ウソの事業に対する融資目的で9億円を集めた「エーアイトラスト」
ソーシャルレンディングの「エーアイトラスト」が虚偽説明で投資勧誘をおこない、証券取引等監視委員会が行政処分を行うよう金融庁に勧告するという事案が起きました。
ソーシャルレンディング会社 うその説明で投資勧誘
2018年12月7日 23時28分
「ソーシャルレンディング」と呼ばれる金融サービスを手がける東京の会社がうその説明をして投資を勧誘していたとして、証券取引等監視委員会は行政処分を行うよう金融庁に勧告しました。
勧告の対象になったのは「ソーシャルレンディング」と呼ばれる金融サービスを手がける東京・港区の「エーアイトラスト」です。
「ソーシャルレンディング」はインターネットを通じて多数の投資家から資金を集め企業などに融資するもので、証券取引等監視委員会によりますと、この会社は原発事故の除染作業を支援する事業や、大手企業が参加する無線通信の実証実験などの事業に融資するとしてことし5月から8月にかけて延べ2100人余りからおよそ9億円を集めていました。
しかし、監視委員会が調べたところこれらの事業は実際には存在せず融資も行われていなかったということです。
引用:NHKNEWS WEB
ありもしない架空の事業をでっちあげ、ネット経由で融資を募ったわけです。しかも、融資すらも実行されていなかったというお粗末さ。もちろん金商法違反(虚偽表示)です。ウソの事業へ投資すれば年10%超の高利回りで配当が得られると、さらにウソをついていたわけです。
今回、それらウソがばれて行政処分の対象となりそうです(証券取引等監視委員会が金融庁に行政処分するよう勧告済み)。
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「勧告を厳粛に受け止め再発防止に取り組みたい」エーアイトラスト←(笑)
エーアイトラストが出したコメントが笑えます。
「勧告を厳粛に受け止め再発防止に取り組みたい(キリッ」
もはや「笑い」を通り越して戸惑いを隠せません。これまでにエーアイトラストが集めた50億円すらも、疑われます。集めた50億円の投資対象は、実存するのか?もしかしてその大半がウソだったりして…
ソーシャルレンディング会社の不祥事が後を絶たない
次世代の資産運用方法として注目されているソーシャルレンディング。個人投資家にとっては少額から高利回りの融資が可能とあって、市場規模は急速に拡大しつつあります。
しかしながら、マーケットの成長に社会が追いついていないため、様々なトラブルや不祥事が跡を絶ちません。過去に問題を起こしたり、行政処分を受けたソーシャルレンディング会社は次の通り。
- クラウドバンク(業務停止命令)
- みんなのクレジット(業務停止命令)
- クラウドバンク(2回目、業務改善命令)
- ラッキーバンク(業務改善命令)
- LCレンディング(インサイダー疑惑)
- maneoマーケット(業務改善命令)
- TATERU(顧客の預金残高を改ざん)
- エーアイトラスト(ウソの事業で勧誘)←いまここ
”みんクレ”を盲信した投資家に返金された投資資金は全体のわずか3%…
最も悪質なソーシャルレンディングは、もはや投資詐欺といっても過言ではない「みんクレ(みんなのクレジット)」です。みんなのクレジットに関しては当ブログでも複数回にわたって取り上げました。
- 【業務停止命令】みんなのクレジットのお粗末な実態とは?
- 3ヶ月前の「みんなのクレジット」社長インタビューと現実(行政処分勧告)が乖離しすぎてて笑えない
- 【疑問】みんなのクレジットの謝罪文章はなぜ画像で作成されているのか?
- ソーシャルレンディングサービスは「貸金業」だって知ってた?
みんクレが個人投資家から集めた31億円(未償還)がわずか1億円で債権回収会社に譲渡される(債権譲渡)という驚くべき結末に、驚きを隠せません。
みんなのクレジット、投資家無視の「禁じ手」を実行か
不特定の投資家から集めた31億円が未償還状態になっているソーシャルレンディングの(株)みんなのクレジット(TSR企業コード:014882639、渋谷区、以下みんクレ)に大きな動きがあった。
(中略)
ソーシャルレンディングで高配当を謳い、投資家から資金を募っていた。だが、資金がグループ会社に流れ、昨年3月に金融庁・関東財務局、8月に東京都から相次いで行政処分を受けていた。31億円の未償還債務をわずか1億円で債権譲渡する強引な幕引きに投資家から怒りの声があがっている。
(中略)
未償還の31億円の貸付金の譲渡額はわずか1億円足らず。同日、ホームページ上でみんクレは「債権譲渡先との決済が完了後、譲渡代金全額を、2017年7月28日以降の未償還ファンドを含むすべてのファンドに按分し、その金額はマイページの『ご返金額』部分に反映致します」とした。未償還の投資金は単純計算で3%に減額され、みんクレの投資家への債務は消えることになる。
引用:東京商工リサーチTSR
返金額はわずか3%です。100万円を投資した結果、返金されたのは3万円ということになります。こんなエンディングを誰が予想したでしょう。もはや投資詐欺レベルです。
ソーシャルレンディングの本質は「ヤミ金」と同じだ
とはいえ、もともとソーシャルレンディングの本質はハイリスク・ハイリターンの「貸金業」です。
高利回りを謳う背景には、高利貸しという本質が潜んでいます。極論ですが「ヤミ金」と同じです。
ヤミ金がなぜ高金利なのか?それは回収の難易度が高いからです。まともな金融機関に相手にされない切羽詰った個人にお金を貸すわけですから、回収不能に陥る可能性が高いわけです。だから金利を高く設定しているわけです。リスクとリターンのバランスが取れているのです。
ソーシャルレンディングの本質は「ヤミ金」と何ら変わりありません。リスクの高い投資先に融資をするわけですから、リターン(利回り)が高いわけですね。スキーム自体にもリスクが潜んでいます。法整備が後追いになった結果、無茶をするソーシャルレンディング会社も後を絶たないのです。その結果が、数多くの不祥事につながっています。
ソーシャルレンディングに投資するユーザーは、それらも考慮した上で慎重に検討するべきですね。