RCIとはなにか?RSIとは違うの?
今回ピックアップするテクニカル指標は、RCIです。RSIはよく耳にするけど、RCIってあまり聞かなないなー…って方、多いと思います。RCIとは、Rank Correlation Indexの頭文字をつなげたものです。
Correlation
Index
日本語に訳すと…「順位・相関・指数」となります。ちなみにRSIに関しては以下の記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
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RCI(=順位相関指数)は、レートと日付(期間)を順位付けして、それらの相関関係をグラフ化(−100〜+100)したオシレーター系テクニカル指標の一つです。
レートと日付に順位付け?なにそれ?っていう感じですよね。さっそくRCIの本質を計算式から紐解いてみましょう。
RCIの計算式を、中学生でもわかるように解説するよ!
まずは、RCIの計算式の紹介です。こちら。
稀に別の計算式も見かけることがあります。こちらです。
分母の計算式が異なりますね。計算すればわかりますが、この分母式はどちらも同じ値を返します。どちらにしても複雑な計算式ですよね。いったい何を算出しているのでしょうか。
RCIは”スピアマンの順位相関係数”の概念を取り入れた指標だ
この複雑な計算式の元になっているものは、Spearman’s rank correlation coefficient(スピアマンの順位相関係数)です。Charles Spearman(チャールズ・スピアマン)というイギリスの心理学者によって提唱されました。
スピアマンの順位相関係数は、2つのデータの相関性を数値で表すための便利な数式なんですね。なので、RCIインジケーターのことを海外では「SpearmanRankCorr.mq4」などと呼ぶこともあります。というかこちらの呼称のほうがRCIよりもメジャーかもしれません。
さて、RCIは2つのデータを次の通り順位付けします。
- レート(終値)…高い順
- 日付(期間)…新しい順
そして、2つのデータの相関関係を−100〜+100の間で数値化し、チャート上(サブウィンドウ)にプロットしたテクニカル指標こそがRCIなのです。そのために、複雑な「スピアマンの順位相関係数」の計算式を流用(改編して利用)しているわけです。
RCIは、100に近いほど2つの値の相関性は高く、−100に近いほど2つの相関性は低いとされます。
実際にRCIを計算してみよう!
もう一度、RCIの計算式をご覧ください。
nはわかりますね。期間です。仮に「5」とするならば、最新の日付を「1」として、順番にさかのぼります。つまり当日が「1」で4日前が「5」となるわけですね。これが日付の順位となります。
次に価格の順位です。価格の順位は、n期間における価格の高い順に順位付けします。
日付 | 日付の順位 | レート(終値) | 価格の順位 | (日付順位ー価格順位)✕2乗 |
今日 | 1 | 101円 | 3 | 4 |
1日前 | 2 | 103円 | 1 | 1 |
2日前 | 3 | 102円 | 2 | 1 |
3日前 | 4 | 100円 | 4 | 0 |
4日前 | 5 | 99円 | 5 | 0 |
SUM | 6 |
上の表では、5日間で最も高い価格は103円なので、価格順位は1番です。次が102円(価格順位2番)、そして101円(価格順位3番)…となります。
表の一番右側は、(日付の順位ー価格の順位)✕2乗で算出します。一番下のSUMは、さきほど計算した「(日付の順位ー価格の順位)✕2乗」の合計です。
では、計算式に当てはめてRCIを算出してみましょう。
=( 1ー(6 ✕ SUM)÷( nの3乗 ー n ))✕ 100
=( 1ー(6 ✕ 6)÷( 5の3乗 ー 5 ))✕ 100
=(1−36÷120)✕100
=30
つまりRCI(期間5)の数値は30です。まだピンときませんよね?ではさきほどの表が次のようなデータだったらどうなるでしょう?
日付 | 日付の順位 | レート(終値) | 価格の順位 | (日付順位ー価格順位)✕2乗 |
今日 | 1 | 103円 | 1 | 0 |
1日前 | 2 | 102円 | 2 | 0 |
2日前 | 3 | 101円 | 3 | 0 |
3日前 | 4 | 100円 | 4 | 0 |
4日前 | 5 | 99円 | 5 | 0 |
SUM | 0 |
ご覧の通り、当日の価格が最も高く、日付をさかのぼるごとに価格が下がっています。つまり日付順位と価格順位が正比例しているケースです。(日付の順位ー価格の順位)✕2乗は、当然「0」になり、SUMも「0」です。RCIを計算してみましょう。
=( 1ー(6 ✕ SUM)÷( nの3乗 ー n ))✕ 100
=( 1ー(6 ✕ 0)÷( 5の3乗 ー 5 ))✕ 100
=(1−0÷120)✕100
=(1-0)✕100
=100
RCIは+100になりました。5日連続で価格が上昇しているので、時間順位と価格順位の相関性が明確ですよね。だからRCIは+100になるわけです。
逆も考えてみましょう。もしも時間を追うごとに価格が下がっていったら…?
日付 | 日付の順位 | レート(終値) | 価格の順位 | (日付順位ー価格順位)✕2乗 |
今日 | 1 | 99円 | 5 | 16 |
1日前 | 2 | 100円 | 4 | 4 |
2日前 | 3 | 101円 | 3 | 0 |
3日前 | 4 | 102円 | 2 | 4 |
4日前 | 5 | 103円 | 1 | 16 |
SUM | 40 |
計算をしてみましょう。
=( 1ー(6 ✕ SUM)÷( nの3乗 ー n ))✕ 100
=( 1ー(6 ✕ 40)÷( 5の3乗 ー 5 ))✕ 100
=(1−240÷120)✕100
=(1-2)✕100
=−100
RCI(期間5)は、−100となりました。下落相場では、日付順位と価格順位が逆相関になっていますね。結果、RCIは−100という値となります。
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RCIは買われすぎ・売られすぎの指標ではない
価格(レート)が上昇を続ければ、RCIは+100(天井)に張り付き続けるということですね。一方、価格(レート)が下落を続ければ、RCIは−100(底)に張り付き続けることになります。
仮に上昇相場で、上昇幅(変動率)がそれほど大きくなくても、前日よりも少しでも価格が上がっていればRCIは天井に張り付き続けるのです。また、上昇中に1日だけレートが下落しても、RCIの値はそれほど大きな影響を受けません。
つまり、RCIは買われすぎや売れらすぎの指標ではないということですね。RSIも同じでしたよね。
RICが+100近辺にあれば「上昇圧力が強い」と判断し、−100付近にあれば「上昇圧力が弱い」と判断する。これがRCIの本質に近い捉え方です。
一般的な考え方としては、RCIが天井や底から反転したタイミングが相場転換である(=上昇圧力が変化した)と判断することが多いですね。あるいは0レベルを基準に、
- RCIが0以上で推移…上昇相場
- RCIが0以下で推移…下落相場
と相場判断するなど。RCIの効果的な使い方については、あらためて記事にする予定です。