なぜ買う場合を「ASK」、売る場合を「BID」と呼ぶのか?
FXチャートを眺めていると、チャートシステムによっては以下のような表示を見かけることがありますよね。
「BIDは売る価格で、ASKは買う価格のことだよね?」となんとなく捉えているトレーダーが多いのではないでしょうか。
どうしてBIDは売る価格という意味で捉えられているのか?そして、なぜ買う価格としてASKが用いられるのか?明確に答えることのできるトレーダーはそんなに多くないように感じます。
BIDもASKも、すべて”FX業者側から見た行為”を指している
海外ではだいたい以下のように解説されています。
- BID=price at wich the buyer is willing to pay(買い手が支払う意思がある価格)
- ASK=price at which the seller is willing to sell(売り手が販売しようとする価格)
FX取引は相対取引なので、FX業者と私たちが売り手・買い手となって1対1で取引をしていますよね。BIDやASKの意味は、私たち側から見ると不可解ですが、FX業者側から見ることで容易に理解できます。
FX業者「この価格だったら買いますよ=BID」
BIDとは「入札」という意味です。BIDはFX業者側から見れば「この価格だったら買いますよ」という意思表示です。BIDは入札価格(買値)と同義です。
FX業者「この価格だったら売りますよ=ASK(Offer)」
一方のASKは「尋ねる」という意味ですが、為替相場におけるASKはOffer(オファー)と同義です。為替相場におけるASK(Offer)の意味は、売る側が買う側に提示する「売値」のことを意味します。ASKはFX業者側から見れば「この価格だったら売りますよ」という意思表示です。売却価格(売値)と同義です。
まとめると、以下の通りです。
FX業者側の立場から見たとき
- BID…入札価格(買値)「この価格であなたから買うよ」
- ASK…売却価格(売値)「この価格であなたに売るよ」
これを私たちトレーダー側に置きかえると、
トレーダー側から見たとき
- BID…売却可能価格「この価格で(業者に)売ることができる」
- ASK…購入可能価格「この価格で(業者から)買うことができる」
BIDとASKの言葉の意味がわかれば”FX取引の本質”が見えてくる
初見では混乱してしまいがちなBIDとASKですが、まずはFX業者側から眺めるようにすれば言葉の意味と行為を繋げやすいです。
- BID=売る価格
- ASK=買う価格
と通り一遍の解説を覚えるよりも、しっかりと意味を理解した上で言葉を使うことはとても大切です。意味を知ることで、FX取引の本質が見えてくるからです。
FX取引は、私たち個人トレーダーとFX業者との間の1対1の取引(つまり相対取引)であるということです。私たちがFX業者を通じて世界のマーケット(インターバンク市場)に注文を出しているわけではないのです。
あくまでも、FX業者と直接売買しているだけなのですね。BIDとASKの意味をしれば、相対取引であることを正しく理解できるようになります。
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FX業者「このリンゴを110円で売ってあげることもできるし、同じリンゴを90円で買い戻してもいいよ」
通貨ではなく普通の商品(例えばリンゴ)に置き換えてみると、FX業者が提示する取引条件の本質が容易に見えてきます。
仮にリンゴの市場価格が100円だったとします。FX業者は次のように提示してきます。
- BID…「リンゴを90円であなたから買うよ」
- ASK…「リンゴを110円であなたに売るよ」
つまり、「このリンゴを110円で売ってあげることもできるし、同じリンゴを90円で買い戻してもいいよ」と提示されているのです。
この提示を受けるか拒むかは、私たちの自由。それが相対取引の本質です。
まとめ:BIDとASKの本当の意味とは
BIDとASKの語源や意味、そして本質が理解できたと思います。
正しい解釈は以下の通り。
FX業者側の立場から見たとき
- BID…入札価格(買値)「このレートであなたから買うよ」
- ASK…売却価格(売値)「このレートであなたに売るよ」
そして以下の捉え方は、あくまでも私たちトレーダー側から見た解釈にすぎないのですね。
トレーダー側から見たとき
- BID…売却可能価格「このレートで(業者に)売ることができる」
- ASK…購入可能価格「このレートで(業者から)買うことができる」
次回はスプレッドの正体を解説するよ!
次回は、BIDとASKに関係の深いスプレッドについて解説していく予定です。