エリオット波動理論を実際のトレードに活かす方法
前回、【FX手法】猿でもわかる「エリオット波動理論」入門で、エリオット波動理論の基礎(定義)について解説しました。
相場が一定の周期性(上昇5波動、下降3波動)に基づいて動いている…とういのがエリオット波動理論のベースでしたね。
では、この理論をどのようにトレードに活用すればよいのでしょうか?
その当たりを今回の記事で解説します。
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エリオット波動で、上昇・下降のリズムを読み取る
エリオット波動を使ったからといって、すぐにトレードができるわけではありません。
あくまでも環境認識のためのテクニカルであって、トレードシナリオを立てるための補助ツールにすぎないからです。
前回の記事においてエリオット波動理論は「上昇5波動、下降3波動」で構成されることをお伝えしました。上昇は5つの波動、下落は3つの波動によって構成され、そのパターンを繰り返すことで相場が形成されるわけですね。
押し目や戻りを「調整」とみなす場合は以下のような図を使います。
エリオット波動でトレードシナリオを立てるためには、まず今の相場が、エリオット波動のどの段階にあるのか(どの波形にあるのか)を読み取る必要があります。
上昇第1波なのか、それとも上昇第3波なのか?
もしくは調整段階なのか?
それらを推測するための原則が前回紹介した「3原則」です。
- 原則1:上昇第2波が一番短くなることはない
- 原則2:上昇第1波後の調整時の安値が第1波の始点より下がることはない
- 原則3:上昇第2波の次の調整安値が第1波の高値を下回ることはない
相場からエリオット波動のパターンを推測するには、この3原則に当てはめることが大切です。
上の図からわかる通り、「上昇第1波」「上昇第2波」出現後でないと、この3原則を確認することができません。
つまり、「上昇第1波」「上昇第2波」のパターンを確認して、はじめてエリオット波動のパターンであることが認識でき、次の「上昇第3波」やさらにその先の「下降第1波」「下降第2波」を予測できるわけです。
エリオット波動理論とフラクタル概念
もう一つ、エリオット波動理論を知るための重要な概念があります。それが「フラクタル」です。フラクタルについては以下の記事で解説しました。
そもそも「フラクタル」ってなに?
そもそもフラクタルは投資用語ではありません。幾何学分野のことばです。Wikipediaから引用します。
フラクタル(仏: fractale, 英: fractal)は、フランスの数学者ブノワ・マンデルブロが導入した幾何学の概念である。ラテン語 fractus から。図形の部分と全体が自己相似(再帰)になっているものなどをいう。
引用:Wikipedia
自己相似とは、複雑な形状のどの部分を切り取っても、そこに全体と同じパターン(相似)が現れる現象のことです。自然界(葉っぱとか海岸線、雪の結晶など)でよく見られる現象です。
ちょっとわかりにくいかもしれませんが、以下のGIFをみてもらうと理解できるかも。
FX(チャート)におけるフラクタルも、同じ考えです。
上位足(長期足)の波形一部を切り取って細かく観察すれば、その一部が上位足と同じ形をしていますよね。日足のジグザグしたローソク足の並びの中に、全体と同じようなローソク足の波形が存在します。
USD/JPYの日足の一部を切り取り、その部分を4時間足にして観察すると、日足の波形と相似したものが4時間足の中に存在しますね。これがフラクタルです。
フラクタルとは自己相似(再帰)のことであり、エリオット波動理論の根幹をなす概念でもあります。
エリオット波動のチャートパターンを、よりリアルに描写すると次のようになります。
エリオット波動のパターンに当てはめると…
そして「上昇第1波」と最初の「調整」の中にもエリオット波動が見て取れますね。
エリオット波動を細かく見ていくと、それぞれの波の中に、エリオット波動のパターンが存在し、さらにその中の波にもエリオット波動が存在する…これがフラクタルです。
フィボナッチリトレースメントで「上昇第1波」〜「上昇第2波」を捉える
さて、エリオット波動のチャートパターンを捉えるためには、第一に「上昇第1波」「上昇第2波」を認識することが大切であると説明しました。
では、「上昇第1波」「上昇第2波」をいかに認識するのか?
実は、非常に難しいんですね。チャートを後から見れば、「あ、ここが上昇第1波でこの部分が第2波だな…」などと確認できますが、リアルタイムチャートでは、エリオット波動のパターン認識は困難を極めます。
最も多く使われる方法は、フィボナッチリトレースメントです。フィボナッチ数列をベースにした主な比率は次の通り。
- 0%
- 23.6%
- 38.2%
- 61.8%
- 100%
それぞれの波の頂点や谷を、フィボナッチの比率から導き出そうとする試みです。例えば以下のチャートをご覧ください。
上昇第1波を100%としたときに、最初の押し目(調整)は61.8%、そこから第2波の伸び率は138.2%と考えて、「上昇第1波」「上昇第2波」を捉えます。
もちろん、毎回この通りに再現されるわけではなく、フィボナッチリトレースメントを目安として活用するわけですね。
「最初の押し目が61.8%で反発した…ならばここが第一の調整と考えられるな…では次の伸びはおおよそ138.2%のレベルまで行くだろう…そこから2回目の調整が入り上昇第3波が始まるだろう、買いで仕掛けるならば第2波の高値をブレイクしたところか…」などとトレードシナリオを描きます。
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さて、第2回は「エリオット波動理論をベースにトレードシナリオを作るまで」を簡単に解説しました。
ところで、エリオット波動理論は使えない…後付の理論だ、まやかしだ…という意見も多く存在することをご存知ですか?
第3回では、エリオット波動の裏側というか真実について解説する予定です。