1日1pips狙いはなぜ難しいのか?
先日、”ロットの暴力でpispを殴り倒す”の課題について解説しました。
”ロットの暴力でpispを殴り倒す”とは、大量ロット(たとえば10ロット=100万通貨)で1日に1〜2pipsの利幅を狙う超高速スキャルピング手法のことです。
そして、”ロットの暴力でpispを殴り倒す”の課題(問題点)について以下の通り述べました。
『ロットの暴力でpispを殴り倒す』における2つの課題
- 100%近い高い勝率を常に維持することが可能なのか?
- 一度の損切りで口座破綻してしまわない適切な損切り幅をどうやって定めるのか?
損大利小ロジックの超高速スキャルは、EA(自動売買)で実装したとしても、口座破綻リスクが常に存在し、長期運用に耐えられないことがわかっています。
損大利小ロジックは、EA(自動売買)ですら破綻リスクがあるのじゃよ。
1日10pips手法ですら困難を伴う
”じゃあ1pipsではなくて10pips程度の値幅を狙えば、リスクリワードバランスも良くなるのでは?”と考えがちですが、1日10pipsを狙う手法ですら困難を伴うことを知っておくべきでしょう。
ワイ、1日10pips手法で100万円を8万円まで減らしてしまうwwwwwwwwの中で1日10pips手法の難しさを説きました。
リスクリワードが1対5(平均利益10pips、平均損失50pips)におけるリスクリワードレシオ(ペイオフレシオ)は0.2です。ペイオフレシオ0.2における、勝率と破産確率の対比は以下の通り(バルサラ破産確率表より)。
バルサラの破産確率表
- 勝率10% → 破産確率100%
- 勝率20% → 破産確率100%
- 勝率30% → 破産確率100%
- 勝率40% → 破産確率100%
- 勝率50% → 破産確率100%
- 勝率60% → 破産確率100%
- 勝率70% → 破産確率98%
- 勝率80% → 破産確率72%
- 勝率90% → 破産確率5.8%
- 勝率100% → 破産確率0%
勝率90%を超えて初めて破産確率が10%を切ります。10回取引の内、9回は絶対に勝たなければならない…そんなトレードが可能ですか?というお話です。
勝率を常に9割キープ…そんな取引ができると思うのかね?
もしも1pipsスキャルや10pipsスキャルで生き残っている投資家がいるならば、それこそ生存者バイアスを疑ってかかるべきです。
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”利益の最大化”こそが生き残りに欠かせな重要なファクターである
このサイトで繰り返し述べていますが、FXで勝ち残るには”利益の最大化”が不可欠です。
僅かな利益をコツコツ積み上げる手法を100%否定するわけではありませんが、万人向きではありません。
われわれ個人トレーダーは一度の利益をどれだけ最大化できるか?を常に考えてトレードをするべきなのです。そのことは、多くの著名トレーダーが語っています。
最も有名なものがやはりThomas F. Basso(トム・バッソ)の『コイントス証明』の逸話でしょう。
トムバッソの公演においてある受講者が以下のような質問をした。
「まるであなたの話を聞いていると手仕舞いとポジションサイジング(資金に対する建て玉の枚数)だけが重要で、それさえ正しければコインの表か裏かでロングかショートを決めても利益が出せるというように聞こえます。」
トムはおそらく「そうだ」と答えた。さっそく彼はオフィスに戻ると先物取引の10の市場で実験を開始した。売りか買いかはコインを投げて決めた。
その後10日間平均のATR(真実の値幅)の3倍のストップを入れた。そして1回取引あたりの損失は資金の1%になるよう枚数を調整した。
これだけである。しかしストップの位置は自分の有利な方向へ変化させた。つまり自分の有利な方向へ相場が動いたとき、あるいは日々のボライティリティが狭まっているときに機械的に動かされた。(3倍のボライティリティストップをトレイリングストップとして使用しているということ)
結果はスリッページや手数料分を差し引いても安定した利益を得られるというものだった。これはかなり感動的だ。システムには単純さが何より重要だということを証明する結果となった。
トム・バッソは、トレイリングストップによって利益の最大化を図っているのじゃよ。
もう一つ紹介します。『新マーケットの魔術師―米トップトレーダーたちが語る成功の秘密』で紹介されている5億ドル稼いだBill Lipschutz(ビル・リップシュッツ)。
含み益を拡大することができなければ駄目なんだ。トレードは50%の確率で勝てる、と思っていたら大間違いなんだよ。たった20~30%の確率でしか勝てない。だから、勝ったときにどういうふうに勝つか、それを考えなければいけないんだ。
含み益が出ているときに、さらに利益を最大化することを考えろ!と言っておる。
最後に紹介するのはBill Lipschutz(ビル・リプシュッツ)。ソロモンブラザーズで元外国為替のグローバルヘッドを務めたのち、自身の投資会社を設立したFXトレーダーです。
For the longer-term trades, especially when multiple leg option structures are involved and some capital may have to be employed, I look for a profit to loss ratio of at least five to one.
引用:https://dailypriceaction.com/blog/how-the-10-pips-a-day-forex-strategy-can-blow-your-account/
直訳すると…
リスクリワードレシオは「1:5」以上で取引すべし…と語っておるぞ。
どの話も”利益の最大化”について語っています。小さな利幅をコツコツ積み上げる手法を全否定しているとも読み取れます。
我々以上に相場に向き合い、多くの試練を乗り越えてきた著名投資家が「利益の最大化を求めろ!」と述べているのです。
この事実をまずは素直に受け止めてみるべきではないでしょうか。