自主規制の最終報告が出た
ついに最終報告書が発表(2013年4月24日)されました!報告書の正式タイトは以下の通りです。
- 通貨(通貨指標)を原資産とする個人向け店頭バイナリーオプション取引にかかる自主規制の在り方(最終報告)
全14ページのPDFです。是非ご覧下さい。報告書を出したのは、一般社団法人金融先物取引業協会とバイナリーオプションワーキンググループ(BOWG)です。
先日(4月19日)金融庁による法整備が公表されたばかりです。
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気になる自主規制の内容は?
報告書の内容を大きくわけると4項目あります。
1「正しい知識の提供」 に関する事項
⑴ 取引に当たってのリスク・商品内容の説明
⑵ 顧客全体のマクロ的な損益実績の開示
⑶ 広告・宣伝の適正化
2「過度な取引の抑制」に関する事項
⑴ 顧客の知識、経験、資力に照らした取引開始基準の設定
⑵ 顧客の資力等の属性に応じた取引金額、損失額、保有ポジション額の上限の設定と取引モニタリングの実施等
3「顧客保護・顧客利益に資する商品設計」に関する事項
取引期間、権利行使価格、公平性の確保など
4「適切な取引条件による商品の提供」に関する事項
⑴ 取引条件の算出根拠等の開示
⑵ 取引停止(所謂、「売切れ」)に関する顧客周知とモニタリングの実施
⑶ 取引条件に関するデータの保存とモニタリングの実施
リスクの説明責任を明確に(規制骨子1)
規制骨子その1は、バイナリーオプションのリスクを顧客にしっかりと説明しよう、という内容ですね。また、どれくらいの人が損失を出しているか?その具体的なデータも開示すると定められました。この点は、既に複数の証券会社が実施し始めていますね。あとは、広告の表現の規制です。
個別リスク制御の導入(規制骨子2)
規制骨子その2は、顧客のスキルや資金力など(属性)に応じてリスクを限定させるという内容です。これまでは、誰でも同じルールで取引できましたが、今後は、各人の投資スキルや資金力などに応じて、取引金額やポジションサイズなどが個別設定されることになりそうです。初心者や、資金の小さなユーザーは、必然的に小さな取引しかできなくなる、ということでしょうか。まだ、具体性が欠けているため、今ひとつよくわかりません。
具体的なルール改定(規制骨子3)
さて、最も皆が気になる具体的なルール改定についての内容が、規制骨子その3に記載されています。概略は以下の通りです。
詳細は通貨(通貨指標)を原資産とする個人向け店頭バイナリーオプション取引にかかる自主規制の在り方(最終報告)をご覧下さい。
- 取引期間は2時間以上
- 権利行使価格は取引開始前に決定
- ブローカーの総取りを禁止
- 反対売買の実施と価格提示義務
- ペイアウト額の固定
まあ、予想通りというか、以前から報告されていた内容と大差ありません。
完売の根拠提示義務など(規制骨子4)
規制骨子その4については、これまでブラックボックスだった取引価格の算出根拠を提示すること等が定められました。そして、完売の根拠の提示です。この完売もこれまでブラックボックスでしたが、その根拠や理由を明確に開示することが定められました。さらに取引に関するデータを、最低3年間は保管することも求められています。これらの点も、以前発表されていた内容に準じていますね。
ペイアウト倍率はどうなったのか?
ところで、ペイアウト倍率はどうなったのでしょうか?複数の権利行使価格を設定したり、取引期間(2時間以上)とのバランスを計ることで、高ペイアウト率を抑制しようと工夫しているようですね。まあ、期間内の反対売買もできるようになりそうですので、何とか抑制できるのではないでしょうか。おそらく今までのような2倍というペイアウト率は、今後ありえないでしょうね。
結局大差ない
結局のところ、検討されていた自主規制の内容を大幅に外れることなく無難にまとめられた報告書という印象ですね。あとは、この自主規制をベースに金融商品取引法がどのように改正されるのか?このあたりに注目が集まりそうです。
最終報告におけるその他の事項
(中略)
金融商品取引法令の手当てを含めた整備をすることを要望する。
とあるように、この報告書が業界としての金融庁に対する意見書となりそうですね。どうやら、今回の自主規制とりまとめには、オブザーバーとして金融庁や東京金融取引所 、大阪証券取引所、そして日本証券業協会も参加していたようです。ただ、金融庁がオブザーバーとして参加しているとはいえ、この内容がそのまま法令に反映されるとは思えません。
えっ!と驚くような「規制」が盛り込まれる可能性もゼロではありません。2013年、夏までは目が離せませんね。