EA開発・運用の難しさを物語る、とあるEA開発者の独白
EA(自動売買)での運用は、もはや投資ではなく道楽である…と以前述べました。
不確実性の増した相場において硬直的なストラテジーを持つEAを運用することの難しさをもっと理解するべき
もはや、8万円もの金額をEAに投じることは「道楽の世界」だ
投資ではなく娯楽として捉えれば8万円も高くない本来、EA(自動売買)は投資の一つとして考えられてきました。ただ、これまでの多くのEAの実態から分かる通り、長期の運用に耐えうるEAは非常に少ないのが現実です(現実的にはほぼゼロ)。
数年にわたって破綻に耐え、利益を出し続けることができるEAは、実にごくわずかです。最初から優秀なEAを選択することがいかに困難な行為であるか理解できるはず。
『FX自動売買アトミックシステムα』は8万円を超えるEAです。このEAが今後1年以上にわたって生き残るかどうか、誰にもわかりません。もはや8万円もの金額をEAに投じることは、道楽というか趣味に近いですね。
仮に投資と考えて8万円もの大金をEAに投じるのであれば、少なくとも8万円を超える利益を手にしなければ、その投資は大失敗ということになります。あなたは8万円を超える利益を手にする可能性があると考えていますか?あるとすれば、その根拠は?
不確実性の増した相場において、硬直的なストラテジーを持つEAを運用することの困難さは、少し考えればわかるはずです。
遅かれ早かれ、EA運用は”娯楽の一つ”になるでしょうね。
昨今は、一時期に比べEA(自動売買)での資産運用が難しくなりつつあります。
理由は2つあります。
- 相場が読みづらくなってきている(不確実性が増している)
- ブローカーによる対策(嫌がらせ)
結果的に、短期的には勝てても長期的には負けてしまうEAばかりになってしまうわけです。
そんなEA運用の難しさや開発の困難さを物語る、とあるEA開発者の告白がツイッター上で話題になっています。その元ネタがこちらです。
ゴゴジャンにていくつかのEAを販売する「いーぬん」氏による告白、というか独り言です。初めて開発・販売したEA「RushRice USDJPY」が成績不振により販売停止を余儀なくされました。
「RushRice USDJPY」は5分足の逆張りスキャルEAですが、スキャルEAが抱える様々な課題を技術面から克服しようとした渾身のEAだったようです。
ところが…
フォワード実績はご覧の通り右肩下がりです。
開発者「いーぬん」氏が、今回の敗因を本人なりに分析した結果が非常に興味深いものとなっています。
原因は自分なりには突き止めました。 それは解決できないものではありませんでしたが、おそらく解決できたところですぐに次の寿命が来ることもわかりました。
先には 課題の発生 と 解決 のイタチごっこの構図が見えました。 それもイタチごっこをしている間中、自らの資金は吸い取られ続ける右肩下がりのイタチごっこです。
(中略)
繰り返しとなりますが、ゴゴジャン様にはロジックの良さで勝負しているEAがたくさん出品されています。 それは膨大なバックテストから導き出されたロジックかもしれませんし、長い裁量トレードの経験を再現したものかもしれません。
ただ、一定の期間が経つと、右肩下がりに陥ってしまうものが非常に多いです。 または、ゴゴジャン様のフォワードでは右肩上がりですが、実際に購入してリアル口座で使ってみるとあまり結果が芳しくなかったりします。
一つ言えることは、EAは簡単には勝てないということです。 特に15分足以下はその傾向が顕著だと思われます。
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短期EA開発は、もはや「変態ども」が跋扈する超高度な複雑系の世界…
短期足EAで勝つことの難しさ、困難さを次のように考察しています。
最近の短期足でトレードを仕掛けるタイプのEAは、おそらく一般のユーザは予想もつかない高度なロジックを使用しています。
(中略)
少しプログラムのお話になりますが、今EAクリエイター達に流行っている短期足EAは、もうEAと言っていいものかどうかもわかりません。
Python や R といったプログラミング言語で作成された解析ツールを搭載し、統計的な処理を施したデータを用いて優位性が発生する瞬間を見極めます。 MQL(MT4用のプログラミング言語です)はエントリー/エグジットのコア部分しか行いません。 個人的な感想ですが、彼らと話をするとプログラマー同士の会話という印象ではありません。
いきなりマッピングされたデータを見せられ、使用したデータ・加えた統計処理の妥当性を中心に話が進んでいきます。
(中略)
短期足で勝つためには、毎日のように統計値を変更・調整しながら、一瞬だけ浮かび上がる優位性を誰よりも早くかすめ取る必要があるのです。
ここで知っていただきたいことが一つあります。 それは上記のような高度なEAでも、運用するにあたり「毎日のように統計値を変更・調整」を行うのが前提である点です。 特定の聖杯ロジックを見つけたらあとは待つだけ、というのは短期足EAでは想定されていません。
以上は思惑が重なりすぎて一種の複雑系となっているため、特定のロジックが通用するという前提がそもそも誤りがあるという考え方です。
資金効率の良い短期売買EAの世界は、それこそ世界中の優れた技術者が高度なスキルで取り組む「変態」の世界となりつつあるのです。
こうした変態的なプログラマーが跋扈(ばっこ)する短期足EAの世界で勝負することは分が悪いと判断し、現在は長期EAの制作へとシフトしていったと述べています。
EA開発の大変さを感じさせる「いーぬん」氏の独白は、とても興味深いですね。
常にランダムに変動し続ける相場に、硬直的なシステム(EA)で対峙することの”愚かさ”に早く気付くべき
商用EA全般に言えることですが、ランダムウォークの相場に対して硬直的なEAで臨むことの”愚行”に早く気がついて欲しいです。いまや、優秀なEAですら常に変化する相場に合わせてパラメーターを細かく微調整したり、状況に応じて複数のEAを使い分けをしたり、EAポートフォリオを組むなどの様々な工夫がが求められる時代です。
無裁量の単一EAで1億7400万円が稼げると本気で信じているならば、残念ながらあなたは投資に向いていません。
EAで稼ぐことができるのは、唯一”EAを自作できる人”だけです。市販のEAを買って長期的に稼げるほど相場は甘くありません。
そのことを「いーぬん」氏の独白から読み取ってほしいですね。