーチャネル』の計算式(センターライン)
まずは中央のラインの計算式。
中央のラインは期間10の単純移動平均線(SMA)です。一般的な単純移動平均線は「終値」で計算しますが、ケルトナーチャネルでは、PRICE_TYPICAL=”3本値(高値・安値・終値)の平均”で計算します。
つまり、
- センターライン={(高値+安値+終値)÷3}の10日間移動平均線
ということになりますね。
※ケルトナーチャネルには様々な種類があって、単純移動平均線ではなく指数平滑移動平均線(EMA)で算出したものも存在します。また、3本値(高値・安値・終値の平均)ではなく、2本値(高値・安値の平均)で算出するバージョンも存在します。
ちなみに期間10というのはデフォルト値であり、パラメーターによって変更可能となっているケースが一般的です。
『ケルトナーチャネル』の計算式(上下のバンド)
次に、上下に描かれているバンド(ライン)の計算方法です。
まず「バンド幅」を計算します。
バンド幅は、(高値ー安値)をSMA化(移動平均線化)したもので算出します。
- バンド幅=高値から安値を引いた値の移動平均(SMA)
そして上下のバンド(アッパーバンドとローワーバンド)の値を以下の計算式で算出して描写します。
- アッパーバンド=センターライン(移動平均線)+バンド幅
- ローワーバンド=センターライン(移動平均線)ーバンド幅
『ケルトナーチャネル』の計算式:まとめ
最後に『ケルトナーチャネル』の計算式をまとめておきますね。
ケルトナーチャネルの計算式
- センターライン={(高値+安値+終値)÷3}の10日間移動平均線
- バンド幅=高値から安値を引いた値の移動平均(SMA)
- アッパーバンド=センターライン(移動平均線)+バンド幅
- ローワーバンド=センターライン(移動平均線)ーバンド幅
何度も述べますが、現在広まっている『ケルトナーチャネル』には、様々なバリエーション(改訂版)が存在していて、計算式もそれぞれ微妙に異なります。
SMA(単純移動平均線)ではなくEMA(指数平滑移動平均)で計算したり、3本値(高値・安値・終値の平均)ではなく、2本値(高値・安値の平均)で計算したり、バンド幅の計算にATR(Average True Range)を用いたものなど、実に多種多様です。
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現代版『ケルトナーチャネル』は、バンド幅の計算にATR(Average True Range)とEMA(指数平滑移動平均線)を用いているものが主流
『ケルトナーチャネル』の概念が1960年に提唱されて以来、様々な改良が加えられ、バリエーションが増えてきています。
現代において最もよく使われている『ケルトナーチャネル』は、1980年代にLinda Bradford Raschke(リンダ・ブラッドフォード・ラシュキ 投資家・資本家 1959〜)によって改良されたヴァージョン(ATR版)です。
Linda Bradford Raschke(リンダ・ブラッドフォード・ラシュキ)は、ケルトナーチャネルのバンド幅の計算にATR(Average True Range)を用い、センターラインには移動平均線にEMA(指数平滑移動平均線)を取り入れました。
ATR版ケルトナーチャネルを使ってみたいならば、『Keltner Channels3.mq4』がおすすめです。
『Keltner Channels3.mq4』は一般的な『Keltner Channel.mq4』と異なり、バンド幅の計算にATR(Average True Range)を用いています。
ATR(Average True Range)を用いた『ケルトナーチャネル』の計算式も触れておきます。
ATRについては以下の記事を参照してください。
- ATR(Average True Range)よく聞くけど何なの?教えて!
- ATRの見方や具体的な使い方を詳しく解説するよ!
- ATRをトレードに活かす方法を教えるよ!
- ATRと2%ルールで資金管理する方法を具体的に解説するよ!
ATRはAverage True Rangeの頭文字を取ったものです。
Average(平均)
True (真の)
Range(範囲=値幅)Average True Range=”真の値幅の平均”という意味ですね。いわゆる”価格変動の度合い”を測るためのテクニカルツールとして使われるインジケーターです。
オーソドックスな『ケルトナーチャネル』バンド幅の計算式は以下の通りでしたね。
- バンド幅=高値から安値を引いた値の移動平均(SMA)
このバンド幅の算出にATRを用いる場合は、以下のような計算式を使います。
- バンド幅=ATR ✕ 乗数(デフォでは1.5)
ATRの値を1.5倍したものをバンド幅とするのが、ATR版『ケルトナーチャネル』の計算式です。
当然、ATR版『ケルトナーチャネル』のパラメーターには、ATRの期間や、ATRの乗数を設定する箇所が存在します。
以下のパラメーターは、ATR版ケルトナーチャネルインジケーター『Keltner Channels3.mq4』のものです。
ご覧の通り、上から4番目と5番目にATR関連のパラメーターが存在していますね。
デフォルトでは、
- ATRの期間…20
- バンド幅に算出する乗数:1.5倍
となっています。
ついでに『Keltner Channels3.mq4』の他のパラメーターについても解説しておきますね。
- MA_PERIOD(移動平均線の期間) = 20
- MA_MODE (移動平均線の種類)= 0
- PRICE_MODE(移動平均線に使用する価格データの種類) = 5
- ATR_PERIOD(バンド幅を算出する際のADXの期間) = 20
- K(バンド幅を算出する際にADXに掛ける乗数) = 1.5
- ATR_MODE(Sum(High-Low)の代わりにATRを使用するかどうか) = false
上から2番目のMA_MODEは移動平均線の種類を示しています。
- 0…単純移動平均線(SMA)
- 1…指数平滑移動平均線(EMA)
- 2…平滑化単純移動平均(SSMA)
- 3…線形加重移動平均線(LWMA)
上から3番目のPRICE_MODEですが、デフォルトでは「5」となっていますね。これは「(高値+安値+終値)÷3」を使うという意味です。0〜6まであり、意味は以下の通り。
- 0…PRICE_CLOSE(終値)
- 1…PRICE_OPEN(始値)
- 2…PRICE_HIGH(高値)
- 3…PRICE_LOW(安値)
- 4…PRICE_MEDIAN(中央値)→(高値+安値)÷2
- 5…PRICE_TYPICAL(代表値)→(高値+安値+終値)÷3
- 6…PRICE_WEIGHTED(加重終値)→(高値+安値+終値+終値)÷4
ATR版の『Keltner Channels3.mq4』とオーソドックスな『Keltner Channel.mq4』を比べてみよう
昨今の主流は、ATR版の『ケルトナーチャネル』=『Keltner Channels3.mq4』ですね。
念のため、オーソドックスな『ケルトナーチャネル』=『Keltner Channel.mq4』と比較してみます。
以下の画像は『Keltner Channel.mq4』。デフォルト表示です。パラメーター設定は期間のみ(10で設定)。
次に、『Keltner Channels3.mq4』を同じMT4チャートに表示させてみます。パラメーターはデフォルト(初期設定)のままです。
ご覧の通り、ずいぶんと印象が違います。
どちらを使うかは、各人の投資戦略によって異なるでしょう。念の為お伝えするならば、現在の主流は『Keltner Channels3.mq4』の方です。
『ケルトナーチャネル』を使ったトレード手法は次回!
次回は、『ケルトナーチャネル』を活用したトレード手法・考え方などを解説していきますね。