みんなのクレジット行政処分から2週間
みんなのクレジットの不適切な経営に金融庁から鉄槌(行政処分)がくだされて、2週間たちました。
みんなのクレジット公式サイトのトップページには「業務停止のお知らせ」が掲載されています。
1ヶ月後には業務を再開することになりますが、はたしてどれほどの投資家が離脱することになるのでしょうか?
ここ数年で一躍注目を集めてきた「ソーシャルレンディング」。新しい資産運用(&資金調達)スタイルとして投資業界や企業から期待が高まってますね。
ソーシャルレンディングとはその名の通り「ソーシャル」と「レンダー」を掛け合わせた言葉です。
- ソーシャル・・・「社会的な」
- レンダー・・・「貸し手」
不特定多数の個人投資家が貸し手となり、インターネットを通じて、企業が広く資金調達をする仕組みのことです。
- 貸し手である個人投資家のメリットは、高い利回りが期待できること
- 借り手である企業のメリットは、低コストでの借り入れが可能であること
非常に新しい枠組みであり、今後ますます成長・拡大していくサービスだと見込まれています。
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ソーシャルレンディングは「貸金業」
とはいえ、今回の「みんなのクレジット」に対する行政処分や、過去の「日本クラウド証券」「maneo」が起こした不始末など、まだまだ多くの問題を抱えています。
そもそもソーシャルレンディングの本質は「貸金業」です。日本の法律においては「貸金業」に該当するのです。
「みんなのクレジット」も「maneo」も「日本クラウド証券」も、アコムやプロミス、レイクなどの消費者金融と同じくくり(貸金業登録業者)といいうことになります。
共に「貸金業法」という法律によって規定され、監督されているわけです。
「みんなのクレジット」も「アコム」「プロミス」「レイク」と何ら変わりないのです。ちなみに、銀行や信用金庫、労働金庫なども、企業を始めとして様々な融資を行っていますが、これらは「貸金業者」ではありません。「銀行法」が適用されます。
貸金業者は集めた資金の融資先を開示しなくてOK
貸金業だからこそ、集めた資金の融資先を開示する必要はないわけです(厳密に言えば融資先の情報を開示してはいけない)。
ソーシャルレンディングに出資する投資家は、自分のお金がどこに出資されているか知らされなくても、法律違反とはならないのです。
なぜこのような規定が存在するのでしょうか?
そもそも日本では貸金業を営むには貸金業登録が必要です。ソーシャルレンディングは私達個人投資家がお金を間接的に貸し出すことになります。貸付先(どこに貸すのか)を知った上で私達がお金を貸し出すことは、私達が貸金業者であると捉えられてしまうのです。
そこで、ソーシャルレンディングサービス会社は、貸付先をあえて匿名にすることで、私達個人投資家が「貸金業者」になる必要性を排除しているわけです。
厳密に「融資先情報を開示してはいけない」と規定されているわけではなく、結果的にそのように法律を読み取らざるを得ないというのが現状です。
なんだかしっくりきませんね。
貸金業法が、最近登場したソーシャルレンディングを全く想定していない(時代に追いついていない)から、これはしかたがありません。
本来であれば国民が保護されるために存在する「貸金業法」が、かえってソーシャルレンディング会社に都合よく解釈されて「貸付先は非開示」となってしまうわけです。
「貸付先非開示」というご都合主義がソーシャルレンディングの不透明性を高め、今回の「みんなのクレジット」の杜撰(ずさん)経営をまねいた
この「貸付先非開示」というご都合主義がソーシャルレンディングの不透明性を高め、今回の「みんなのクレジット」の杜撰(ずさん)経営をまねいたと考えられます。
- 実際の貸付先が親会社とグループ企業に集中していた
- その事実を個人投資家に隠していた(ウソの説明をしていた)
- 集めた資金をそのまま配当(還元》する自転車操業(タコ足配当)をしていた
- 代表取締役であるS氏に出資金の一部を送金していた(自分の借金返済に充当?)
厳密に言えば上記の行為は「貸金業」に抵触しているわけではありません。そもそも集めたお金の貸出先は開示しなくてもOKなのですから。
とはいえ、度が過ぎたから監督庁も行政処分に踏み切ったわけです。
投資家は「貸金業」をしているという意識が必要
ソーシャルレンディングという「かっこいい言葉」でオブラートに包まれていますが、その本質は単なる「貸金業」です。あなたは、その貸金業者に、大切なお金を預けて「運用」しているわけです。
あなたのお金がどこに貸し出されるかは原則「非公開」です。これが「投資」といえるのか?私からすればギャンブルに近いです。
私が考えるギャンブルの定義とは次のとおりです。
ソーシャルレンディングに投資するならば、しっかりとリスクを把握すべきでしょうね。
「貸出先を公開しない貸金業者にお金を出資すること」が、本当に投資ですか?