『Complete One EA(コンプリートワンEA)』検証とレビュー
本日は、株式会社Logical Forexが販売するFX情報商材『Complete One EA(コンプリートワンEA)』を検証レビューします。
販売元:株式会社Logical Forex
開発者:株式会社Logical Forex
発売日:2020/03/26
公式サイト:https://sl.fx-lloyds.com/ar-ea/re.html
Complete One EA(コンプリートワンEA)は、MT4専用のEA(自動売買システム)です。販売価格は217,800円(税込み)です。
販売会社が株式会社Logical Forexとありますが、もともとはグローバル・ロイズ株式会社として販売していたEAです。現在は社名を変え、株式会社Logical Forexにて販売中です。
ここがPOINT!
- 21万7800円の高額EA(自動売買システム)
- 株式会社Logical Forexはグローバル・ロイズ株式会社だ
『Complete One EA(コンプリートワンEA)』のフォワード成績が「悲惨」すぎて震えが止まらない…
20万円を超えるEAのフォワード成績が散々たる結果…
結論から書きますが、Complete One EAのフォワード成績がひどい有様です。検索すれば、あまりのドローダウンに耐えきれずEA運用を中止した…という口コミが多数拾えます。DD(ドローダウン)が単月で66%を超えたので運用をやめた…50万円の運用資金が半分になったので撤退する…DDを繰り返し運用に耐えない…など、悲惨の一言です。
販売開始からほぼ1年経過しましたが、現在も本EAの運用を継続しているユーザー(1年間運用続けて資金が残っているユーザー)は、はたして一人でも存在するのでしょうか?
フォワード成績が振るわないことは商用EAにありがちですが、20万円を超えるEA(自動売買システム)がこの成績では、あまりにも悲しいですね。
ここがPOINT!
- フォワード成績は悲惨、の一言
- ドローダウンによって運用を中止したユーザーが多数
- DD(ドローダウン)が単月で66%を超えたので運用をやめた…
- 50万円の運用資金が半分になったので撤退する…
- DDを繰り返し運用に耐えない…
Payoff Ratio(ペイオフレシオ)=0.1のEAは、勝率が94.56%を割ると破産確率が飛躍的に高まる
販売時の公開データ(バックテストデータ)や他のレビュアーのバックテストをチェックすると、明らかにコツコツドカン型EAであることがわかります。数pipsの利益(TP)を積み上げていきつつ、一度の損切りでその10倍前後の大きな損失(SL)を出します。リスクリワードは「0.1」…つまりリスク1に対し利幅は10分の1という恐ろしくPayoff Ratio(ペイオフレシオ)の低いEAです。
損失…100pips(一例です)
ここで、コツコツドカン型EAのリスク(破産リスク)をバルサラの破産確率表をもとに理解を深めていきましょう。
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必要なデータは以下の3つ。
- 成功の確率(勝率)
- Payoff Ratio(ペイオフレシオ)
- 取引にさらされた資金の割合(リスク許容度)
③「取引にさらされた資金の割合(リスク許容度)」は各人の資金管理に依存するため割愛し、①と②のみで検証します。Payoff Ratio(ペイオフレシオ)は聞き慣れない言葉かもしれませんが、勝ちトレードの平均(利益額)と負けトレードの平均(損失額)の比率を意味します。計算式は次の通り。
Average win / Average loss =
(Total Gain / number of winning trades ) / (Total Loss / number of losing trades)
※PF(プロフィット・ファクター)ではありません。
Complete One EAのPayoff Ratio(PR=ペイオフレシオ)は、ざっくりと0.1です(勝ちトレード平均利益額÷負けトレード平均損失額)。ここで残念なお知らせが…本来のバルサラの破産確率表では、ペイオフレシオ0.1という取引戦略はそもそも想定してません(←めちゃくちゃ低いから)。PR(Payoff Ratio)は最低でも「1」以上を想定しているのですね。詳しくはニセモノにダマサれるな!本物の『バルサラ破産確率表』はこれだ!をお読みください。
そこでペイオフレシオ0.1の場合における必要勝率を別角度から計算します。以下の数式を使用します(取引にさらされた資金の割合は計算に含みません)。
win rate = 100 × profit factor / (profit factor + payoff ratio)
必要勝率 = 100 ×{ PF ÷ (PF + PR)}
必要勝率=100✕{1.74÷(1.74+0.1)}
必要勝率=94.56%
※プロフィットファクターは販売ページに記載の1.74を使用
Payoff Ratioが0.1のComplete One EAにおける必要勝率(損益分岐点)は、94.56%です。逆に言えば、Complete One EAの勝率が94.56%を割ると、破産確率が一気に高まることを意味します。
Complete One EAが販売ページで勝率95.3%と高々と謳っていますが、これは当たり前のことなのですね。Payoff Ratioが0.1しかない(かつPF=1.74)EAにおいて勝率が94%を切ることは「破綻リスクの増大」を意味します。
- 勝率が94.56%で損益はトントン(つまり損益分岐点が勝率94.56%である)
- 勝率が94.56%を少しでも下回れば、破産確率が飛躍的に高まる
もちろん、勝率94.56%を下回ったからといって、すぐさま口座破綻するわけではありません。必要勝率を下回ればドローダウンを発生させます。一時的に勝率が下がっただけならば、いずれドローダウンの損失はその後の含み益に吸収されます。しかしながら勝率94.56%達成できない期間が少しでも長引くと、大きなドローダウンに発展し資金を著しく毀損し、いずれ口座破綻へまっしぐら…です。
残念ながら平均勝率が94.56%あっても、実際の運用時にはほとんど意味がありません。Payoff Ratio(PR=ペイオフレシオ)が0.1である時点で、わずかな連敗で運用に支障が出るほどのDD(ドローダウン)を発生させる可能性があるということ。(10回連勝しても1回の負けでプラマイゼロ。9回連勝してもその次に1回負ければマイナス。)つまり極めてストレスフルなEAなのです。
これらの値から極めてハイリスクなEA(コツコツドカン=損大利小)であることがわかりますね。Complete One EAが勝率94.56%以上を絶対的に求められるEAであることは十分に理解できたと思いますが、では本EAが永続的に94.56%以上の勝率を確保し続けられるのか、冷静に考えてみましょう。単一で硬直的なEAが、昨今の荒れた相場に順応し続けられると思いますか?
ここがPOINT!
- Payoff Ratioが0.1しかないEAは必然的に勝率94.56%以上が求められる
- 94.56%を割れば破産確率は飛躍的に高まる
- 本EAが永続的に94.56%以上の勝率を確保できるのか冷静に考えて見る必要がある
EA製作者が陥る「カーブフィッティングの罠」とは?
フォワード成績でDD(ドローダウン)を繰り返すComplete One EA(コンプリートワンEA)とはいったいどのようなEA(自動売買システム)だったのか?実は過去10年でのバックテスト結果は極めて優秀であり、勝率やPF(プロフィットファクター)などは申し分ありませんでした。ところが…実際に運用が始まると、DDを頻発し資金を急速に溶かしていくEAだったわけです。
この事実から導き出される結論はただひとつ。Complete One EAは過剰にカーブフィッティングされたEAだった可能性が高いということです。
以下の記事は5年以上も前に執筆した記事です。ぜひ読んでください。
EA製作者が陥る「カーブフィッティングの罠」とは?
EAを自作する場合、大抵は以下の手順(いわゆるPDCA)でおこないます。
- ロジックを考える(Plan=計画)
- ロジックをシステム化する(Do=実行)
- バックテストをしてみる(Check=評価)
- パラメーターを修正する(Action=改善)
- 再度バックテストをする(Check=評価)
- 以下PDCAの繰り返し…
ロジックを考案し、EAを組み上げたら、バックテストをおこないます。その際にヒストリカルデータ(過去の相場の4本値)を用意します。何年分を用意するか?については製作者の考え次第です。各EAの特徴によっても必要とされるヒストリカルデータの量は異なります。
初回のバックテストでいきなり素晴らしい成績が出ることは稀です(但しナンピン系EAは容易に右肩上がりの成績を出すことができます)。ドローダウンが大きかったり、左肩下がりのグラフになってしまうなど成績が振るわなければ、EAのパラメーターを調整します。そして再度バックテスト。その結果を見て、パラメーターを調整し、バックテスト。また結果を見てパラメーターを修正し…
この繰り返しです。そうこうしているうちに素晴らしい成績が出るときがあります。これが過剰最適化と呼ばれるカーブフィッティングです。
10年以上のヒストリカルデータを使って右肩上がりのEAを完成させたときは、「俺って天才?ついに聖杯を完成させたかも!?」などと勘違いしてしまいます。これがEA自作を始めたばかりのユーザーが陥る「カーブフィッティングの罠」です。
EA販売者の「ジレンマ」とは?
さて、EA販売者が「カーブフィッティングの罠」に陥ってしまう原因は、EA制作におけるジレンマにあると考えています。
「長期のバックテストに耐えうるEAや、突出したバックテスト結果を出すEAは、過度にカーブフィッティングされてしまい実践でほとんど使えない」とわかっているのに、「バックテスト期間の短いEAや平凡な成績のEAは消費者に受け入れられにくい=売れない」という現実に板挟みされること、これがEA販売者の抱えるジレンマです。
消費者は、長期的に機能する(と思われる)EAや、派手な成績(「数年で1億円達成!」など)を求めがちです。過去1年(これからの1年)で利益を出せるEAよりも過去10年(≒今後10年)で利益を出し続けているEAのほうが優れていると考える傾向にあります(極めて浅はかですが)。販売者はそのニーズに応えようと5年〜10年のバックテストに耐えうる(耐えているように見える)EAを作ろうとします。
過去1年のデータで利益を出すEAを作るよりも、過去10年のデータで利益を出すEAを作るほうが大変です。10年間の相場変動に対応するロジックを組む必要があるからです。
10年前の相場と1年前の相場(さらには未来の相場)は、全く別物です。それらすべての相場に対応できるロジックを組んで”利益を出そう”とすれば、EAはどんどん複雑化します(パラメーターの多重化)。複雑化したEAはカーブフィッティングの罠に陥りやすくなります。
一方、直近の相場(過去半年〜1年程度)に最適化したEAは、フォワードにおいても比較的機能しやすい傾向にあります。しかし5年〜10年のヒストリカルデータで走らせてみると破綻してしまう可能性が高くなります。5年前、10年前の相場と今の相場は全く異なるからです。
直近の相場(過去半年〜1年程度)に最適化したEAは、ユーザーからすれば賞味期限も短く感じられてしまい、受け入れられにくくなります。
同様に、売るために”突出した成績”を見せなければ消費者にアピールできない…というプレッシャーから、パラメーターをいじって直近(過去1〜2年)や通年(5年〜10年)のバックテスト結果を派手に改ざんすることも行われます。もちろん、フォワードで通用するかどうかは不明です(というか、フォワードなどどうでもいいと考えている)。むしろ通用しない可能性のほうが高いわけです。
これがEA販売者のジレンマです。結局、消費者のニーズに応えるべくバックテストで右肩上がりの成績や突出した成績を出す(カーブフィッティングした)EAを製品としてリリースせざるを得ないのです。たとえフォワード成績がボロボロでも、です。
なかには意図的にカーブフィッティングさせたEAを販売する悪質な業者も存在します。ドローダウンに陥る箇所のヒストリカルデータを部分的に削除することで、バックテストデータ(Strategy Tester Report)を優秀に見せるという悪質手口もよく使われます。
これまでに多くの市販EAが、フォワード(実践)において右肩下がりの資産目減りや壊滅的なドローダウンによってゴミ箱行きする様を見てきました。その多くは輝かしいバックテストデータを持つものばかりでした。
結局、固定化したパラメーターでEAを長期的に機能させることは難しいのです(ナンピン系は別です)。常にそのときの相場に最適化させたパラメーターの調整が求められます。しかしそれをできるのはEA製作者だけです。
誰もが過剰なカーブフィッティングに陥る可能性を持っている
変化する相場に応じてパラメーターを調整する。直近の相場に最適化することで、今の相場で勝てるようにパラメターを調整する。実はこれも「直近相場にカーブフィッティングさせている」ことになります。
つまり長期のカーブフィッティングよりも短期のカーブフィッティングのほうが効果が認められる、ということです。レンジ相場が続くならば、レンジ相場に対応したEA(ロジック)を使い続けることで利益を出すことができます。上昇トレンドが続くならば、押し目を拾うようなロジックを使い続けることで、誰でも簡単に利益を積み上げられます。これらも広義ではカーブフィッティングといえなくもありません。
過去は無視できません。過去を無視すれば何を根拠にトレードすればよいのかその指標を失うことになります。過去から一定の傾向を分析して、仕掛けの根拠を導き出すことはトレードに不可欠です。それが優位性に繋がります。しかし過去データを元にした優位性(エッジ)を求めすぎるとカーブフィッティングの罠に陥ってしまいます。
硬直したトレードでは長期的に生き残ることは困難です。相場は常に変化しています。その変化応じて柔軟にトレードを変化させる適応能力が求められているのです。
5年も前に商業EAに対する警鐘を鳴らしていたわけですが、残念ながらなかなか伝わらないものです。
ここがPOINT!
- 過剰にカーブフィッティングされたEAだった可能性を捨てきれない
- EA販売業者は常に「カーブフィッティングの罠」に陥りがち
『Complete One EA(コンプリートワンEA)』の欠点
まず『Complete One EA(コンプリートワンEA)』のデメリットについて解説します。以下の欠点が許容できない人は買うべきではありません。
フォワード成績が散々たる結果
EAは唯一フォワード成績で評価が求められる商品です。どんなにバックテスト結果が良かろうと、フォワード成績がボロカスならば、評価されることはありません。販売ページの煽りが強ければ強いほど、実践成績との落差が批判を増大させます。これは仕方のないことです。
PR(ペイオフレシオ)が0.1という極めて破産リスクの高いEA
本EAのPR(ペイオフレシオ)はざっくりと0.1です。つまり勝ちトレードの平均(利益額)に対して、負けトレードの平均(損失額)が約10倍です。典型的なコツコツドカン型EAですね。※PF(プロフィットファクター)とは異なります。
win rate = 100 × profit factor / (profit factor + payoff ratio)
必要勝率 = 100 ×{ PF ÷ (PF + PR)}=94.56%
PR(ペイオフレシオ)が0.1しかないEAにおいて、求められる必要勝率は94.56%。つまり94.56%以上の勝率があってはじめて利益が発生します。94.56%では収支はトントン。勝率が94.56%を切れば破産確率は飛躍的に高まります。非常にリスクの高いEAであることが理解できるはず。
過剰にカーブフィッティングされたEAだったか
華やかなバックテスト結果にばかり目がいきますが、残念ながら過剰にカーブフィッティングされたEAだった可能性が否定できません。商用EAにありがちなことではありますが、もはやEAに数十万円を投資することのバカバカしさに気付いてもよいことではないでしょうか。
ここが残念
- フォワード成績が散々たる結果
- PR(ペイオフレシオ)が0.1という極めて破産リスクの高いEA
- 過剰にカーブフィッティングされたEAだったか
Complete One EA(コンプリートワンEA)|総合評価
Complete One EA(コンプリートワンEA)の総合評価は以下の通り。
販売元:株式会社Logical Forex
開発者:株式会社Logical Forex
発売日:2020/03/26
公式サイト:https://sl.fx-lloyds.com/ar-ea/re.html
結論:
EAは”結果”がすべてだ…
どれほど斬新な機能をつけても、結果が悪ければEAは評価されない
購入前にしっかり調べればリスクの高いEAであることはわかるはずだが、それにしても20万円もの大金をEAに投じることの”愚行”にいい加減気付くべき
20万円超の高額EAですが、EA運用によって20万円の投資額を回収できたユーザーはどれほどいたのでしょうか?仮に20万円の含み益が出たとしてもドローダウンによって資金を削られ運用を停止すれば、損失だけが残ります。巨額のドローダウンが発生してもいずれ成績が回復する可能性はもちろんありますが、そのドローダウンによってEAを信頼できなくなれば、そこでストップ。含み損がリアルな損失として顕在化します。
ドローダウン発生するたびに、あなたのEAに対する忠誠心が試される
商用EAは、「踏み絵」と同じです。仮に大きなドローダウンが発生しても、EAを信用して運用継続するか、それとも運用を止めるのか、あなたのEAに対する信頼度が試されるわけです。それも毎回。ドローダウンから回復するかもしれないし、回復しないかもしれない…あなたは決断を迫られます。DDからの回復を信じて運用を続けるか、それとも含み損を確定させて運用を停止するか…なかなかの精神的ストレスです。あなたはこうしたストレスに耐えられますか?
勝率94.56%以上ないと破産へ一直線
また、本EAのPayoff Ratio(ペイオフレシオ)は0.1という極めて低い数値です。必然的に勝率94.56%が求められます。
この勝率(94.56%)を少しでも割れば破産確率が飛躍的に高まるリスクの高いEA、それがComplete One EAの本質です。そのことを購入前に正しく理解できていた人がどれほど存在したのか?はなはだ疑問です。
- フォワード成績が散々たる結果
- PR(ペイオフレシオ)が0.1という極めて破産リスクの高いEA
- 過剰にカーブフィッティングされたEAだったか