『シンギュラーコアFX』によって”非時系列チャート”に注目が集まる?!
先日レビューしたEA『シンギュラーコアFX』は、FX商材業界における非時系列チャートの第一人者である酒巻滋氏が開発に携わったEA(自動売買システム)です。
酒巻慈氏が過去にリリースしたFX商材(『4DFX』『メテオチャート』)はすべて”非時系列チャート”でしたね。
『シンギュラーコアFX』のリリースに伴って、当サイトの”非時系列チャート”関連の記事へのアクセスが高まっています。”非時系列チャート”に注目が集まりつつあるようです。
今回は、改めて話題の”非時系列チャート”を取り上げて、その優位性について考察してみます。
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”非時系列チャート”とは?
まずは”非時系列チャート”についてざっくりと解説します。
私たちがFXトレードに使用するチャートは、大きく分けて2つに分類されます。
- 時系列チャート
- 非時系列チャート
「時系列チャート」は誰もが一般的に目にするオーソドックスなチャートです。時間経過とともにローソク足(4本値)を右側に書き加えていくオーソドックスなチャートシステムです。
左側が過去で、右側が未来です。時間が経過すれば右側に新しいローソク足(始値・高値・安値・終値)を書き加えていきます。
一般的に「チャート」といえば、この”時系列チャート”のことを指します。
一方の「非時系列チャート」は、チャートから時間の要素を排除し、値動き(ボラティリティ)に比重を置いて「値」を加えていく変則的なチャートシステムです。
価格が事前に決めておいた一定基準を超えて変動したときに、右側に「値」を書き加えます。…ちょっとわかりにくいですよね。
文章で説明するよりも実際のチャートを見たほうが理解しやすいです。非時系列チャートにはいくつか種類があり、代表的なものは以下の3つです。
- カギ足チャート
- 練行足
- ポイント&フィギュア
日本の発明『カギ足チャート』について詳しく解説するよ!
今回は「カギ足チャート」を詳しく解説していきます。「鈎足」とも書きますね。
名前からわかるとおり1870年代(明治時代頃)、日本で開発されたチャートシステムです。海外では「kagi」という名称で認知されています。
国内証券会社のチャートには「カギ足チャート」が標準で装備されていることが多いです。
下の画像は、楽天FXのオリジナルチャート(USD/JPY30分足)です。上部は一般的なローソク足チャートですが、下部はカギ足チャートです。
同じ期間(2019年8月27日14時〜8月29日11時)を比較すると、カギ足チャートはかなりコンパクトに表示されていることがわかりますね。
カギ足が時間の概念を排除し、値動き幅のみでチャートを加筆しているため、ローソク足のように幅を取らないのですね。
kagi.mq4をMetaTrader4に設定してみる
MetaTrader4で表示させると以下のようなチャートになります。
上のチャート図は、サブウィンドウに表示させるカギ足チャートインジケーター「kagi.mq4」を設定しています。
先に述べたように、カギ足チャートは時間の概念が排除されているので、メインウィンドウのローソク足とサブウィンドウのカギ足チャートは、上下で正対しているわけではありません。
カギ足は「終値」のみで描く
ややこしいので、「カギ足チャート」のみを拡大して解説しますね。
縦軸が価格です。横軸は時間軸ではなく、意味はありません。
ローソク足の描写には4本値(始値・高値・安値・終値)を使いますが、カギ足の描写に使用される値は「終値」のみです。
レート(終値)が上昇している間は、上に線(縦線)を継ぎ足していきます。
直近の値(終値)から一定幅を超える下落があれば横線を引いて次の行に移り、そこから下落した値まで縦線を引きます。
レートが下落中は下に線(縦線)を継ぎ足していきます。そして直近の値(終値)から一定幅を超える上昇があった場合に、横線を引いて次の行に移り、そこから上昇した値まで縦線を引きます。
これを繰り返すと、上のような「カギ足チャート」が完成します。
カギ足の「陽線」と「陰線」
ちなみに、カギ足にも「陽線」「陰線」があります。
濃い青が「陽線」。水色が「陰線」です。(※ローソク足の陽線・陰線とは意味合いが異なります)
直近の高値(終値)を超えたときに陽線を描き、直近の安値(終値)を下抜けたときに陰線を描きます。
陽線は上昇を示し、陰線は下落を示します。
カギ足とローソク足を比べてみると…
カギ足とローソク足を並べて表示させると、カギ足の時間概念がないことがよくわかります。以下のチャートをご覧ください。
カギ足の動きに該当するローソク足を囲ってみました。ご覧の通り、値動き幅が大きければカギ足はどんどん右側に書き足され、逆に値動き幅が小さければ書き足されるカギ足も少なくなります。
カギ足の描き方動画(You Tube)
カギ足の描き方の詳しい解説動画を貼っておきますね。
6分57秒から「カギ足」の解説が始まります。
カギ足を活用したトレード手法
さて、ここからカギ足を利用したトレード手法を解説します。まずはカギ足でよく使われる用語「肩と腰」を押さえておきます。
- 肩…上昇から下落に転じる際に描かれる横線
- 腰…下落から上昇に転じる際に描かれる横線
肩と腰はそれぞれ「山・谷」とも呼ばれたりします。
直近の「腰」を下抜けたときに「陰線」(水色)に変わり、直近の「肩」を上抜けたときに「陽線」(青色)に変わります。
「肩」が段階的に切り上がっているときは、上昇トレンドです。「腰」が段階的に切り下がっているときは、下降トレンドです。
1段抜き
基本戦略としては、陽線に変化したタイミングで「買いシグナル」、陰線に変化したタイミングで「売りシグナル」と捉えることが一般的です。
これを「1段抜き」と呼びます。
- 直近の肩を上抜け(陽線へ変化)で買いENTRY
- 直近の腰を下抜け(陰線へ変化)で売りENTRY
見てわかる通り、利幅を取れているところと、ダマシにあっているところがありますね。
2段抜き
次は「2段抜き」です。先の「1段抜き」は、直近の肩・腰を上抜け/下抜けしたらENTRYでしたね。「2段抜き」は、直近の肩・腰に加え、もう一つ前の肩・腰も合わせて抜けたタイミングでENTRYします。
- 直近の2つの肩を上抜けで買いENTRY
- 直近の2つの腰を下抜けで売りENTRY
三尊・逆三尊
次は「三尊」と「逆三尊」です。The Secret FXのベースにもなった酒田五法でもおなじみですね。
3つの「腰」で構成されたパターンで真ん中の「腰」が最も深いものを「逆三尊」と呼び、買いシグナルとして使われます。
一方、3つの「肩」で構成されたパターンで真ん中の「肩」が最も高いものを「三尊」と呼びます。売りシグナルとして使われます。
比較的強い転換ポイントとして知られています。
買い五瞼(ごけん)・売り五瞼(ごけん)
腰・肩・腰・肩・腰と段階的に右肩上がりで並び、直近の肩を上抜いたタイミングで買いENTRY。これが「買い五瞼(ごけん)」です。
その逆で、肩・腰・肩・腰・肩と段階的に右肩下がりで並び、直近の腰を下抜けたタイミングで売りENTRY。これが「売り五瞼(ごけん)」です。
カギ足チャートの優位性について
時間というノイズを排除
駆け足でカギ足チャートの概略を解説しました。しかし、どうしてわざわざこんな凸凹(デコボコ)で面倒な非時系列チャートを使うのでしょうか?
ポイントは”時間というノイズ”の排除にあります。
細かなノイズを排除することで「邪念」を消す
ローソク足は相場に参加する投資家の攻防がそのままリアルタイムに反映されます。売りと買いの攻防ですね。売りが攻勢ならばローソク足は陽線から陰線に変化しさらに陰線を下へ伸ばしていきます。買いが巻き返せば陰線は下げ止まり陽線へと色を変えていきます。
売りと買いの攻防が如実に反映されるローソク足を眺めていると、多くの初心者トレーダーは冷静でいられなくなります。ポジションを持っていればなおさらです。細かなローソク足の動きに思わず幻惑されてしまい、仕掛けや手仕舞いのルールを破ってしまうことも少なくありません。
ローソク足を排除する(非表示にする)ことで細かなノイズ(雑音)を排除し、純粋に大局的な相場の動きにのみ集中することができるというメリットがあります。
ノイズ(時間)を排除することで、最も重要な”価格の変動”に集中できるわけですね。
今回は、日本が誇る「カギ足」にスポットを当てて解説しましたが、投資の世界にはまだまだ”非時系列チャート”が存在します。
次回以降、「練行足」や「ポイント&フィギュア」などの非時系列チャートを取り上げて解説していく予定です。