『ケルトナーチャネル』とは?|解説その2
前回は、ケルトナーチャネルの概要と具体的な計算式について解説しました。
今回は、第2回。
ケルトナーチャネルの概念と具体的な活用方法(手法)について詳しく解説していきますね。
前回の復習としてケルトナーチャネルの計算式をもう一度ご確認ください。
ケルトナーチャネルの計算式
- センターライン={(高値+安値+終値)÷3}のn日間移動平均線
- バンド幅=高値から安値を引いた値の移動平均(SMA)
- アッパーバンド=センターライン(移動平均線)+バンド幅
- ローワーバンド=センターライン(移動平均線)ーバンド幅
もう一つ、ATR(Average True Range)を用いたケルトナーチャネルの計算式がこちら。
ATR版ケルトナーチャネルの計算式
- センターライン={(高値+安値+終値)÷3}のn日間移動平均線
- バンド幅=ATR ✕ 乗数(デフォでは1.5)
- アッパーバンド=センターライン(移動平均線)+(ATR ✕ 乗数)
- ローワーバンド=センターライン(移動平均線)ー(ATR ✕ 乗数)
さて、これら計算式から何がわかるでしょうか?そもそもケルトナーチャネルは、何を知るためのものなのか?
『ケルトナーチャネル』は、一定期間のレートの値動きの平均的な価格帯(チャネル)を、過去の値幅の移動平均線を中心線にしてチャート上に描写したもの
ちょっとまどろっこしい言い方になりますが、『ケルトナーチャネル』の概念をまとめると次のようにになります。
上図はMT4にケルトナーチャネルを設定したチャート(USD/JPYの4時間足)です。
同様に『ATR版ケルトナーチャネル』は、
となりますね。
過去一定期間のレート振幅の平均値を”チャネル化”した意味とは?
ケルトナーチャネルの帯(チャネル)から読み取れることは、なにでしょうか。
過去一定期間のレート振幅(レートが上下にどれくらい動いたか)の平均値がチャネル(帯)でしたね。なので、大抵の値動きはチャネル(帯)の内側で推移する可能性を示唆します。なぜなら過去のレート振幅の平均値がチャネル(帯)だから。
『ケルトナーチャネル』がトレンド系テクニカル指標と呼ばれる”ゆえん”とは?
逆に言えば、レートがチャネル(=レート振幅の平均値)を超えるようなことがあれば、それはボラティリティが増大し強いトレンドが発生したことを意味します。
レート振幅の平均値を上回る動きが発生すれば、当然ローソク足はチャネルライン(帯)を超えて推移することになりますよね。ケルトナーチャネルが”トレンド系のテクニカル指標”と呼ばれる”ゆえん”はここにあります。
アッパーバンドを上抜ければ「強い上昇トレンド」、ローワーバンドを下抜ければ「強い下落トレンド」と捉えることができますね。
もちろん、すぐに戻されることもありますので、絶対ではありません。あくまでも「傾向」にすぎません。
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ケルトナーチャネルを取り入れた手法【順張り編】
ケルトナーチャネルがトレンド系テクニカル指標であることがわかったと思いますが、ではどのようにトレードに活かすことができるでしょうか?
最もオーソドックスな手法は、チャネルブレイクで仕掛ける(順張り)という極めてシンプルなもの。手仕舞いはチャネル内に戻されて中央の移動平均線にタッチのタイミングです。
ケルトナーチャネルを活用した売買方法【順張り編】
- 仕掛け…ケルトナーチャネルブレイクでENTRY
- 手仕舞い…センターライン(移動平均線)タッチでEXIT
ATR版ケルトナーチャネルで、仕掛けと手仕舞いのタイミングを確認してみましょう。
ケルトナーチャネルを抜けてすぐに戻され損切りとなったトレードもありますが、うまくトレンドを捉え、そこそこ利幅を取れたトレードもありますね。
トレンド発生後に、ケルトナーチャネルで押し目や戻り(2回目以降のブレイク)を確認してからENTRYするほうが、安全性は高そうな気がします。
まあ、ケルトナーチャネルだけでトレードするには精度的に弱い印象です。他のテクニカルと併用しないとダマシが多そうですよね。
ケルトナーチャネルを取り入れた手法【逆張り編】
もうひとつ、ケルトナーチャネルをボリバンのように活用し、チャネルが横ばいで推移する場合はレンジ相場であると判断し、上限・下限タッチで逆張りで仕掛けていくという方法もあります。
アッパーバンドタッチで売り、ローワーバンドタッチで買い、というこちらもシンプルな手法です。
ケルトナーチャネルを活用した売買方法【逆張り編】
- 仕掛け…アッパーバンド・ローワーバンドタッチでENTRY
- 手仕舞い…センターライン(移動平均線)タッチでEXIT
逆張りで遣う場合は、ATRの乗数を1.5からさらに大きくてがバンド幅を広げたほうが、使い勝手は良さそうです(例:K = 2〜3)。
とはいえ、こちらも判断は難しそうです。チャネルライン抜けがそのままトレンドに切り替わってしまう可能性が常にあるからです。
こちらも、オシレーター系の指標を併用するなど、なんらかの対策が求められます。
『ケルトナーチャネル』は値動きの「平均の状態」と「平均から逸脱した状態」を視覚的に捉えるための指標として使うことで真価を発揮する
単純にケルトナーチャネルのみでのトレードは難しそうですよね。やはり他のテクニカルとの併用は不可欠です。
ケルトナーチャネルは、あくまでも”一定期間のレートの値動きの平均的な価格帯(チャネル)を、過去の値幅の移動平均線を中心線にしてチャート上に描写したもの”に過ぎないのです。
値動きの「平均の状態」と「平均から逸脱した状態」を、視覚的に確認するための指標であると考えておいたほうば無難です。